プロローグ
地球
ここは我々が住む地球とはあり方が違う地球。何故あり方が違うのか?と言うと魔法があるからだ。
魔法。エーテルとも言われるその力は我々が住む地球とは違う歴史を世界に歩ませた。その結果この世界は魔法を研究し魔法を発展させ魔法で作った物で溢れる世界となったのである。
イギレア、シホーハッタの街
ここはシホーハッタ。とある高名な魔女が住む街。この街には一人の少女が暮らしていた。
「おはよーラナちゃん!」
ラナと言う少女に挨拶をしたこの少女。名はエフィー・ユルグリッド。両親は事故で亡くなってしまい現在は孤児院で暮らす七歳の金髪青目の少女である。
「やっほーエフィー」
同じく七歳であるラナは明るくエフィーに挨拶を返し手を振り合う。
「今日は遊ぶ?、それともお使い?」
「お使い、だから遊べないの、また今度ね!」
エフィーはラナとまた今度遊ぶ約束をすると手を振って去って行く。そして孤児院の院長に頼まれたランプの魔道具の修理に必要な部品を店で受け取ると孤児院に向けて帰路に着く。
「せんせー!、帰ったよー!」
エフィーは明るい声で院長に帰った事を伝える。
「お帰り、エフィー、あんたにお客様だ、ほら挨拶しな」
院長は部品が入った袋を受け取ると無事お使いを済ませたエフィーの髪を撫でてやってからエフィーにお客がいる事を伝える。
「私に?」
エフィーシアは院長が言うお客の方を向く。
「えっと、初めまして!、エフィーです!」
そして元気良くお客に挨拶をした。
「こんにちは、エフィー、私はエルマンダだ、よろしく」
エルマンダ。この街に住む高名な魔女だ。
「せ、せんせ!?、エルマンダ様って有名な魔女様だよね!?、なんで私に!?」
エフィーは高名な魔女が自分の元に現れた事に混乱した様子で院長の方を振り返り見た。
「それはエルマンダ様から聞きな」
院長は優しく微笑みながらエルマンダが教えてくれると返答した。そう言われたエフィーはエルマンダの方に向き直す。
「エフィー、あんたの両親が亡くなってからもう三年も経っちまった、出来ればすぐにでもここに来たかったんだがね、私も多忙で今まで来れなかったんだ」
「そ、そうなんだ」
エフィーは彼女が何を言おうとしているのかなんとなく察しながら話を聞く。
「すまないね、すぐに来れなくて」
「良いよ、パパやママはいなくなったけど、ここにはみんながいるから寂しくなかったもん」
そう両親を失ったが可愛がってくれる院長に同じく院に住む子供達や街の友達がエフィーの周りにはいた。そのためエフィーは両親がいない寂しさは感じていたものの。それ以外は全く寂しい思いをする事なく今まで生きてきたのである。
「そうか…」
エルマンダはエフィーの言葉を聞きホッとした顔を見せる。
「さてエフィー、お前は賢い子のようだ、だから私が何を言おうとしているのかはもう分かっているね?」
「うん、なんとなく」
「それじゃあ簡潔に聞こう、私の弟子になり、私に引き取られる事を望むかい?」
「うん!、行く!」
弟子になり自分の元に来るか?。その質問にエフィーは迷わず行くと答えた。
「良し、それじゃあ今日からお前は私の弟子だ、院長、と言うわけでこの子は私が引き取るよ」
「はい、エルマンダ様、どうかこの子をあの子と同じくよろしくお願いします」
院長は最後にエフィーを優しく抱きしめてからエルマンダの元に送り出す。
「せんせ、ありがとう、今まで育ててくれて」
「良いんだよ、それが私の仕事だからね、エルマンダ様の元で魔法を学び立派な魔女になるんだよ?、エフィー」
「うん!」
エフィーは院長の言葉を聞き絶対に立派な魔女になるそう思うとエルマンダの元に向かう。
「さぁ行こうか、エフィー」
「はい!師匠!」
こうして私。エフィーは魔弾の魔女。エルマンダ様の弟子となったのです。
エルマンダの家
エルマンダの家にやって来たエフィーの修行が早速始まっていた。
「さて、エフィー、早速だがお前の修行を始める、私はエフレ派の魔女でね、この魔導銃を使って魔弾を放ち戦うんだ」
「なるほど、だから魔弾の魔女って呼ばれてるんだね」
「そうだ、お前には私の後を継ぎ、八代目の魔弾の魔女となってもらうよ」
「うん!、…師匠は何代目なの?」
エフィーは子供ながらに気になった事を聞いてみた。
「六代目だ、私が弟子を持ったのはこれで二人目なのさ」
「先代は誰なの?」
「…いつか、伝える日が来るだろう」
先代の事を聞かれたエルマンダはどこか悲しそうな顔を見せてからいつか伝えると言った。
「…分かった」
今は教えてくれないのを理解したエフィーは今聞くことは諦める。
「さて、その魔弾の魔女となるための修行だが、まずはこの草だらけになっちまった、庭の掃除をしてもらうよ」
「ええー?、それって魔導銃を使うエフレ派の魔女の修行と関係はあるの?」
「あるからやらせるのさ、何日かかっても良いから終わったら私に教えるんだ、良いね?」
「はぁい…」
エフィーは乗り気ではないが庭の掃除を開始する。エフィーは庭掃除の何が魔女としての修行に関係があるのだ?と思いつつも真面目に庭掃除を進めて行く。
(懐かしいね)
窓からその様子を眺めるエルマンダはかつてそっくりな姿をした少女が同じようにこの庭の掃除をしていた光景を思い出し。空を見上げる。
(お前にそっくりだよ、あの子は)
エルマンダがエフィーにやらせているこの庭掃除は銃を使って戦うエフレ派の魔女には必須な体力を付けるための修行である。そのため他のエフレ派の魔女候補達も同じように体力を付けるための修行をまずは行う。
「はぁー、終わったぁ…」
中々に広い庭の掃除を終えるまではエフィーの小さな体では一ヶ月掛かった。最初は筋肉痛になりしんどかったこの庭掃除も最後の方には余裕で行えるようになっており。エルマンダの狙い通りエフィーにはしっかりと初期体力が付いたようだ。
「師匠、終わったよー」
部屋の中に入ったエフィーは庭掃除が終わった事を師匠に伝える。
「よくやった、こんなに早く終わるとは思わなかったよ」
エルマンダは思った以上に早く庭掃除を終わらせたエフィーに驚きつつ褒める。褒められたエフィーは可愛らしくえへへと微笑んだ。
「それで!、師匠、次の修行は!?」
「次の修行はそうだね…」
師匠の厳しい修行はこの後も続きました。辛く厳しい修行。でもその厳しさは今になって思うと必要だったんだと思います。
修行が始まり。八年の月日が流れたある日。エフィーは自室にて目を覚ました。
「ふぁ…」
あくびをしつつベッドから降りた少女は金色の髪を部屋に差し込む太陽の光に煌めかせつつクローゼットに近付くと服を着替えた。そして腰にホルスター付きのベルトを取り付け愛用の魔導銃を二丁装備すると部屋から出た。
「今日はーバタートースト〜」
鼻歌を歌いつつエフィーは朝食を作る。朝の朝食作りはエフィーが七歳の頃から今までずっとエルマンダから任されている仕事だ。その他に家の掃除や洗濯。庭の手入れなど全てエフィーが毎日行っている修行の一つである。
「おはよう、エフィー」
八年一緒に暮らした師エルマンダが起きて来た。
「おはよー、師匠」
エフィーは師に挨拶しつつ彼女の前と自分の椅子の前にパンとコーヒーを並べると朝食を食べ始めた。
「エフィー、今日も街に行って困っている人を助けて来るんだ、良いね?」
「了解、朝の仕事が終わったら行って来る」
「良い返事だ」
街に行き街の困っている人を助ける。それは修行の身の魔女にとって誰でも与えられる課題だ。魔女とは人と寄り添い人のために魔法を使う。それがエフレ派の流儀でありこの修行もその流儀に習った修行である。
「ご馳走様」
朝食を食べ終えたエフィーは掃除などの朝の仕事を終えると街に出かける。
「そろそろかねぇ、なぁエル、お前はどう思う?」
家から出て街に向かって道を行くエフィーの後ろ姿を窓から眺めつつ。エルマンダはこの日も空を見上げる。
シホーハッタの街
「困ってる人はいないかなー?」
変な歌を歌いつつエフィーは街を行く。すると荷物が重くて歩けなくなっている老婆を見つけたため。指を鳴らし魔法で荷物を浮かせてやる。
魔法は誰でも使えると言うわけではない。この老婆のように使えない者も存在するのだ。
「おやおやエフィーじゃないかい、ありがとうねぇ?」
「ふふっ、良いの良いの、これが私の流派の流儀だしね」
老婆の家の場所を知っているエフィーは荷物を先に老婆の家に送ると。空を飛んで老婆の家に向かう。
「着いたよー」
「いつもありがとうねぇ?、エフィー」
「ふふっ、良いの良いの」
修行でもあるが誰かの手助けはエフィーは好きでやっている事だ。
「それじゃまたね」
手を振って老婆と別れたエフィーは再び街中を歩く。今いる三番通りから二番通りに繋がる裏道を金色の髪を揺らしながら歩いているとガラの悪そうな者達が強盗をする光景を目の当たりにした。
「…師匠のお膝元で悪さする度胸に感心するよ」
エフィーはガラの悪そうなお三人方の度胸に呆れつつ銃を抜き走り出した。
「よっと」
エア。飛行魔法で先回りしたエフィーはお三人方の前に着地すると銃を向ける。
「その鞄置いてかないなら撃つからね」
「へっ!、撃ってみろや!」
男が剣を振るう。エフィーはそれを後ろに飛んで避けた。続けて二人目が魔導銃を撃つがエフィーは小さな動作で避ける。
「!?、なんだ今の動きは!?」
八年前、エルマンダの家
エルマンダは掃除に洗濯をしているエフィーの様子を見守っていた。
(あの子とそしてあの方の才をこの子が引き継いでるのだとしたら…エフィー、お前にも出来る筈だ)
仕事を終えて部屋に入って来たエフィー。エルマンダはそんな彼女に向けて庭から拾って来ていた石を当たっても少し痛い程度のスピードで投げる。すると…?。
「わっ!?」
エフィーは。『確実に体には当たらない最小の動きだけで』。石を避けて見せた。
(やはりか…)
今のエフィーの動きは相手の呼吸や動作から導き出される石の動きを一瞬で脳で処理し最短の動きで避けると言う強力な観察能力と動体視力と反射神経があるからこそ出来る技だ。
つまりエフィーには一対一の場合ならば魔法などを使いよっぽど手数が多い攻撃が出来る場合以外は射撃はほぼ当たらないのである。
「し、師匠?」
エフィーは首を傾げて何で投げたの?と態度で質問をしている。
「エフィー、今の動き、それこそお前の最大の強みだ」
「?、石を避けただけだよ?」
「その動きが中々に出来るものではないのさ、ほら私に投げてみてごらん?」
エルマンダはエフィーに石を拾って投げてみろと促す。エフィーは言われた通り石を拾うとエルマンダに向けて投げる。するとエルマンダは避ける事は出来たがエフィーよりかなり大きな動作をして避けた。これが通常の人間とエフィーの差だ。
「私の動きとお前の動き、これで差が分かっただろう?」
「う、うん」
幼いエフィーでも今の自分とエルマンダの動きの差を比べれば。自分には特殊な能力がある事が理解出来た。
「エフィー、その動きを活かすためには銃を上手くならないといけない、これから毎日射撃練習をするよ」
「はい!、師匠!」
現在、路地裏
時は現在に戻り。男がエフィーの動きに戸惑っている。エフィーはそんな男に向けて魔道弾を放ち当てた。
「ぐぅ!!」
非殺傷弾だが。かなり痛いため男は倒れ込み戦闘不能となる。
「テメェ!」
三人目の男も魔導銃装備だ。魔道弾を放って来る。そんな男の動きを横目で捉えていたエフィーは小さな動きで全ての弾丸を避けながら男に対して狙いを付けトリガーを引く。
放たれた弾丸はエフィーの避け方を見て戸惑い動けなくなっている男に全弾命中し三人目の男も倒れる。
「くっそぉ!!」
真後ろから男が剣を振るって来る。エフィーは剣をまた小さな動きで避けると男の腹に銃口を当て三回トリガーを引いた。三回強烈な一撃を腹に貰った男は力なく倒れ。戦闘は終了する。
「ふぅ」
戦闘を終えたエフィーは全く…と思いつつエフレ派の魔女の杖とも言える銃をホルスターに戻す。すると鞄を盗まれた街の住民が近付いて来た。
「ありがとう、エフィー」
「ふふっ、私は魔女、人助けも仕事だから、お礼なんていらないよ」
そう言ったエフィーは慣れた動作で指を振るうと男達に盗難犯ですと貼り紙をしてから警察署の中に転送させる。
「それじゃ」
住民に手を振ったエフィーは二番街に入って行った。
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