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破魔の力  作者: 天解 靖
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第04話(野性の証明1―新たなパウロ―)

剛田(翔)は岩城(譲)が働く孤児院に身を寄せることとなった。


「お前を倒してから俺は次に進むことにした。

 俺史上最大比率でお前の言うことを聞いてやる」


「そうか、一歩前進だな。

 今日から君のことを『翔』と呼ばせてくれ」


「構わねえよ、毎日夕方に俺と戦ってくれればな」


岩城はずっと笑顔だった。


「僕のこと、兄さんと呼びなさい」


「はぁ?」


「僕が勝ったのだからそれぐらいいいだろう?

 次に翔が勝ったら剛田さんって呼ぼう。

 どうだ?」


剛田の胸の奥で、温かいような、落ち着かないような感覚がぐわっと湧いてきた。


「お兄さん、それでいきましょう。

 俺が勝つまではな、これからどうする?」


「こっちだよ」


岩城はそう言って剛田と敷地内の駐車場に向かった。


「拳を」


そう言って岩城は剛田に拳を向けた。

剛田も同じように岩城の拳に自分の拳をあてた。


「少し感じるだろ、磁石と同じだ。

 翔と僕の霊力の場合は反発しあうんだよ。

 こんな感じにね、押し合いになるんだ」


剛田は岩城の霊力に押され、しりもちをついてしまった。


「不思議だ、体よりも心が先に持っていかれた感じだ」


「まずはさっきみたいに僕を押し下げてみよう」


「よし!」


剛田は気合を入れたが岩城に止められた。


「今日じゃないよ、ここまでだ」


「何を言ってる、まだ何も」


「だから『今日は』ってことだよ、

 翔、次のトレーニングだ。調理場でカレーを作ろう、楽しいよ」


「こっちだよ」

調理場へ続く廊下を岩城は歩いて行った。

剛田は首をかしげながら後をついて行った。


「あの、お兄様。カレーと強くなるのと一体何の関係があるのかなぁって」


「ここが調理場だよ。

 翔には他者のために頑張るということを学んでもらうよ」


「じゃあこの玉ねぎの皮を剥いてジャガイモ洗えばいいんだな」


「まあそんなとこだ」


「こんなんでお前の……じゃなくて兄さんのような

 ドーンとかビシッとかいうやつが使えるようになるならお安い御用だぜ」


「翔は単純な奴だな、その調子だよ」


「んっ、なにこれ?」


「何ってジャガイモだよ」

岩城は笑ってこたえた。


「百個以上あるよね、もしかして今? 毎日?」


「今そして毎日だね、同じ量の玉ねぎと人参とお肉もだね」

岩城はまた笑った。


「カンフー映画じゃんこれ!」


そう言って剛田はひたすらカレーの下ごしらえを進めた。さすがの量に会話がなくなっていた。

剛田はチラッと岩城を見て思った。


(こいつは手を止めない、

 こんなくだらないことに手を抜かない奴は初めて見た)


「翔、ここはもういい食堂に行け」

「了解!」


食堂に行った剛田は驚いた。皆席について静かだったからだ。


(一体何をすればいいんだ)

剛田はぼーっと立っていると後から来た岩城に言われた。


「翔、『いただきます』をしよう」


「そういうことね、はいはい……みんな残さず食えってことだ。

 まあ本当に食えない奴は残せばいい。鶏のエサにする。

 食った奴からデザート渡す。食ったら歯を磨く。以上だ、いただきます」


そういうと剛田は勢いよくパンっと手をあわせた。ものすごい音で、皆びっくりした。


「なんか、面白そうな兄ちゃんが来たな」

いつもは岩城が厳かに行うのだが剛田のそれは子供受けが良かったようだ。


「いただきます!」


剛田は約束通り一日三回、毎日子供のために食事を作った。


「さすがに皮むきだけじゃな……ここの掃除も庭の掃除も

 すぐ終わっちゃうし、慣れると案外退屈だな。あいつらどうしてるかな」




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