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大負けからの異世界召喚?

じゃらじゃらと玉の流れる音、周囲からは騒がしい音が響いている。

 「今日は大勝だな」

 隣のおっさんの独り言が聞こえた、その言葉にイラついた俺は席を立つ。

 「せっかく講義をサボって強いホールに来たのに7万も負けるのかよ」

  朝降っていた雨はすっかり晴れており、気持ちとは裏腹だった。

  ネガな気分のまま、いつも通りコンビニで飯を買い、帰路についていたとき偶々目に入った公園に寄ることにした。

 「こんな所に公園なんてなかった気がするが、まあいつも気にしてなかっただけであったってことか」

 その公園は少し異質だった、ベンチがあるだけで、遊具などが何もなく公園と言うには殺風景だった。

 パチで負けたせいなのか、少し感傷に浸っていたい気分だったので、俺は唯一設置されていたベンチに腰を掛ける、つい先ほどコンビニで購入したおにぎりとチキンを食べながら辺りを見渡す。

 「公園なのにベンチしかないのか、遊具の一つや二つあれば子供も遊びに来るじゃねえかな」

 最近は色んな影響で公園の遊具が減っているって記事を見たような気がするのを思い出した、そんなどうでもいいことより、これからの生活のことを考えると頭が痛い、ギャンブルは中々辞められない、何度引退を決意したことか、引退するって言っても二日後にはもう忘れている、パチンコの継続率より引退は継続しないのだ。

「残金は残り2万ちょい、これであと二十日も過ごすって無理だろ」

 残酷な現実を嘆いていると、白い猫が近づいていることに気が付いた。

「白い猫ってあんまり見たことないな、どっかの飼い猫なのか?人間相手に臆さねえし」

 猫を撫でていると突然声が聞こえてきた。

「そこの人間、危険な目に遭う前ここからを出ろ」

 周囲を見渡しても誰もいない、この声は一体何処から聞こえているのかを考えるが全く見当がつかない。

「聞こえているだろ、はやくこの場から去れと言っているのだ」

「誰かいるのか?いるなら何故危険な目に遭うか教えてくれ」

 俺は恐る恐る言葉を発するが謎の声は質問に答えてくれない、ここには白い猫と俺以外誰もいない、質問が返ってきたらホラーと言うしかない。

 最近負けが混んでたし、よくわからない幻聴も聞こえるし、家に帰ってゆっくりしようと思いベンチを立とうとするが足が動かない、ついさっきまでは動けていたはずの足がびくともしない

 すると周囲が一気に暗闇に包まれた、俺を暗闇から囲むように光の柱みたいなのが展開されている。

「逃げないとやばそうなのに足が動かねえ、こんなアニメみたいな展開ありかよ」

 俺はついさっき聞こえた声のことを思い出した、

 「たしか危険な目に遭うからこの場から去れって言っていたよな、もしかしてそれってこの柱に囲まれるから去れって言っていたのか」

 事が起こってるから今更考えても遅いことに気づき、俺はワンチャンに賭け助けを求めることにした、幸いここは住宅街、大声を出せば誰か助けてくれるかもしれない。

 撫でていたはずの白い猫がいつのまにかいなくなっていたことに気づいた。

「誰でもいいから助けてくれ!あの猫はどこに行ったんだ?あいつだけ逃げるのはずるいだろ!」

 大声を出し助けを求めるが誰も来ない。

 猫が来てからよくわからん女の声が聞こえたし、猫のせいだと勝手に決めつける。完全に囲まれた俺はこの先のことを考える、テンプレっぽいしワンチャン異世界とか?

 しかし俺はただのギャンカスだ、異世界に召喚される理由がない、特に何かできるわけでもない、くだらないことを考えていると意識が朦朧としてきた。

「俺これからどうなっちゃうんだろ…」

 この言葉を最後に完全に意識を失った。

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