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破魔の力  作者: 天解 靖
13/20

第13話(彼らの日常―頼りがいのある奴ら―)

それから幾年か経って、剛田は指導する側になっていた。


「えーっ、今から岩城さんからのご命令で皆さんというおめーらを指導することになった剛田です。

じゃあ、手始めに三人まとめてかかってこいや!」


剛田はやはり剛田で、相変わらずだった。

しばらく経って、二本の足で立っていたのはやはり剛田だけだった。


「ジジイになってもおめーら俺に敵わないってことで、ハイ終了」


「剛田さん、シンプルに剛田さんのストレス発散の場になってますけど」


「そうだな、そうかもな。そういえば蒼の奴が言ってたな。いつか、俺を封じなければならない時が来るって。それやるか?」


「あ、はい」


後任の黒田、朝霧、赤羽は困惑した表情で顔を見合わせた。



――後日、剛田は自分の霊力をストックできる霊玉を何個か彼らに手渡し、自分が不在でも練習できるようにした。


「入力量ごと二つずつ用意した。割るなよ、ここら辺一帯が消し飛ぶぞ」


三人は霊玉を手に取りながら、黒田は不思議に思っていた。


(霊玉に霊力を入力する際、

 一気に入力すればそれなりの霊振が起こるはずだ。

 しかも、なぜこれほど多くの霊玉をこの短期間で準備できたのか。

 剛田さんだからっていう理由で片付けられない部分がある。)


「剛田さん、これどこで」


同じことを考えていた朝霧が口を開きかけた。


「聞くな、お前の場合は『見るな』だったな。

本当に手に負えなくなった時におめーらが俺を止められるようになる日まで、俺はちゃんと俺でいてやるよ」


剛田は珍しく真剣な表情で言った。


「黒田はコマンド、赤羽はパワー、朝霧はバランス役だ。

 今からやる技は三位一体。

 多分、朝霧が始めに落ちるから赤羽、お前は二役できるようになっとけ。

 じゃあ、二割の剛田……いきまーす」


そう言って剛田は霊力を解放した。

途端に空気が一変した。


「うわっ」


三人は思わず後ずさった。剛田から放たれる霊力の圧が、まるで重力が数倍になったかのように三人に圧し掛かる。これが二割、信じられなかった。


「ほら、ボサッとすんな。言われた通りにやれ」


黒田が真っ先に動いた。


「陣形展開」


三人は剛田を中心に三角形の頂点に位置取る。それぞれが霊力を解放し、互いを結ぶ線が淡く光り始めた。


「霊力反転、シンクロナイズ」


三人の霊力が同調し、剛田の霊力に対して逆位相の波動を形成する。剛田を包み込むように、三角形の結界が展開された。


「いいぞ、そのままキープだ。

 今回、タメはいらないから黒田、とっととコマンドしろ」


剛田は動じる様子もなく、結界の内側で腕を組んでいた。


黒田は叫んだ。

「汝、我が秩序に静まれ」


霊力で描かれた三角形が折りたたまれ、正三角錐へと変化する。


「おっ、形になってんじゃん。

 じゃあそこから一分キープしてみよう」


剛田に言われた三人だったが維持するだけで精一杯だった。


「ごめんねみんな、これから撮影なんだ。

 ハイ、今日はここまで」


剛田は霊力を収め、何事もなかったかのように立っていた。


「まあ、初日にしちゃ上出来だ。じゃあこれを毎日がんばれよ」


「明日も……ですか」朝霧が呻くように言った。


「当たり前だろ。俺を封じるってのはそういうことだ」


剛田は背を向けて歩き出した。


「八割剛田の霊玉、

 それを止められるようになったら俺で実際試してみよう。

 売れっ子は忙しいんだよ、じゃな!」


三人は荒い息を吐きながら倒れ伏していた。




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