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積み木のような世界

作者: 葉月 七夜

見上げる空には、太陽と月が同居している。地球が動きを止めてから、ガラスの破片は僕の目の前で158日目の陽光を反射している。宙に浮く灰塵もそのままに、全ての時を止めたのだ。

宇宙がなぜ動きを止めようと思ったのか、平凡な人間には分かるはずもない。高等な人間にも分からないかもな。僕に許されている自由は、この眼球のみ。身体は全く動かないが、ありがたいことに視線だけは動かすことが出来た。

そのおかげで僕はこの狂気的な空間で意識を保てている。普通の人なら、5分で、いや1分でさえ、我慢ならないかも知れない。

無音と静止の世界。人工物に囲まれた無の世界だ。それが、158日だぞ!理解できるか?!まるで、水の中に潜った時のような、外界から遮断されるあの感じだ。あぁ、いっそこの思考も止めてくれればよかったのに。これなら生き地獄だ。身体が死んで、脳が生きている。殺してくれ、お願いだと願ったところで、誰も来やしない。だって世界は止まってるんだから。この死んだ世界で、僕だけが生きている。その事実に優越を感じない訳では無いが、それには強烈な苦痛がともなった。

全く、人生は普通が1番だ。平凡が最善なんだ。地位も名声も要らない。ただ、寝て起きる場所があって、3食を幸せに噛み締めて、愛する人が居れば満足だろう。今になって初めて気づいた。僕の人生の8割が無駄だった。幼い子のお気に入りのおもちゃ。まさにそれだ。大人には、その感覚を忘れてしまった罪がある。 これは、そんな罪の集大成なのかもしれない。


そんなことを考えながら、また一日が過ぎて、159日目の朝。僕は解放された。

白い光の中、僕らが作り上げたビルが、信号機が、人が、世界が崩れていくの見た。僕は思わず目を閉じて、そして開いた。まるでリセットするように。

目を開けた先には、僕の他に4人の人がいた。みんな黄金色に輝いている。懐かしいような光だ。目を落とした先の僕の身体も同じように、優しい光を纏っていた。僕らは互いに見て、聞いて、感じた。

そして、新しい世界をつくりはじめた。

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