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5.秘密結社の盗み見&第二回緊急会議

「あら、あそこにいるのは、アリア様と聖女様?」


「しっ、静かに。今いいとこ、いや、大事な諜報活動中なのだ」


「サルーシャ様じゃないですか。ふむ。私も秘密結社の一員として、参加いたしましょう」


「リリアン嬢、見てみたまえ。あのアリーのドヤ顔⋯⋯ククッ、そんなに悪役令嬢と言われたのが嬉しいのか」


「あっ、否定されてしまいましたよ」


「泣くほどか? 泣くほどショックなのか? プッ、ククッ、可哀想だが、クククッ」


「まあ、あんなに慰めて、聖女様は悪い人ではなさそうですわね」


「アデリン様まで盗み見ですか」


「失礼ですわよ、リリアン様。これは秘密結社としての合法的なストーキングです」


「そんな堂々と」


「盗み見ではない。アリーに危険が迫ったらすぐさま助けられるよう、見守っているのだ」


「なぜサルーシャ様まで言い訳を」


「ストーキングだという自覚があるからですわ」


「⋯⋯⋯⋯ほら、聖女様がおかしなことを言い出しましたよ」


「これはアリーが食いつくぞ。ほら、あの顔。さっきまで泣いていたとは思えない」


「ますます面白くなってきましたわね」




                  *




「これより、“アリーを見守る会” 第二回緊急会議を始めます。

 まずは、皆さんが集めた情報を報告していただきましょう。では、アンナから頼む」


「はい。私からの報告は、直接お聞きいただくのが早いでしょう。録音がありますので、今から再生いたします」


「そ、それは⁉︎ なんて愛らしい! ちょっと見せてくれないか⁉︎」


「ダメです。これから再生しますので」


「それ、アリア様ですわよね? アリア様に録音されているということですの?」


「はい、この中に魔道具が仕込んでありまして、録音と再生ができる仕様になっております」


「素晴らしいグッズですね。さすがアンナさんです」


「ありがとうございます。では、お聞きください」


  ・  ・  ・  ・  ・  ・


「聖女様がサルーシャ様と共に魔王を倒すという妄想⋯⋯と言って片付けてよいものではありませんね」


「ええ。これは、先ほど聞いたこととつながってきますわよね」


「アンナ、素晴らしい働きだった。なにより、魔道具が秀逸だ。ちょっと手に取ってもいいかな?」


「⋯⋯先ほど聞いたこととは?」


「学園でのことです。では、私たちからもアンナさんにご報告いたしましょう。本日、聖女様とアリア様が再び遭遇いたしまして、聖女様が悪役令嬢発言を撤回→アリア様ガッカリして泣く→聖女様が慰める、という展開がありまして」


「あ、アンナ⋯⋯その、魔道具を⋯⋯」


「アリア様と聖女様は、ちょっと打ち解けたご様子で、そのあと聖女様のいた世界についてのお話があったのですわ」


「そう、この世界が、聖女様の世界で多くの人に楽しまれている物語のひとつに似ている、と」


「なるほど、辻褄が合いました。どうも聖女は、この世界と物語との差異を『そんなはずはない、物語のほうが正しい』と捉えている節がありますね」


「⋯⋯あのう、魔道具⋯⋯見せて」


「そうなのですわ、アンナさん。

 とは言っても、聖女様はそこまで要注意人物のようには見えませんでしたが」


「ええ、私もそう思います」


「わかりました。しばらくは、警戒をしつつも静観、といったところですね」


「ええ。近いうちに、またアリア様と聖女様の遭遇が予想されますわ。そこで、さらなる展開があると見込んでおります」


「私も同感です」


「魔道具⋯⋯アリーの⋯⋯ちょっとでいいから⋯⋯」


「では、次回の会議は、新たな動きがあったらすぐに開催ということでよろしいかしら?」


「かしこまりました」





「あの方、まるで使いものになりませんでしたね」


「ふふふ。ちょろいもんです」


「私、確信しました。世界最強は間違いなくアンナ師匠です」


「激しく同意いたしますわ」



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