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第二話 Dクラスは汚名なのだろうか?

 ついにここまで来たかと、私はDクラスと書かれた表札を見て足を止めた。

 いったいどんな人がいるのだろうかとワクワクしながら、その扉を開ける。しかしそこに広がる光景は、私の想像とは違っていた。

 大多数の生徒は落ち込んでおり、遅れて到着した私にも見向きもしない。よほど最底辺のクラスになったのが心に来ているのだろうか。

 試しに話しかけてみるかと、私は近くにいた白髪の女子生徒と話すことにした。


「みんなすごく落ち込んでいるようだけど、どうかしたのかい?」


声をかけられたことに驚いたのか、彼女は少し間を開けて返答した。


「きっと、Dクラスに入ってしまったことにショックを受けているんでしょう。私もそのうちの一人なのですが」

「そうだったんだ。ごめん。だけど、このままなんてことはないと思うよ」

「それはどうして?」


彼女が少し食い気味に質問してくる。よほどここから抜け出したいものなのかと、そう思った。


「私、幼少期から能力について興味があってさ、それで能力については知識があるんだよ。能力は年代問わずに進化するんだ。回数は人によって違うし、中には進化しない人もいる。だけど、その仕組みを学園側は知っているはず。いつかしらでクラスが変動するときがあるはずだよ」


私の説明を聞いた彼女は、目を少し見開いて口を開けていた。


「すごいですね。よくそんな知識をお持ちで。おかげで少し希望が見えてきた気がします。私の名前はメル。気軽にメルと呼んでください」

「ディアディだ。ディアって呼んでほしい」


彼女が差し伸べてきた手を、私は優しく握った。

 その時だった。扉が何者かによって開けられる音がした。ゆっくりと視線をそちらに向ける。そこには、Dクラス担任であるアワンがこちらを見つめていた。


「何をしている、早く席に着け」


冷たく放たれたその言葉に従って、私は自分の席に着く。

 あたりが静まり返っていた。誰も声を上げようとはせず、目の前にいるアワンの言葉をみんなが待っていた。

 そうしてようやく、アワンが口を開いた。


「ようこそDクラスへ。このクラスの担任を務めるアワンだ。それにしても、おっと、その前にこれをつけろ」


アワンが手前の生徒にバッジを配りだす。そして私に回ってきてそのバッジを確認すると、そこにはDとだけ書かれていた。


「Dクラスを証明するバッジだ。まあらだ、こんなに弱いからDのバッジをつける資格すらないかもしれないが」


ここにいた生徒全員のヘイトがアワンに向く。ただ、アワン本人は気にしてはおらず、淡々と話を進める。


「だが、そんなお前たちにもチャンスがある。そう、特別試験だ。今からちょうど二週間後に特別試験があるからな。そのためにも特別試験の説明をするぞ」


チャンスがあることを知った全員はアワンの言葉を待つ。素直というのか単純というのか。と、私は心の中でため息をついた。


「特別試験は年に四回開催される。おおよそ三か月に一度ぐらいだな。ルールはその場その場で説明され、それぞれの判断基準でクラス変動が起こる。それすなわち、この試験でDからAになるやつらが出てくるかもしれないというわけだ。私からは以上だ。この二週間で必死に鍛えてこい。楽しみにしているぞ」


その後、興味深い授業を真剣に取り組んでいると、とっくに一日は終わっており、日が沈んでいた。だが、しばらくは動けそうにもなかった。


「この能力についての本はとても面白そうだ」


授業に使う本だというのに、内容が濃密で、わかりやすい。私からすればこれは叡智の本でしかなかった。あと一時間だけ、ここにいてもいいよね?

 そんな思いを抱きながら、私は叡智の本を読み漁ることにした。








 もうすっかり日は暮れてしまったというのに、私ことメルはまだ学園の敷地内にいた。ちょっとした気分転換である。

 今日一日でいろいろなことがあった。特に、Dクラスに入ってしまったこと。これまで努力してきたのに、結局はD。最底辺なのだ。だけど、まだ可能性はある。次の特別試験で見せつけてやるのだ。そう思うと、元気が湧いてきた。

 歩いて、歩いて。どれほど歩いたかは知らないが、かなり歩いた。そんなときに、私は二人の男子生徒とぶつかった。


「ってぇな。なにすんだよ」

「ごめんなさい...!」


とっさに男子生徒のほうを見ると、バッジにはBと書かれていた。

 その時にはもう私は謝っていた。きっと怖かったのだろう。

 男子生徒は私のバッジを見るなり笑い始めた。その笑い声が、私の心を縛り付けた。


「ちょっと僕たちと遊ばないかい?」


そういって、男は私のほうへ駆け寄って肩を組む。男が近くに寄ってきて、なおさら恐怖を覚えた。だけど。


「いやです!」


男の腕を振り払って距離をとる。やってしまった。と後悔した。なぜなら、今の行為は男たちにとって、私がとった行動は不愉快なものでしかなかったから。


「つれねぇじゃんかよ。イライラするぜ。なあ、こいつやっちゃわね?」

「いいんじゃね?別に人に見られてるわけでもないし」


不敵な笑いを見せて、男たちが近寄ってくる。Bクラス二人にDクラスの私一人。この状況では勝てるはずがなかった。

 一人の男は雷、もう一方は水を手に出現させており、私の能力では太刀打ちできなかった。

 私の能力は足が少し早くなるだけの能力。しかも、逃げれるほど足がはやくなるわけでもない。要するに、今この状況では私はほぼ無能力と言っても過言ではなかった。

 

「誰か、助けて...!」


大声で叫ぶ。助けを。誰か。誰か!!

 しかし誰も来ることはなかった。


「こんな時間に人がいるはずねぇだろ。それに、お前の声じゃ先生の耳にも入らねぇ。お前は終わりだ」


死を覚悟した。もうできる手段はすべてやった。

 だから私は目をつぶろうとした。だけど、瞼はどんどん開かれていく。


「ディア!」

「何?」


男どもが後ろを振り返る。

 そこには、Dクラスのバッジを付けた一人の女子生徒がいた。Dクラス二人とBクラス二人。圧倒的に不利なのに、彼女は平然とこっちに歩いてきていた。

反応が良ければ続編を作って投稿してみようと思っております。面白ければブックマーク等をしていただけると執筆速度が速くなるかもしれません。


 次回はもっと面白い話にしようと励みます。応援よろしくお願いします!!

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