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子猫の3兄妹

子猫の3兄妹 フラダンスの老犬

作者: 所ゆたか

とら:

 春の日差しの中、僕たちが、猫らしく居眠りをしているとき、騒がしい物音が聞こえてきた。

 どうやら、散歩中の犬と飼い主らしい。犬は、後ろ足2本で立ち上がり、腰を振り、右へ左へとタップを踏みながら、前足で、ちょうだいとねだっていた。彼こそは、有名なダンス犬、シロ。昔は、縦のりダンスで、一世を風靡したそうなのだけど、今では、横への動きを取り入れたフラダンスを踊っていた。

 僕には理解できなかった。どうして、犬は、年をとっても、あんなに無邪気に、はしゃげるのだろう。



しろ:

 太陽の女神様からの恵みを、いっぱいに浴びるわたし。体を地面に擦り付けて、起き上がると、瞳が輝くお兄さんと、わんちゃんがやってくる。

 お兄さんの目にあるのは、涙かな。どこか憂いがあって素敵。その瞳で、わたしを見つめてくれないかな。



ミケ:

 神様!

 太陽の光は、新しい命を育てるのに、古い命を永らえてはくださらないのですか。ミケは、涙が溢れて止まりません。老犬の懸命の励まし。その思いを受け止め、老犬を思いやる青年の想い。暖かい心が、ミケの小さな胸に伝わってきます。二人の心の内を理解できるのは、世の中にミケ、一匹。皆さんに、二人の心の会話をお伝えします。


「ボス、どうしたんだい。落ち込んでいるのかい。俺のジャンピングダンスを見て、元気になってくれよ」

「お前は、そうやって、励ましてくれるのかい。でも、もう年なんだから、無理はするな」

「これくらい、どうってことないさ。ボスが喜んでくれるなら、いつまでも、あっ」

「なんだ。足がもつれるのか。ジャンピングダンスが、フラフラのフラダンスになっているぞ。息も荒いし、もういいから休め」

「ゼイゼイ。なに。はぁはぁ。これくらい。ふぅふぅ」

「お前は、いいやつだな。ありがとう。もう十分だよ。さぁ、帰ろう」



 暖かな日差しの中、安らかに眠る老犬の姿があった。


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