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麻婆豆腐

作者: ムルモーマ

 半年程前から二つの職場を行き来するようになった。新しい職場の近くにも様々な食事処があり、その中には中華料理屋もあった。

 元々の職場の方にも近くに中華料理屋があり、それぞれを良く利用する。

 この頃、麻婆豆腐をそのそれぞれの中華料理店でそう時間を置かずに食べた。一つ目はスープと漬物とご飯、それからほうじ茶が付いて750円。麻婆豆腐は平皿に載せられて出てくる。

 甘い麻婆豆腐である。辛さは控えめだがしかし、確かにある麻婆豆腐だ。

 二つ目はスープと漬物とご飯、それから北京ダッグと杏仁豆腐、コーヒーもしくは茶が付いて700円。前までは600円だったがこの前行ってみたら700円になっていた。麻婆豆腐は石鍋に入れられてグツグツと音を立てながら出てくる。

 とても熱く、とても辛い麻婆豆腐である。休日にこれを書いている今でもそれを思い出しただけで顔が暑くなり、額から汗が出て来そうな程に。額を拭ったら汗が出ていた。

 どちらがお得かと言われれば後者であるが、麻婆豆腐として何度も食べたいのは前者であった。

 そもそも、辛さと旨さが渾然一体としている料理というのは料理店で出しているものであろうともそう多くはないと感じている。

 個人的な所感では元来辛さというのは味覚に属するものではなく痛覚に属するものだと言うのだから、他の味と比べても組み合わせるのが難しいものなのではと思っている。レトルトなどの辛さを売りに出しているものなど、辛いだけのものばっかりだ。

 その、後者の麻婆豆腐は辛さだけが前に出ていて、食べる事は楽しむ事のはずが辛さに耐え忍びながら完食するという作業となってしまう。

 確かに、辛い物が好きな人にとってはそれも楽しみに入るのだろうが、少なくともそれは万人受けするものではないと感じた。完食した後に残るものは疲労のある達成感とカッカとする胃の熱さだった。そこに食後感は余り無い。

 それに対して前者の麻婆豆腐は食べる事に対して余裕のある味だった。辛い物好きな人にとっては物足りない味であろうけれど、誰にとっても食べられる味であった。食べ終えた後にゆったりとした食後感を持てる味だった。

 そのような点で少なくとも、自分は前者の麻婆豆腐の方が好きであった。

 因みにどちらの麻婆豆腐も麻の辛みは感じられなかった。辣の辛みのみであった。麻の辛みを感じられる麻婆豆腐を食べる為には他の店を見つけるか、自分で作って好きなだけ花椒を掛けるしかないようだった。

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