表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/27

013

 話を終えた芽衣は部屋に戻ると早々にスマホを取り出し、目当ての『異世界商店』を開いた。


「お店を持つことになったとしても商品が無いと何も出来ないし、何よりこのスキルは1日20個までしか買えないようになってるから、今から少しずつ準備していった方がいいよね」


 幸い購入した商品はバッグに収納(納品)された状態になっているので、毎日購入し続けても場所を取る必要がない。


「…と、その前に…」


 一応購入前にステータスチェックをしておく。幾らリーシャから給金を貰ったとは云え、それを全て商品購入で使うのは申し訳ないし、何より街に出かけて、服や小物、食べ物などの売られている商品を見てみたい。


「えっと…二冊目のノートを買い終えた時は100だったから…」


 アプリを立ち上げると、魔力が『130/300』となっていた。


「あっ、30回復してる。これって食事をしたから回復したのかな?」


 食事前の魔力は100だった。なので短時間で30も回復していることに驚いた。


「少し魔力が回復したから一つぐらいだったら魔力支払いをしてもいいんだろうけど、明日の朝にはどのぐらい魔力が回復するのか分からないし…。今日は検証するためにも使わない方がいいかな。…とりあえず今回はリーシャさんのお金を使わせて貰おう。それで朝の回復量次第でこれからどうするかを決めよう!」


 芽衣は一人で頷き、再び『異世界商店』を開いた。


「今日は残り18個。とりあえず売れそうな物…使えそうな物を一つずつ購入して、リーシャさんとソマリさんに意見を聞いてみよう」


 どんな物があって、どんな物が無い――足りないのか、芽衣はまだそれを知らない。だから今回は自分が使えそうと思った物を購入することにした。


「二人の反応が悪ければ、自分で使えばいいだけだし」


 そう判断した芽衣は、早速気になっている商品――タオルと石鹸を検索することにした。

 100円商品だからタオルの生地は薄いかもしれないが、触り心地はこの部屋の物に比べれば良い方だと思う。あと石鹸も泡立ちや匂いの良い物が多いと思う。

 検索バーに『タオル』と入力すると、数種類かのタオルが表示された。その中から芽衣は迷うことなく白いタオルを選び、次は石鹸を検索する。こちらも数種類の石鹸が表示され、どの石鹸が良いのかをじっくりと見ていく。


「あっ、この外国の石鹸、一時期気になってたんだよね~」


 噂の石鹸を見つけた時、芽衣は思わず興奮してしまった。友人から「外国風の石鹸が100円で売ってるんだって」と云う話を聞いて何店舗か探してみたが、既に品切れ状態で中々目にしたことがなかった。それが今ここでなら遠慮なく買える。元々気になっていた商品なので、思わずカートに入れてしまった。


「あと普通の石鹸も用意した方がいいよね」


 外国の石鹸はただ芽衣が気になっていただけであって、他の人からすれば興味が無いかもしれない。

 どの石鹸にしようかと悩んでいると、パッケージに無添加と書かれている石鹸を見つけた。


「無添加って見ると、何故か安心しちゃうんだよね」


 苦笑しつつもその石鹸をカートに入れた。


「あとは…小腹が空いた時用にお菓子とか?」


 いつ小腹が空くか分からないので、念のため食品を見てみると、何故か最初に紅茶類が表示されていた。


「あっ、お茶もいいかもしれない」


 こちらでフレーバーティーが売られているかは分からないが、誰でも簡単に入れられるティーバッグや粉末なら、それなりに需要がありそうだと思った。


「えっと…定番のアップルティーでしょ? あとレモンティー。それとフレーバーティーじゃないけど、麦茶は健康に良さそうだし」


 どちらもティーバッグなので、誰でも簡単に作れる。その三種類を何の迷いも無くポンポンとカートに入れていく。


「小腹は…あっ、ミニヌードル!! お碗やカップに麺とお湯を注ぐだけで出来るから便利なんだよね。しかもそのまま食べても良いし、それにちょこっと懐かしく感じるあの味。うん、これだ!」


 この商品は四個入りなのに値段が安い。麺は揚げてあるのでそれなりに日持ちもするし、熱湯を注ぐだけで簡単に出来上がる。もし熱湯を準備するのが面倒なら、そのままバリバリと食べることも出来るし、細かく砕いてサラダのトッピングにしたりも出来るので、アレンジ次第では美味しくなるだろうと思った。その中から無難なチキン味を選び、芽衣はカートに入れた。


「…他はどうしようかな?」


 個人的には梅干や沢庵などの漬物も気になったが、こういった漬物系は好き嫌いが激しいので、今回は購入することを止めた。

 まだ購入数には余裕があるが、色々と考えた末、残念ながら今回はこれだけにしようと思った。


「明日は…無理だけど、実際に街を歩いてみたいし、リーシャさんたちにもこの商品が売れるか確認したいし…」


 最悪売れないと判断されても、芽衣一人なら使い切ることが出来る。…いや、寧ろ追加が必要になるだろう。

 支払いを現金払いにすると、どこからか『チャリーン』という音が聞こえた。

 そしてスマホ画面ではウサギが嬉しそうに『ご利用ありがとうございました。本日は後11コ購入できます』と云っていた。


「うん、また思いついたら買おう」


 そう云ってスマホをバッグに入れた。ふいにリーシャから貰った給金がどのぐらい減っているのか気になり、思わず袋を手にして開けてみる。


「ん? あんまり減っていないような…というか、これって大金なんじゃない!?」


 手に持った感じ、受け取った時と重さは変わっていない気がする。手渡された時はよく分からないまま受け取ってしまったが、どうやら芽衣は大金を貰ってしまったらしい。


「ど、どうしよう!! 明日ちゃんと話をしなくちゃ!!」


 急に大金を手にしてしまったらしい芽衣は混乱し、魔力回復のために早々にベッドに横になったのだが、中々寝付けなかった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ