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魔弾の魔女の弟子エフィーは旅をする  作者: ブレイブ
一章、少女エフィーは旅に出る。
2/8

プロローグ2、エフィーとエルマンダ

エフィーとエルマンダの日常を記した短編集的なお話となります。

「エルマンダ風邪を引く」


エルマンダの家


エルマンダの家にエフィーが来てから半年が過ぎた頃。エルマンダが風邪を引いた。


「ゴホッゴホッ、昔ならこんな風邪は引かなかったんだがねぇ…」


エルマンダは自身の老いを感じつつ何やらゴソゴソしているエフィーを心配する。


「何をしてるんだろうねぇ?」


可愛い弟子が怪我をしてしまわないか心配しつつエルマンダは見に行きたいが動かない体を恨む。すると扉が開きエフィーが部屋に入って来た。


「師匠!、ミルク粥を作ったの!、食べて!」


エルマンダが風邪を引いたと聞いた少女は素早く動きまずは院長の元に行って風邪を引いてしまった場合何をすれば良いのか聞いた。その結果栄養を付けなければならないと聞いたエフィーは院長から聞いたミルク粥を不慣れながらに作りエルマンダの元に持って来たのである。


「おやおや、おまえは優しい子だねぇ…」


エルマンダは過去にも同じように弟子がミルク粥を作ってくれた事を思い出し涙を流す。


「師匠…?」


泣く師を見てエフィーは焦る。


「大丈夫だ、それよりも体の動きが鈍くてね、食べさせてくれるかい?」


「うん!、良いよ!」


エフィーは嬉しそうにスプーンを手に取るとエルマンダの口に運ぶ。エルマンダも嬉しそうな顔でエフィーにミルク粥を食べさせてもらう。


「美味しい?」


「あぁ美味しい、初めて作った割には上出来だ」


ミルク粥には育ててくれているお礼と早く元気になってほしいとの想いが詰まっている。そのためエルマンダはこの上なく美味しいミルク粥だと感じた。


「早く元気になってね、師匠」


「あぁ、早く元気になるために眠るとしよう」


「うん、お休み、師匠」


エルマンダは目を閉じるとすぐに眠りにつく。



暫くして大分体が楽になったエルマンダが目を覚ますとベッドにもたれかかって眠っている少女の姿があった。


「全く、こんなところで寝たらお前も風邪を引くよ?」


エルマンダは動くようになった体を動かしエフィーを抱き上げるとベッドに連れて行く。


「んぅ…、師匠?、もう元気?」


「あぁ、お前の粥のおかげでね」


寝ぼけながら元気になったか聞いて来るエフィー。エルマンダは返答しながら髪を撫で元気になったと伝える。


「えへへ、良かった」


エルマンダの言葉を聞いたエフィーは安心した様子で夢の世界に旅立って行く。



「ママ」


エルマンダの家


外から帰って来たエフィーは帰った事を元気良く師に伝えるために口を開く。


「ママ!、帰って来たよ!、…あっ」


ついついエルマンダをママと呼んでしまったエフィー。ダメだったかな?と思った少女はエルマンダの顔を見る。そこには…。


「…」


とても嬉しそうな顔をした老婆がいた。


「…もう一回言うんだ、エフィー」


「ま、ママ」


「…」


今度は照れながらママと呼ぶとエルマンダはとても嬉しそうな顔でエフィーに近付き抱きしめる。その日から数日間。露骨に夕飯が豪華になったのは言うまでもない。




「エフィー十五歳の誕生日」


エルマンダの家


五月三日。この日はエフィーの誕生日である。エフィーの誕生日を祝うため家にはラナも訪れておりテーブルの上にはエルマンダお手製のケーキ屋料理が並べられていた。


「おめでとう、エフィー」


ラナはエフィーの誕生日を祝いつつプレゼントを渡す。中に入っていたのは新しいホルスターだった。可愛らしい花の刺繍入りだ。


「ありがとう」


エフィーは嬉しそうな顔を見せつつ早速巻いて見せた。


「似合う?」


「バッチリ!」


「エフィー、私からもプレゼントだ」


ラナとの会話を終えるとエルマンダも箱を渡して来た。


「ありがと、ふふっ、師匠からのプレゼントは何かなぁ?」


エフィーはウキウキした様子でプレゼントを開ける。中には新しい魔導銃が二丁入っていた。十五歳の誕生日を祝うために数ヶ月前に有名魔導銃メーカーロッソアフォロに頼んだ特注のエフィー用のオリジナル銃だ。黒いオーソドックスな銃だがエフィーはこの銃を非常に格好良いと思う。


「師匠!、ありがとー!、大好き!」


成長し自分の気持ちを正確に伝えられるようになっているエフィーはエルマンダに抱き付きながらお礼を言う。エルマンダは抱き付いて来た愛弟子を優しく抱きしめ返す。


「大事に使うね?」


「あぁ」


短い返答。しかしそれは照れているからだと分かっているエフィーはクスクスと笑いつつ料理を取り分け三人で手を合わせ料理を食べ始めた。


「墓参り」


シホーハッタの街、墓地


シホーハッタの街の墓地にはエフィーの両親の墓地がある。エフィーは一人。両親の墓参りに来ていた。


「久し振りだね?、パパママ」


エフィーは両親の墓石に手を触れつつ話す。


「私、十五歳になったの、大きくなったかな?」


その質問に答える者はいない。エフィーはその事に対して寂しく思いつつも強い瞳を見せる。


「パパ、ママ、私、必ず一人前の魔女になるからね?、約束」


約束だと言うと風が吹く。その風はたまたまだと分かっていても両親の言葉のように感じたエフィーは涙を流しそうになるが堪え。両親の墓に微笑みかけてから去って行く。




暫くしてエルマンダが墓の元にやって来た。


「久し振りだね、エル」


エルマンダはそう言いつつ墓を撫でる。


「全く…この馬鹿弟子が、師匠である私より早く死ぬなんて…」


そう言ったエルマンダは悲しそうに俯いた。同時にエルが自分の元に来た日を思い出す。


『ええ!?、この庭のお手入れを私一人でするの!?』


「くっくっく、全く親子だねぇ?」


最初の試練に対して似たような事を言う親子の記憶。エルマンダはそれがおかしくクスクスと笑う。


「エル、あの子、エフィーはお前に似てとても優しい子だ、優しいからこそ、お前のように自分の命を投げ捨ててでも誰かを救おうとしてしまうかもしれない、でもね、今度こそは私は弟子を失わないと決めているんだ、だから安心しな、エフィーがお前の元に行く時はちゃんと天寿を終えてからになる、それまで待っていておくれ」


エルマンダの言葉。その言葉はエフィーの身に命の危機が訪れた時。自分が代わりに死ぬ覚悟を秘めた言葉のように聞こえた。


「あれ?、師匠、なんでここにいるの?」


エルマンダが手を合わせているとエフィーがやって来た。その手には花束がある。


「ここに眠る魔女エルとは一緒に仕事をしたことがあってね、だからこそ弔ってやろうと思ったのさ」


エルマンダはエフィーの姉弟子がエフィーの母エルであると言う事を伝えていない。その理由は母のように頑張らなくては!と伝えると気負って無理をしてしまうかもしれないと考えたからだ。


「そうなんだ、ふふっ良かったね?、パパ、ママ」


エフィーは嬉しそうに言うと花束を墓に置く。エルマンダも魔法で花を作ると置いた。


「さぁ帰ろうかエフィー」


「うん、今日は私がご飯作るね?」


「おやおや?、また焦がすんじゃないだろうね?」


「だ、大丈夫だよ…」


「本当かい?」


「…」


エルマンダはしっかりとエフィーの手を握り。エフィーの両親の宝であるエフィーと共に家に帰って行った。

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