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Planβ  作者: 笠原健介
2/6

異世界

Planβ、それはまさしく廃墟と言うべき世界だった。あらゆる建物が破壊されている。かろうじて残っているのは街灯ぐらいなものだ。と、その時、巨大なムカデのような生物が三人に襲いかかってきた。

「な、何だこいつ…!…さくら、シュウ、逃げるぞ!急げ!」

三人は逃げ始めた。すると、ムカデの後ろから人が現れた。

「岡!伏せなさい!」

聞き覚えのある声がした。それと同時に、ムカデはその人の刀で斬られ、弾けるように消えた。

「…はぁ、はぁ、晴紀、何でここにいるの…?」

「はは…いやぁ、何でだろうね〜…?」

「…選ばれたのね?レンダーVに?それに、修太君やさくらちゃんまで…何で断らなかっ…」

何かを言いかけたとき、晴紀の幼なじみらしき人はその場に倒れてしまった。

「おい!?魅凉!どうした!?しっかりしろ!」

「春原魅凉…?どうして春原さんがここに?」

「きっと選ばれたんですよ。レンダーVに。でも、この様子だと…長い間この世界にいるようですね。」

春原魅凉。彼女は晴紀の幼なじみであり、今でも同じ高校に通っている。入学一ヶ月程で休みがちになっていた。彼女もPlanβの旅人だったらしい。

「…晴紀、この世界はゲームなの…だから一緒に生き延びて…」

「そんなこと言われてもどうすりゃいいんだ?俺たち三人はこの世界について何も知らないんだぞ…?」

「おい、ハル。あのビルに人がいるようだが…」

「お兄ちゃん、とにかく行ってみない?ここにいても現状は何も変わらないよ。」

「あぁ、そうだな。」

三人はビルに向かった。魅凉は意識を失っている。晴紀は魅凉を背負ってビルに向かった。歩いて約五分、三人はビルに着いた。

「君たちは、レンダーVに選ばれた旅人か?」

「あぁ、そうだ。」「俺たちもさっきレンダーVに選ばれたPlanβの旅人だ。」

「いや、そんなはずはない。選ばれるのは二週間に二人のはず…」

「ハッ、誰が二週間に二人って決めたんだよ。何人かなんて証明したんだ?」

ビルにいた男がそう言った時、いきなりビルの壁に文字が書かれ始めた。

「Planβの旅人たちよ、この世界からPlanαの世界に帰還する方法は一つ…まっさらなノートを探せ…!」

「な…何だこのメッセージは…!?」

元々ビルにいた人は皆困惑している。晴紀はその人々を何とか落ち着かせようと試みた。

「落ち着け!とにかく…この世界は現代の世界じゃないんだ!」

晴紀がそう言った時、一人の柄の悪い男が近づいて来た。

「おい、ガキ。そんなこと分かってんだよ。ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇ…」

「あぁ…!?俺何か言っちゃいけないこと言ったか?」

「お兄ちゃん、止めなよ。こんなところでケンカしても意味ないよ。」

「」

ビルにいた男がそう言った時、いきなりビルの壁に文字が書かれ始めた。

「Planβの旅人たちよ、この世界からPlanαの世界に帰還する方法は一つ…まっさらなノートを探せ…!」

「な…何だこのメッセージは…!?」

元々ビルにいた人は皆困惑している。晴紀はその人々を何とか落ち着かせようと試みた。

「落ち着け!とにかく…この世界は現代の世界じゃないんだ!」

晴紀がそう言った時、一人の柄の悪い男が近づいて来た。

「おい、ガキ。そんなこと分かってんだよ。ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇ…」

「あぁ…!?俺何か言っちゃいけないこと言ったか?」

「お兄ちゃん、止めなよ。こんなところでケンカしても意味ないよ。」

「ちっ、全く、俺としたことが…」

「さて、こんなとこにいても現代には帰れないな。俺はそのノートを探しに行くか。」

「おい、外はうろつかない方がいい…!ちょっと信じられないかもしれないが、この世界には変な怪物みたいなのがいたんだ…!」

「じゃ、その証拠を見せてくれや。」

「見せたいが、そいつはこの気を失っている人に斬られてガラスみたいに割れて消えちまったんだ…」

「ククク…笑わせてくれる。ガラスみたいに割れて消えた?そんなことあるわけないだろ。おい、みんな、行こうぜ。」

「おい!行くなって…!」

「ハル、いいよ。彼らの好きにさせれば。」

「そうだよ、お兄ちゃん。人の言うことを聞けない人はしょうがないよ。」

「…あぁ、そうだな。熱くなりすぎた。」

「なぁ、ハル。この世界について、春原さんは何か知ってると思うんだが…」

「あぁ、この疲れ方…並大抵のものじゃない。とりあえず魅凉の意識が戻るまでここにいるとしようか…。」

三人は魅凉の意識が戻るまでビルにいることにした。


一方ビルから出た人々は妙な音がしているのに気づき、その音のする方向に向かって歩いていた。誰も一言も話さず歩いていた。長らくの間歩いているうちに塔のような建物が見え始めた。そしてその塔が音の音源であることに気付いた。そんな中、一人の男が走り出した。

「もしや、あの中にノートがあるのでは!?…皆の者、急ごうぞ…」

鈍い音がした。

「ぐぁぁッ…!」

男はそのままガラスのように割れ、消えてしまった。男が消えた代わりにその後ろから怪しい姿をした、まるで武士のような人間らしき男が現れた。

「なっ…何だべ!?」

晴紀の言った通りになったことで彼らは驚きを隠せないでいる。

「みんな、さっきのビルに引き返すだ!ここから逃げないとあの妙な奴にやられちまうだ!」

一人の男がそう言い、一斉に引き返そうとした時、妙な男がいきなり叫んだ。

「ギィィィィィ…!!」

「…!?何だってんだよ!さっきまでは後ろに何もいなかったはずだ…!」

「くっ…絶対絶命!この状況…どうすれば…」「…しゃーねぇ、久しぶりに暴れてやろうか!」

晴紀と口論を交わした男が武士のナリをした男に殴りかかった。

「これでも喰らいな!」

「ギ…甘イ…」

男は武士に腕を掴まれた。

「ヤベッ…!」

逃げる隙はなかった。男はそのまま思いっきり投げられ、遠くの崖に打ち当てられた。男はそのまま地に落ちた。その男は消えはしなかったが、その他の人々は次々と武士と、その仲間らしき群衆に消されていった。そんな死が常につきまとう、これがPlanβ…。

その数分前、ビルでは魅凉の意識が戻りつつあった。

「うぅ…あっ!…ここは…スタート地点のビル…?」

「おぉ、魅凉。気が付いたか。全く、心配させやがって。いきなり倒れるなんて…」

「…ごめんね。でも、もう大丈…うくっ…!」

魅凉が倒れそうになったが、晴紀が上手くおさえた。

「おっと、無理をするなよ。まだあまり動くな。」

「あ…ありがとう。じゃあ、そうする。」

「春原さん、君はこの世界について何か知ってると思うんだ。それを教えて欲しいんだ。」

「…今はまだ言えない。現代の世界に帰ったらゆっくりね。」

「そうか…。ところで、さっきから妙な音が聞こえるんだが…」

「あの音はノイズ塔の警報…。間違っても近づいてはいけないの。それに、ノートがそこにあることは絶対ない。」

「え…でも魅凉さん、さっきこのビルにいた人、塔に向かって行ってしまいましたよ…?」

「だめっ…!…うぅ…私のせいじゃないからね…」

「魅凉、落ち着いてくれ。それに、奴らはまだこのビルを出たばかりだ。急げば追い付ける。」


そう言ってビルから出ようとした晴紀を魅凉が止めた。

「待って…、地図を確認して行かなきゃ…」

「地図…?春原さん、ここに地図なんてないよ…?」


「大丈夫…、このビルの中ならいつでも地図を表示できるから。さくらちゃん、ちょっとこっちに来て…」

「え…あ、はい。」

そう言って魅凉はさくらに耳打ちをし始めた。おそらく地図のことだろうが、なぜさくらに…?

「じゃあ、やってみて。」

「はい。分かりました。」

さくらは空に何かを書き始めた。それは'M.A.P.'…?その三文字を書き終えると、文字が揺れ、確かに地図のような絵が浮かび上がった。そしてさくらは一枚の紙を自分の持って来たカバンから取り出し、浮かび上がった地図の裏から当てた。すると見事に地図が紙に写った。

「すげぇ。それじゃ、コレでこの世界の地形が分かったってことか…。」

「よし、じゃあ、帰ろうか?元の世界に。」

修太が言った。だが、晴紀はそれを拒んだ。

「いや、先にこのビルから出て行った奴らに追い付く。まだ間に合うはずだ。」

晴紀は無論行くつもりだ。彼は元々自らの危険を顧みない性であり、その上たとえ他人であっても放っては置けない性でもある。魅凉はそんな晴紀を昔からよく知っているが、さすがに今回に限っては晴紀の身を案じられずにはいられないようだ。

「晴紀、駄目だよ…!この世界がどれだけ危険なのか…まだ分かってないと思うけど…」

「…魅凉、ありがとな。ただ、助けられるのに助けないっていうのは俺の信念に反する。…一つだけ約束しよう。俺は必ずや生き延びる。」


生き延びる。この一言は強かった。修太、さくら、魅凉の三人はそれを許した。


「じゃあ、ゴール地点で合流ってことで。」

「分かった。…晴紀、死んだら許さないからな。」

修太が言った。

「ヘッ…誰が死ぬかよ…!」

四人の'Planβ脱出作戦が始まった。

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