表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

第四話 リーダーを決める必要はないだろう

 そうして迎えた翌日。少し遅れて、私は教室に着いた。勢いを少しつけて扉を開ける。生徒たちは全員集まっていたようで、全員席についてアワンの話を聞いていたようだった。

 アワンが私のほうを見つめる。


「さっきまでどこにいたんだ」

「え~っと。少し貧血を起こしてしまいまして。治るまで体を動かさないようにと横になってたんです」


冷汗が垂れる。


「そうか。もう異常はないな?」

「はい」


それじゃあ、席についてくれ。そう言って、アワンは私から、先ほどから座っている生徒たちのほうへ視線を変えた。

 学園から支給された教科書?あれが興味深くて時間すら忘れていた。そのことがばれなくてよかったと、心の中で安堵しつつ、私は席に着いた。


「それじゃあ本題に戻るぞ。二週間後にある特別試験。今回はA、B、C、Dクラスの対決だ。つまり、団体戦だ」


団体戦。今回の特別試験は一対一ではないのか。

 それがわかったとたん、私の口角が上がる。一体どれほど強くなったのか。そのことが頭に浮かんでくるたびに、わくわくが止まらない。


「ただ、普通の団体戦ではなくて。七日間のサバイバル生活をしてもらうことになっている。そして、ここからが重要なんだ」


全員が固唾をのむ。


「一クラスの中から必ず一人、リーダーを決めてもらう。七日間の間リーダーにはバッジを持ち、死守してもらうそうだ。そこで、君たちにはこの時間でリーダーを決めてもらう」

「はい」


先生の言葉の後、一人の男子生徒が手を挙げた。しかし、柄の悪い服装で金髪。そのせいか、みんなからは不安の目線が送られていた。こいつがリーダーに立候補なんかしたら。みんなの予想は見事に的中した。


「俺がリーダーやってもいいっすか?こいつら頼りなさそうだし、俺よりも弱いんで」

「ちょっと待ちたまえよ。それは誤解だ」


リーダー決めという名のコロッセオに、全員のヘイトを買い始めた男と冷静そうな男子生徒が入ってくる。

 

「リーダーはこの僕に決まっているだろう」

「あぁ!?」


 男は男子生徒に牙を向け、威嚇する。ああ始まるよ。と、私は陰でため息をついた。

 しかし、男子生徒は男に向けて正論を言ってしまう。


「君は僕より弱い。だから、審査でDと判定されたんだろう?」

「それはお前もそうだろ!」


男は感情的になっているせいか、声を荒げていた。だが、男子生徒のほうはまったく揺らがず、男を嘲笑していた。


「私はこの学園の最上位を最下位の実力を知っておきたかったのだよ。最強は誰だかはもうわかったからさ。最下位の実力を見ようと思ってこのクラスに入っただけだよ」

「へっ。熱くなってんじゃねーよ」


今度は男が嘲笑して見せた。


「確かに俺は適正Dクラスだ。だが、こいつらほどじゃねぇ。俺は認めてるよ。だけどお前は違う。つまり、お前はやる気がなかっただけだと言って自分を正当化しようとしてるばかやろうってことだ」

「なにを?」


男子生徒の眉間にしわが寄り始め、席を立ったかと思えば、男の席まで歩いていく。

 そして男の席まで来た途端、男子生徒は男にこぶしを振りかざした。


「やめなよ!!」


危うく男の顔面に直撃しそうになっていたこぶしを、メルは男子生徒の手首をつかんむことによって止めた。 

 二人のヘイトがメルに向く。


「俺らの喧嘩に入ってくんな。さっさと席についてろ。それともなんだ?お前がリーダーをやるのか?」


メルも血の気が多いな。と、のんきに私は彼女の返答を待っていた。少し前のめりになって、頬杖を突く。


「いいえ。私はリーダーになる気はないわよ。だけど、あなたたちよりよっぽど適任な人いる」

「ほぉ?そいつは誰だ。俺はそんな奴いねぇと思ったんだけどな」


メルの発言に違和感を覚えた私は、即座に知らんぷりをした。だが、もう遅かったらしい。メルは私のほうを向き、指をさして私の名前を挙げた。


「私はディアがリーダーになるべきだと思う」

「あいつが?」


男たちも私を見つめ始める。気が付けば、もう私は注目の的になってしまっていた。

 やりたくないのに。そう思った私は嫌な顔をし、やる気がないことをアピールした。しかし、話は進行していく。


「だったら、この三人で今日の放課後戦おうじゃねぇか」

「望むところだよ。力の差を思い知らせてあげよう」


そうして今日の放課後にあの二人と戦うことになった。

 ここまで来たならばリーダーをやらせてもらおう。めんどくささはあるが、リーダーは強い奴と戦える権利を得られるようなものだ。そんなもの、私が手放すわけがなかろう。

 そうして私は放課後、学園内にある大きな運動場に来ていた。目の前には男と男子生徒。全員とも距離をとりつつ様子をうかがう。

 しばらく緊迫した空気が流れる。そしてそれを打ち破ったのは、男の汗が地面に衝突した時だった。

 Dクラス生徒が全員見つめる中、リーダーを決める戦いが始めった。

反応が良ければ続編を作って投稿してみようと思っております。面白ければブックマーク等をしていただけると幸いです




 次回はもっと面白い話にしようと励みます。応援よろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ