サルメール砂漠
石造りの重苦しいトンネルを進み、光が差し込む出口が見えアリスは私を置いて走り出し、一目散に抜けようと向かう。
アリス「クロマさーん!はやく!」
クロマ「早いですって…追いつけないですよ」
新たな街へと急かすアリスとは裏腹に、私は疲労から足取りは重いものであった。
アリス「うわー!」
クロマ「す、すごい…」
一足早くトンネルを抜けたアリスの感嘆の叫び声を聞き、私もトンネルを抜け景色を眺める。
そこには、先程まで緑豊かな自然が広がり、様々な動植物が生き生きと暮らしていた環境があったとは思えないほど、辺り一面が砂景色であり平原とは打って変わって砂丘が落差を形成し、ギラギラと輝く太陽が砂を照らし宝石が如く反射して眩しい。
アリス「ひとまずは街を目指すんですよね?」
クロマ「そうですね。ここからは見えないですが、このまま西に真っ直ぐ進むとオアシスを囲んだ街があるはずです。なのでそこで情報収集かと」
アリス「また長い道のりになりそうですね…」
クロマ「この灼熱の中、野宿で街を目指すのは大変ですが仕方ないですね」
アリス「道中の魔物は任せてください!私が全部やっつけますから!」
クロマ「では頼りにしますよ」
意気込みを言うアリスの頭を優しく撫でて、私も内心気合を入れる。
昼の暑い中ではなく、夜の日が沈んでから進むのが良いように思われるが、実際の砂漠は夜になると、気温がグッと下がる上に魔物の出現率も上がるため、日没後に砂漠を進むのはとても危険なのだ。
極力見渡しの良い砂丘のてっぺんにテントを張り、しっかり気を休めることは難しいものの、体は休めつつ私達は砂漠で2泊し街を目指した。
アリス「ね~、まだ着かないんですか…」
クロマ「そろそろのはずなのですが…」
額から滴り落ちる汗を拭いながら、軽い砂に足を取られつつも私達は景色の変わらない黄土色の世界を進み続けている。
暑さで余計に体力を奪われるも、街はすぐそこと思い続けること3日目、ようやく眼前にその姿が現れる。
クロマ「す、すごい…」
アリス「こんなの、初めて見ました…」
街のど真ん中に、家が複数個入るのではと思うほど大きい湖があり、それを取り囲むように石やレンガで造られた居住区がある。
クロマ「砂漠の街…エスケープ・サンドリア。私はもう少し、言葉がよろしくないですが貧しいものかと思っていました」
私が想像していた景色とは違く、ギラギラと輝く光源があったり、100人近く泊まれるような宿泊施設に、それ以上の大きさのギャンブルをするような施設も目に入る。
アリス「すっごく楽しそうです!」
クロマ「アリス…まず先にホテルの方に行きますよ」
アリス「クロマさんだって行きたいんじゃないですか~?」
クロマ「………情報収集のためにも行く必要はあるかもしれないですね」
アリス「やっぱり笑」
くふふと笑うアリスを尻目に一足早く門へと向かう。
門番の方に事情を説明して入れてもらおうとしたが、ペンダントを見るや否や直ぐに通して貰うことが出来た。
何か特別な意味がある貴重なものなのだろうか、などと考えながら街の風景を見渡しつつ、私達はホテルへと向かった。
クロマ「失礼します」
ホテルのオーナー「お嬢ちゃん方ようこそ、長旅ご苦労だったね」
アリス「そこまで長旅にはなりませんでしたが、とても疲れました…」
クロマ「ここに数日間泊まってもよろしいですか?」
オーナー「おう、問題無い。好きなだけ泊まってくれ」
クロマ「それともう1つお聞きしたいことがあるのですが」
オーナー「なんだい?」
クロマ「古代魔術のスクロールについて調べていて、このサルメール砂漠にあると踏んでいるのですが、何かそれらしい事は知りませんか?」
オーナー「古代魔術の…スクロールねぇ…」
オーナーは私の質問に分かりやすく首を傾げて長考する。
オーナー「あぁそうだ、特別これと言った情報では無いんだがな」
アリス「何か知っていますか!」
オーナー「あ、いや俺が知っている訳じゃないんだが、今うちのスイートルームの方にミリディアの王と王妃が泊まっていてな、護衛で第2等級魔術師が2人いる。そいつらに聞けば何か分かるかもしれないな」
クロマ「あの…そのこと部外者の私達に話していいんですか?」
オーナー「はっはっはっ!笑、どうせ遅かれ早かれバレるこった。このホテルに泊まるやつには話すことになるだろうからな」
クロマ「そういうものですか…」
豪快に笑うオーナーに少し戸惑うも、隣の壁に沿って造られた階段の先にあるとりわけ大きな扉に目をやると、確かに扉の前に2人ローブを着ている人物が立っている。
アリス「ありがとうございます!ではそのお2人に話を聞きに行ってみます!」
オーナー「元気の良い嬢ちゃんだこった!気をつけてな」
クロマ「ありがとうございました」
私達は自室に荷物を置きに行き、一休みしてからスイートルームへと向かう。
クロマ「なんでしょう…何か模様のような、壁画でしょうか」
アリス「祭壇?のようなものの周りが数ヶ所光ってて、次は祭壇が燃えている?」
階段を上がると、ホテルの壁に何かを示すような壁画が描かれていた。
クロマ「古い時代の儀式的なものでしょうか?少し気味が悪いですね」
アリス「はい、不気味で怖いです」
???「何をしている」
私達が壁を見ながら歩いていると、スイートルームの前まで来ており護衛に話しかけられる。
???「なんだ、アリウスではないか」
クロマ「ご無沙汰しております。アルファード様」
カルス「堅苦しい呼び方はやめろ。そっちの子のために自己紹介しておくと、俺はカルス・アルファード。宮殿で護衛魔術師をしている者だ」
アリス「ラングドックのルーション街出身のアリス・メリーです。まだ魔術師見習いですが、いつかクロマさんみたいな魔術師になるのが夢です!」
カルス「いつかは…クロマさんみたいにねぇ?」
クロマ「アリス…恥ずかしいのでそういうことは口に出さないでください」
カルス「認定式の時には魔導師にならず旅に出ますって言ってたのに、なんだちゃんと弟子をとってるじゃないか」
綺麗な水色の髪をくくり靡かせ、私達と比べ頭2つくらい違うんじゃないかと思うほど長身の男性。私は彼と会うのは初めてではなく、旅をする前のミリディアでの認定式で面識があった。
カルス「てか…なんでお前は黙ってるんだ」
???「…」
クロマ「ご挨拶が遅れました。お久しぶりですアキシオン様」
アルドラ「………アルドラ・アキシオンよ」
アルファード様の隣にいる、金色の長髪が綺麗に輝く私よりも少し背の高い女性が1人。
私のことが気に入らないのか嫌っているのか、認定式の時から目を合わせてもらったことは無い。
カルス「悪いな、こういうやつなんだ俺に免じて許してくれ」
アリス「いえいえ、私達が急に押しかけてきてしまったので」
カルス「そうだそうだ。2人とも何をしに来たんだ?」
私は魔界に行きたいことと古代魔術のスクロールのことを説明し、何か知っていることはないか2人に尋ねた。
カルス「なるほどな…魔界か」
クロマ「はい。第2等級魔術師のお二方なら何か知っている事があるんじゃないかと思いまして」
カルス「魔界のゲートがある場所は知ってるぞ」
アリス「本当ですか!?」
カルス「あぁ、このまま西に進めば大森林に囲まれたラフストーン公国に出る。そこから南下してグレイシス山を超えて港町から海に出て、火山地帯の中にあるゲートが魔界に繋がると聞いたな」
クロマ「なるほど…ここからだとまだまだ遠いですね」
アリス「カルスさんは魔界へ行ったことあるんですか?」
カルス「いや、俺は無いな。というか入れないと思う。」
クロマ「入れないのですか?」
アルファード様は少し苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ説明を続ける。
カルス「隔絶された火山地帯にあるとはいえ、ゲートを守る役目は必要とされてな、旧華族であるアークトゥルス家が警護しているということになっている。」
クロマ「そう…なんですね…」
カルス「だから魔界に行く、というのは難しいかもしれないな」
アリス「そもそもクロマさんはなぜ魔界へ行きたいのですか?」
カルス「お前、それ知らずについて行ってたのか!?」
アリス「あ、はい…そうなんです」
クロマ「私が魔界へ行きたいのは、魔物という生き物の謎や魔界がなぜ現世と繋がっているのかなどの謎を解き明かしたいんです」
アルドラ「なら、アークトゥルス家に行って聞くといいわ」
今まで口を閉ざしていた彼女がぶっきらぼうながら返答してくれる。
クロマ「重要な情報ありがとうございます。一旦はこの砂漠で古代魔術のスクロールを探してみます」
カルス「ここのスクロールを知りたいなら、この街の魔導師に聞くのが早いと思うぜ」
アリス「ありがとうございます!2人で尋ねてみます」
私達2人は彼らにお礼を言って1礼し、ホテルを後にした。
アリス「クロマさん…」
クロマ「どうしたのですか?」
街の中を歩いていると、アリスが突然モジモジとしながら名前を呼ぶ。
アリス「魔導師さんの家に行く前に、カジノへ行きませんか?」
クロマ「………そうですね。1度行ってみましょう」
私は少し葛藤するも、この街の魔導師に会いに行く前にカジノへ入ることにした。
支配人「デ・クライルへようこそ」
カジノに入ると広いエントランスホールに出て、支配人がお出迎えをしてくれる。
私達2人は名前と職業の登録手続きをし、少し遊べるほどの額をチップと交換し中へと入る。
クロマ「うおぉ…これがカジノ…」
アリス「すごい!圧巻です!」
砂漠の街とは思えないほどのギラギラと煌めく店内に多くの人が騒ぎ楽しんでいる光景が広がる。
クロマ「では、ちょっとだけ遊びましょうか!」
アリス「はい!」
なんだかんだ昼に入ったはずなのに、気づけば夕暮れになるまで私達は入り浸っていた。
ディーラー「ありがとうございました。またお越しくださいね」
クロマ「もう二度と来ないです!!!」
アリス「また来させてください~」
反応からも分かる通り、私は負けたがアリスが信じられないほどの大勝ちをする結果に終わった。
嫌に感じるほど眩い光を背に、重苦しい足取りで出口へと向かう。
クロマ「はぁ…なんでこうも勝てないんですかね…」
アリス「仕方ないですよ、私がビギナーズラックで少しばかり勝てただけですってば」
クロマ「……私もビギナーです」
アリス「ははは…」
半泣きの私の慰め方が分からないアリスが乾いた笑いをする。
クロマ「…ん?」
アリス「どうかされました?」
クロマ「いえ、気のせいでした」
私は出口に出かかった際に、不穏な男達を見かけ足を一瞬止める。
旅人らしき服装の男3人、カジノで賭け事を来ているとは思えない表情で辺りをジロジロと見ていた。
クロマ(ただの旅人や魔術師といった雰囲気では無いですね……何も無ければいいですが)
アリス「大丈夫ですか?」
私が顎に指を当て色々考えているとアリスに心配される。
クロマ「本当に大丈夫です。それよりも、夜になる前に魔導師さんの所へ行きましょう」
アリス「はい!分かりました!」
支配人の方に挨拶だけ済ませカジノを後にし魔導師さんの家へと向かう。
クロマ「それでここまで来た訳ですが、、、」
アリス「不在…ですね」
家には着いたが、ドアに現在不在と書かれた紙が貼られていた。
街人「どうかしたの?」
私達が呆然としていると、通りかかった街の人が話しかけられた。
クロマ「魔導師さんに用があったのですが不在と書かれていて」
街人「あら本当?こんな時間まで不在なんてこと普段はないのにねぇ」
クロマ「そうなんですか?」
街人「えぇ、不在にしても夕方には帰ってくるわ。流石にここまで遅いのは見たことないわね」
クロマ「……嫌な予感がします」
アリス「何かまずいんですか?」
街人「えぇ、サルメール砂漠の夜にはドラゴンが出るんです」
アリス「本当ですか!?ならまずいんじゃ…」
クロマ「そうです。私が少し砂漠の方を見に行きます」
アリス「私も行きます!」
クロマ「いえ、アリスは一足先にホテルへ戻っていてください。一応この事をアルファード様達に報告しておきたい、ドラゴンどうこうになってくるともう1人魔術師が欲しいので」
アリス「…分かりました」
街人「ごめんね、任せたわね」
私は最低限の装備だけ持ち北門へと向かい、残りをアリスに託してホテルに向かってもらった。
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???「くっそ…こんな筈じゃ」
1面砂の世界も日が落ちれば寒くなる。1人の男が街の外で途方に暮れ足がもつれながらも帰ろうと街へ歩いていた。
空には小さい個体ながら複数のドラゴンが飛び回り、今にも彼へと襲いかかろうと狙いを定めているようであった。
ギャァァン
甲高い鳴き声が響き渡り、空から1匹が急降下してくる。
???「やめろ!くるなぁ!!」
???「メガ・ストーン!」
口を開け迫り来るドラゴンが彼の寸前まで来た瞬間、詠唱する女性の声が聞こえ鋭く尖った巨大な岩が、ドラゴンを貫通し吹き飛ばす。
???「大丈夫ですか?」
???「は、はい…助かりました…」
クロマ「私はクロマ・アリウス。旅をしていてサンドリアの方に滞在することになったのですが、魔導師さんが夜になっても戻っていないと聞いたので探していたのですが、間に合って良かったです」
オスカー「本当にありがとうございます。僕はオスカー・アンドレイと申す者です。エスケープ・サンドリアで魔導師をしています」
彼に手を貸し立ち上がってもらいながら、私達は自己紹介を済ませ2人で街へと向かっていった。
クロマ「オスカーさんはどうしてあんな場所に?」
私は砂漠を歩きながら彼に質問する。
オスカー「ホテルの方へは行きましたか?」
クロマ「はい、そこに泊まらせて貰う予定です」
オスカー「スイートルーム手前の壁に壁画が描かれているんです」
クロマ「はい!見ました!」
オスカー「さすがですね、僕はあれがちゃんと意味のあるものだと思っていて、壁画の謎を解き明かそうと砂漠を調べているんです」
彼は真剣な表情で続ける事の経緯を説明する。
クロマ「意味があるも何も、あんな壁画を外装にするってことはオーナーが何か知ってるのでは?」
オスカー「いえ、エスケープ・サンドリアは古代のサンドリア王朝跡地を居住区に改装して出来たものなんです。恐らく、あのホテルも当時の宮殿だったものを改築したので、あの壁画は古代からああいう形で描かれていると踏んでいます」
クロマ「なるほど、それなら確かにあの壁画は意味があるものという説はありますね」
私達はなんとか日が沈む前にサンドリアに戻ってくることが出来た。
ホテルに1度戻りアリスと合流した後に、オスカーさんとアリスとの3人で壁画を確認しに行く。
オスカー「僕の予想ですが、どこかに光る場所があり、そこに魔術を使うことで祭壇が現れると思います。その祭壇で炎魔術を使うと何かが起こる!的な意味合いかと」
クロマ「その解釈でも違和感は無いですね…」
アリス「う~ん、光る場所なんてこの広大な砂漠で見つけることは難しいと思いますけど」
オスカー「実際そうですね、かなりの時間を使っていますが見つかる気配はありません」
壁画を前に私達は揃いも揃って難しい顔をし続ける。
カルス「まーた壁画の前で何やってんだ」
クロマ「すみません、実は…」
私はこの街の魔導師であるオルカーさんと合流して、話をした後に壁画を確認して各々の考えを共有した所で行き詰まっていることを説明した。
カルス「勝手に光ってるのなら、夜に探索できれば見つかりやすそうだな」
オルカー「砂漠の夜は翼竜が出てしまうので中々難しいですね」
カルス「それもそうか…」
クロマ「提案してもいいですか?」
私は思いついた策を2人にぶつける。
クロマ「今から私とオルカーさんとアルファード様の3人で、探索するというのはどうでしょう?」
カルス「翼竜と戦うために俺がいるってのは分かるが、護衛の仕事があるからな」
アリス「では、私が引き受けます!」
クロマ「アリス…!」
アリスの突拍子も無い申し出に私は否定しにかかろうとするが。
アルドラ「いいわよ」
カルス「いいのか?」
アルドラ「元々私1人でも問題無い要件だし、私との護衛は彼女にとっていい経験になると思うわ」
アキシオン様の心優しい承諾に私はホッと胸を撫で下ろす。
カルス「お前がいいならいいが、じゃあ俺ら3人で砂漠の方に行ってみるか」
オスカー「ありがとうございます!」
クロマ「ありがとうございます!」
咄嗟に発した言葉がハモって、頬が赤くなるがバレないように杖で表情を隠したまま、私達3人は階段の方に歩きホテルを後にした。
アルドラ「で、貴方はなぜ私との護衛を選んだの?」
アリス「特に深い意味とかはないですよ!アルドラさんと少し話がしたかったのは事実ですが」
残った2人がスイートルームの扉の前で話す。
アリス「クロマさんと過去に何かあったんですか?」
アルドラ「………」
額に汗が出るほどの沈黙が起こるようなことを私は躊躇なく言ってみせる。
アルドラ「話す気は無いわ」
アリス「私には話しづらいことですか?」
アルドラ「貴方にってことは無いわ、他の誰でも話したくないことよ」
私が唾を飲み込み意を決して踏み込んで質問する。
アリス「アルドラさんってクロマさんのこと…」
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クロマ「オスカーさん、何か手掛かりはありますか?」
オスカー「そうですね、西門の方から探してみましょうか」
カルス「大丈夫っかなぁ…」
私達は西門を出た後、迷うことの無いよう一直線に進むことにした。
クロマ「夜になるとやっぱり寒いですね」
オスカー「着込んできて正解だったでしょう?」
クロマ「はい、教えて頂き助かりました」
30分ほど進み続け街からどんどん遠のき、街並みがモヤがかかって見えなくなるほどの位置まで来た時にアルファード様が声を上げる。
カルス「あれを見ろ」
クロマ「!?」
後ろから急に聞こえた声に驚き、私とオスカーさんは振り向き、アルファード様が指差す方に視線をやる。
オスカー「あれは…」
アルファード様が指差す方向には、確かに数ヶ所光っている場所が広大な砂の世界にあるのが確認できた。
クロマ「これは正しく壁画にあったとおりです!」
オスカー「六角形を形作るように光っていますね…これです!僕が探し求めていたのは!」
アルファード様がしゃがみ込み光る場所を確認する。
カルス「これは…魔石だな、砂の中に埋まってはいるが確かに魔石が光っているな」
クロマ「なるほど、特殊な魔石が光っていたのですね。昼には確実に見つけられないほどにしか光ってませんし、見つけるのは難しかったと思います」
オスカー「魔石だったのか…ですが、祭壇が見当たらないですね」
クロマ「ここからは私なりの解釈ですが」
2人に少し離れるよう合図をし、持っていた杖を正面に構える。
クロマ「恐らくですが、魔石自体に魔力を流し込むのが正解だと思います」
私は杖に魔力を集め、魔石目掛けて発散させる。
ザアァァァ
魔石に魔力を流すと、魔石同士が光線で繋がり憶測通り六角形を形づくる。
それに合わせて六角形の中の砂がうごめき祭壇が下から現れる。
カルス「まるで人工的に隠されたように見えるな」
祭壇を確認するとお香のようなものが置かれており、魔石の周りにも中心の物とは少し小さいが祭壇が現れていた。
オスカー「ここに炎魔術を使え、ということですよね?」
クロマ「はい、それで合っていると思います」
カルス「俺も同意見だな」
オスカーさんが深呼吸をし杖を構える。
オスカー「フレイム」
祭壇のお香に火がつき、それに合わせて周りの祭壇にも自然と火が上がり円形に囲まれる。
カルス「完全にビンゴだなぁ!!」
クロマ「くぅ…」
激しく地面が振動し、円形の炎が上昇気流を発生させ、まるでドラゴンが暴れ回るかのように感じるほどの突風が襲う。
クロマ「止み…ましたか?」
オスカー「お二人共に無事ですか!?」
カルス「あぁ、俺は大丈夫だ」
クロマ「こ、こういう仕掛けでしたか…」
いつの間にか炎は祭壇ごと消えており、私達の正面に地下へと続く入口のようなものが出現していた。
カルス「この石造りと模様…おそらく古代サンドリア王朝ピラミッドの遺跡だな」
オスカー「まさか…本当にサンドリア王朝の遺跡が出るなんて!」
クロマ「ピラミッド?のようには見えないですが」
カルス「多分この地下深くに広がってるんだと思うぜ」
オスカー「お二人共、ご一緒に入っていただけますか?」
オスカーさんが恐る恐る私達に問いかけてくるも、私とアルファード様はお互い顔を合わせて笑ってみせる。
クロマ「もちろんです!」
カルス「おう!」
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アリス「なるほど…だから目を合わせられ無かったんですね」
アルドラ「まさか言い当てられるとは思わなかったわ」
ホテルで護衛をしている私とアルドラさん。クロマさんのことを話していたのもありましたが、魔術のことも色々聞いて良い座学にもなりました。
アルドラ「…伏せて」
アリス「はい!」
私が小声で返事をし、即座に身をかがめる。
1階の方を見てみると怪しそうな男3人がオーナーと話していた。
アルドラ「彼ら、アサシンの可能性があるわ。よく観察しておいて」
アリス「は、はい!」
何を話しているかは聞こえませんが、オーナーの顔色を見るにあまり良い話をしているようには見えないです。
アリス「アルドラさん!」
アルドラ「どうしたの?」
アリス「私、彼らをカジノでクロマさんと見ました」
アルドラ「それは本当?」
アリス「はい、クロマさんがなにか気になるように見ていて、一応顔を覚えていたんです」
アルドラ「分かったわ、こちらに来るようであれば確保しましょう」
アリス「了解です!」
私は心の準備をし、その瞬間を今か今かと額に汗を流して待つ。
アルドラ「階段を歩く足音がするわ、普通に立つわよ」
アリス「はい」
アサシンA「おっとっと…お姉さん達可愛いねぇ」
アサシンB「まるで姉妹みたいだなぁ、」
アサシンC「その部屋に用があって通して貰えませんかぁ」
アルドラ「ここは立ち入り禁止です。お帰りください」
酔っ払っているようなフラフラとした足取りと、舌が回っていない様子で話す彼らとは対照的に、冷静な言い回しで帰るように促すアルドラさん。
アルドラ(酔っ払ったフリ…懐に手を入れた瞬間容赦はしないわ)
アサシンA「いいじゃぁ~ねぇかよぉ!」
アサシンの1人がナイフを取りだし私目掛けて走り出す、それと同時に後ろの2人も杖を構える。
アリス「グラス!」
私がクロマさんが使ったように草魔術のツルで彼の足を縛り転けさせる。
アサシンA「うわっ!」
アルドラ「上出来よ…エレキスター!」
アルドラさんの電撃魔術は的確に後ろのアサシン2人の杖を持つ手に当てて体全体を痺れさせる。
アサシンB「ぐわわぁ…」
アサシンC「ぐぅっ…」
アリス(まるで上位の魔術と錯覚するほどの威力と正確さ、そして私の魔術を見てから合わせるアドリブ力、これが宮殿魔術師の実力…)
アルドラ「上手く対応できたと思うわ、縛って突き出すわよ」
アリス「あ、ありがとうございます!」
アルドラさんの手際はとても良く、アサシンはサンドリア警護隊に引き渡された。
これは後々になって分かった話だが、オーナーは賄賂で情報は吐かされた上にアサシンのことを容認したとして逮捕され、別の人間がホテルのオーナーに成り代わったらしい。
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カルス(この魔力反応…アルドラが魔術を使ったのか?)
クロマ「アルファード様?何かありましたか?」
カルス「いや、何も無い。大丈夫だ」
オスカー「先導はしますから、はぐれないようにしてくださいね」
私達は遺跡の中に入り、トラップに気をつけながらオスカーさんを先頭に私、アルファード様の順で進んでいた。
足元の石盤がスイッチになり発動したり、遺跡の中に散りばめられた光る魔石がセンサーとなり発動したりと、これ以上進むなと言われてる感覚になるほど過密なトラップが襲いかかる。
オスカー「まだ迷路状になってないだけマシですね…」
クロマ「確かに、このトラップの量で迷路だと困ってましたね」
カルス「はっはっはっ!お前らもまだまだだな」
クロマ「1番後ろとはいえ、アルファード様だけトラップを踏んでないですね…」
カルス「第六感って訳じゃないんだが、何となく伝わってくるんだ」
オスカー「伝わってくる?」
カルス「体に流れてる魔力で感じる?って言ったらいいのかな…まぁそんな感じだ」
クロマ「全く分かりませんねぇ…」
オスカー「お二人とも生粋の感覚派ですもんね」
クロマ「そうなんです。なので、アルファード様に第2等級魔術の会得方も聞いているのですが…」
カルス「だからぁ、こう…ガッて魔力を込めるんだってば」
クロマ「……こうなんです」
オスカー「ははは…僕にもわからないです笑」
オスカーさんが苦笑いし、アルファード様は不思議なものを見るような顔をする。
カルス「任せとけ!翼竜と戦う時は俺が見せてやるよ」
オスカー「おぉ!これは頼もしい!」
クロマ「楽しみにしてます」
カルス「危なねぇ!フレイム!」
アルファード様が炎魔術を放った先には魔人が居た。
魔人「グワァァァ」
オスカー「ありがとうございます、僕が相手しなきゃ行けなかったところを」
魔術を受けた魔人は抵抗する間もなく塵になる。
クロマ「こういう地下遺跡で魔術を使うのは気をつけてください!崩れたらどうするんですか」
カルス「わりぃわりぃ、次からは気をつけるよ」
クロマ(さすがです、第5等級とは思えないほど綺麗で威力を出すのに効率的な魔術の放ち方と速度。やはり第2等級魔術師は違いますね…)
下層に行けば行くほど魔人が出てくる数は増えていった。
オスカーさん曰く、サンドリア王朝があった時代の魔人が生き埋め状態で遺跡に残っていたのだろうとのことだ。
その後、緩やかに複数の階段を経由し地下へ地下へと進んできたが、この階層に来てやけに真っ直ぐ進み続けるなと思っていると長々と上へ続く階段に辿り着く。
カルス「心の準備しろよ、おそらく外に出る」
オスカー「ええ、これだけ遺跡歩かされて外に出るんです。ただの出口なんてことは無いでしょう」
クロマ「すぅーー、はぁぁー、はい!大丈夫です!」
ゆっくりと確実に階段を上り、差し込んで月明かりを目指して足を進める。
クロマ「すっごい…綺麗…」
出た先は隔絶された断崖絶壁の空間。
完全に日は沈みきっているが満月が照らし、足元は余裕を持って見えるほどであった。
オスカー「あれを見てください!」
カルス「ああ?」
オスカーさんが指を刺す先には、樹木や太い枝が多く置かれている巣のようなものがあった。
カルス「ありゃドラゴンの巣だな」
クロマ「ドラゴン…やはり相手取るしかないのですね」
魔物類・魔獣、翼竜種。通称ドラゴンと呼ばれる種族は、魔物ながら人間が住む領域にまで生息地を伸ばしている、上位の強さを持っている魔物である。
ギィャォォォォォン!
クロマ「ぐっ」
私が咄嗟に耳を塞ぐほどの甲高い叫び声。
オスカーさんと出会った時の翼竜とは比べると、5~6倍程はあろうかと言うほどの巨体で、その体に纏っている黒紫の霧はオークと同様のものかと思われる。
カルス「ここまでデカイ翼竜種は初めて見たな…」
オスカー「こいつです!こいつがその昔、古代サンドリア王朝を襲い壊滅させたドラゴンでしょう!」
クロマ「そうなんですか!?私は大型の魔力災害によって砂に埋もれ消えたと聞いていましたが」
カルス「俺もそう聞いてたぜ」
オスカー「他の街ではそう言い伝えられていたのかもしれないですが、僕は祖父からそう聞かされ続けました。祖父も先祖代々そう聞いていたと」
クロマ「なるほど…ではいわゆる仇というやつですね」
オスカー「ですが、さすがにここまでは大きくなかったです…それにこんな黒紫色のモヤは纏ってなかった」
カルス「なんでもいい!やられる前にやるしかねぇんだ!メガ・フレイム!」
アルファード様は迷わずドラゴンに火球を飛ばす炎魔術を放つも、ドラゴンはその巨体に見合わない速度で飛び回り避けてみせる。
オスカー「加勢します!メガ・アイシクル!」
オスカーさんはツララ状の氷魔術を飛来するドラゴン目掛け放つも、先程と同様に簡単に避けられる。
ギィャォォォォォン!!
こちらの番だと言わんばかりに、ドラゴンは大口を開け腹に貯めた魔力をこちらに放つ。
カルス「まずい!避けろ!」
クロマ「はい!」
アルファード様の掛け声に合わせて私達は横っ飛びで回避する。
ドラゴンがこちらに打ってきたのは爆発属性の魔術。
カルス「ありゃ間違いなく古代魔術だな…」
クロマ「そうですね…かつては炎魔術の上位魔術として使われていたと聞きます」
カルス「オスカー!!大丈夫かー!」
オスカー「ええ…なんとか…」
私達より少し余裕なく避けたオスカーさんを気にかけるも軽症で済んでいた。
オスカー「クロマさん何か考えがあるのでしょう?私が時間を稼ぎますからアルファード様と作戦を組んでください!」
クロマ「バレてましたか…お願いします!」
オスカーさんは私達より前に出て魔術でドラゴンを狙い打つ。
当たりはしないものの、ドラゴンもこちらに攻撃できない様子で時間稼ぎは叶う。
カルス「作戦ってなんだ?」
クロマ「私がラングドックの方で重力魔術を会得しました」
カルス「なに!?スクロールを手に入れたのか!」
クロマ「はい、私が重力魔術で撃ち落とす…は出来ないかもしれないですが、動きを止めることは出来ると思います」
カルス「なるほどな、そのうちに俺が一撃で屠ればいいと」
クロマ「はい、お願いします!第2等級魔術も見たいですしね!」
カルス「ああ分かった、任せろ!」
私達は作戦会議を終え、魔力ギリギリまで粘ってくれたオスカーさんに合図を送る。
クロマ「ありがとうございますオスカーさん!」
オスカー「もう…限界です、、」
カルス「あとは任せろ!助かったぜ!」
ギィャォォォォォン!
向こうも攻撃が止んでチャンスとみたか、爆発魔術を溜めてこちらに標準を合わせる。
クロマ「『此処で古代魔術を使用す、響き渡れ』グラビスタ!!」
オスカー「特殊詠唱!?」
ブウォォォォォン
夜闇の中に重苦しい重低音が響き、翼竜の周囲の重力を増大させる。
ギャンオォォォン!
鼓膜が破れるんじゃないかと思うほどの叫び声が辺り一帯を襲うも、その鳴き声は重力魔術が聞いている証拠でもあった。
カルス「ナイスだぜ!アリウス!」
カルス「『絢爛たる紅蓮の劫火よ、全てを振り払い咲き誇れ』ヘル・フレイム!」
アルファード様の詠唱後、杖から放たれる特大の火球。
まるで今が昼間じゃないかと、錯覚するほどの光度で瞬きした刹那、火球は翼竜に命中し叫び声をあげる間もなく一瞬で塵となっていた。
クロマ「こ、これが古代魔術…魔力の消費がすごいし、、アルファード様の第2等級魔術…なんて威力なんでしょう…」
カルス「ひっさしぶりに使ったぜ…疲れるな、、」
オスカー「お二人とも流石です!本当に助かりました」
空で塵になった翼竜からスクロールが出現し、ゆらゆらとこちらの方へ落ちてくる。
カルス(スクロールが翼竜から…?)
クロマ「『汝、クロマ・アリウスの名のもとに、此魔術を我がものとする』」
私は立って服の埃を払い、杖を真っ直ぐ構え詠唱する。
カルス「アリウス、ラングドックの方でもこんな形で重力魔法を取得したのか?」
眩い光が杖に吸い込まれ、私が無事に終わったと深呼吸しているとアルファード様が問いかける。
クロマ「はい、そうです」
カルス「お、おう…そうか」
オスカー「どうかされましたか?」
カルス「いや、なんでもないんだ」
何かが引っかかっているような様子のアルファード様を横目に、私は一足先に遺跡の方へと戻っていく。
私を追いかけ2人も小走りで着いてくる。
???「ドラゴンでもぉダメなんだねぇ…カルスくんには気づかれちゃったね、もう少しクロマちゃんには活躍して欲しかったなぁ…」
遺跡に戻る出口の上であぐらで座っている姿あり、私やアルファード様でさえその存在に気づくことは出来なかった。
カルス(ドラゴンやオークの魔物が自身でスクロールを取得することは出来ないはずだ…そう進化した可能性も勿論あるが、裏で暗躍している者がいると考えるのが自然だよな…)
クロマ「アルファード様?大丈夫ですか?」
カルス「あぁちょっと魔力の消費で疲労があってな…」
オスカー「本当にお二人とも助かりました!我々の先祖の仇を無事に討つことが出来て本当に嬉しく思います」
遺跡を無事に抜けて、サンドリアを目指して帰路に着いていた。
クロマ「にしても私が古代魔術を頂いてよかったのですか?」
オスカー「我々からのお礼だと思って受け取ってくださいと何度も申しているでしょう!」
クロマ「ではこのままありがたく頂きますね」
道中、翼竜に襲われることもなく私達は無事にサンドリアに着きオスカーさんとは別れ私達は2人でホテルに戻った。
クロマ「ただいま戻りました」
カルス「アルドラーなんか外が騒がしかったが大丈夫だったか?」
アルドラ「ええ、襲撃はあったけど問題なく対処出来たわ」
アリス「私がしっかり援護させていただきました!」
クロマ「アリスすごいですね、よく頑張りました」
アルドラ「…」
カルス「あぁーなんだ、無事解決してよかったってことで」
アリス「ところで、なんで王と王妃はこちらに宿泊してたんですか?」
カルス「ラフストーン公国の方で各国の王が面談する会があってな、それでサンドリアを経由してミリディアに戻るところだ」
クロマ「なるほど、そういう経緯だったんですね」
私は話が一段落するとアキシオン様の方を向く。
クロマ「アキシオン様、アリスの我儘を聞いて下さりありがとうございます」
アルドラ「いえ……いいのよ」
アキシオン様は変わらず目を合わせる様子は無く、返事をしてくれただけ良いかなとも思っていた。
カルス「…」
アリス「…」
クロマ「2人ともどうかされたんですか?」
アルファード様とアリスが何かを察したかのように互いを見合って頷き合う。
カルス「なぁ、アルドラ。そろそろ話していいか?」
アルドラ「ちょっと、やめてちょうだい!」
アリス「アルドラさんいいじゃないですか~」
アルドラ「嫌よ…!」
クロマ「そんな大丈夫です!私のことよく思ってないのでしょうし、私も嫌って訳じゃないですから」
アルドラ「ちがっ…」
クロマ「…?」
アリス「クロマさん違うんです」
カルス「そうそう、アルドラはちょっと変なんだよな」
私が完全に置いてけぼりな状況で2人はなぜか満面の笑みでアキシオン様と私を交互に見る。
アルドラ「実は…」
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アリス「アルドラさんってクロマさんのこと好きなんじゃないですか?」
アルドラ「…なっ、」
アリス「いえもちろん恋愛的な意味では無く、人間として可愛くて好きとかそういう感じじゃないですか?」
アルドラ「……分かるのね…」
アリス「はい!クロマさんとっても美人ですし、私も大好きですから」
アルドラ「そうなの、認定式の時に初めて出会ったのだけれど、顔が本当に好きで…また会えないかなぁなんて思っていたから会えたのがすっごく嬉しくて」
先程までの美人なお姉さん的な雰囲気ではなく、モジモジと恋する乙女のような仕草のアルドラさんに私は共感がもてた。
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アルドラ「アリウスちゃんのことが…好きなの…」
クロマ「…え?」
アリスとアルファード様がより一層にっこりと笑い、私は呆然とする。
その後、アリスとアキシオン様が護衛の時に話していたことや、アルファード様がアキシオン様から聞いていた内容などを説明してもらい、ようやく納得した。
クロマ「なんだ…そうだったんですね…」
カルス「そうそう、それで不機嫌になってたんだよな」
アルドラ「別に不機嫌とかじゃないわよ!直視できなくて…目を合わせられなかったの…」
クロマ「嬉しいですよ、ありがとうございます」
アキシオン様は歯がゆそうにモジモジしているが、それとは対照的にアリスやアルファード様はとても楽しそうだった。
カルス「これから2人はどうするんだ?」
クロマ「そうですね…教えて頂いた道順で魔界のゲートを目指そうかなと思います」
カルス「そうか、じゃあ気をつけて旅するんだぞ。俺達は明日には出るからな」
アルドラ「大森林に行くのであれば、ちゃんと街の魔導師に説明してもらいなさいね」
アリス「はい!気をつけます!」
クロマ「お二人ともありがとうございました。また会う時はミリディアでですかね」
カルス「そうだな、また生きて会おうぜ」
クロマ「はい!また!」
アリス「また会いましょうね!」
アルドラ「また会えることを楽しみにしているわ」
私とアリスは2人に挨拶をし、自室へと戻った。
クロマ「アリス、どうですか?学べるものはありましたか?」
アリス「はい、アルドラさんの魔術を間近で見れて本当にいい経験になりました」
クロマ「それなら別行動を取った意味がありましたね。私では見せれないものがあったでしょうから」
アリス「私はクロマさんの弟子ですから!クロマさんの魔術をしっかり学びたい気持ちはありますよ!」
クロマ「アリスはいつも嬉しいことを言ってくれますね」
アリス「具体的に次はどこに向かうんですか?」
クロマ「そうですね…ひとまずらラフストーン公国の方に向かいましょう。そこでまた宿を確保して大森林を調べようかなと考えてます」
アリス「まだまだ旅が続きそうで楽しみですね!」
クロマ「はい、今はしっかり体を休めて向かいましょう」
アリス「分かりました」
二人でベッドに寝転び、今日起こったことを反芻する。
私もアルファード様の第2等級魔術を間近で見させてもらって、学ぶことがあった。
あれを自分の身で…簡単に出来るとは思っていないけどいつかは私も出来るようになれたらいいな。
気づけば疲労からか意識を手放していた。
深い深い眠りにつき、スクロールは取得できサルメール砂漠での目的は達成できた。




