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第10話 オレの隣の美少女にデートに誘われた

「で、誠一君はどうすれば面白くなると思う?」


「は?」


 翌日。席に座るやいなや急に隣の華流院さんにそう尋ねられる。


「ほら、『異世オレハーレム』よ」


 ああ、昨日のあれか。ってか、その話続いていたんだ……。

 華流院さんからのその質問にオレはしばし考え込むようにして答える。


「まあ、さすがにあそこまで来たら下手にテコ入れとかしても意味ないだろうしねー。というかチートオレつえー無双のハーレムって完全に出来上がってるし。なら、それを貫徹するのがいいんじゃない」


「そう思う?」


「ああ。というかオレはともかくああいうのが好きな人はそれがいいからあれを買ってるんでしょう? 少なくともオレが見た限りでは、やっぱ『異世オレハーレム』の魅力というか売りってそういうところだろうし。これからも主人公をヨイショして適当な障害や敵を気持ちよく倒してオレつえーを読者に与えながらハーレムするのがいいんじゃないかなー」


「そう、やっぱりそうよね」


 オレがそう答えると華流院さんはなにやら満足げに頷く。

 というか、ここ最近やたら華流院さんとフレンドリーに話すようになってきた。

 思えば、最初にこのクラスになり、彼女の隣の席になった瞬間は緊張で彼女を見ることさえできなかった。

 というかこのクラスの男子ならば誰でもそうだ。

 用事でもない限り気軽に声をかけることなど出来ないし、また彼女もそのように意味もなく誰かに声をかけたりはしない。

 学園の頂点に君臨するお嬢様は、その完璧すぎるが故に心を許す存在がなかった。


 なのに、気づくとオレは彼女に対しかーなりフレンドリーに話しかけていた。というか、ぶっちゃけ失礼なほど。

 見るとクラスの男子や女子達が時折、オレを奇異の目で見ている。

 今更ながらにこんなことに気づくとは……。

 どうも最近クソ小説とそれに無意味に絡んでくる華流院さんの相手にいっぱいいっぱいだったんで周りのオレや華流院さんに対する視線に気付いていなかった。

 これは自重しないと……。


「そうだ。誠一君」


「は、はい」


「今度の日曜日空いてるかしら?」


「空いてますけど……それが何か?」


「よかったら付き合ってくれない?」


「……はい?」


「本。見に行きたいの。で、誠一君のオススメ、色々聞かせて」


「…………」


 ホワイ?

 それってもしかして、デー……。


「じゃあ、日曜日に東公園で12時に待ち合わせね」


 そう言って華流院さんは何事もなかったように読書に耽る。

 と同時にクラス中が騒ぎ出し、オレも読書に戻ろうとするがそれどころではなかった。

 学園一の美少女、アイドル、お嬢様である華流院怜奈さんと二人っきりで街を歩く? それってデートなのでは?

 いやいや、華流院さんはあくまでオレに本を勧めて欲しいと言っている。

 前にもなろう系のおすすめを聞いてきたことがあったし、そういうことなんだろう。

 そうかそうか、そうだったのかー。


 そう思いながらもオレは震える手で五周目になる『異世オレハーレム』を読むことしか出来なかった。

 あれ、今見るとここのハーレム展開、面白いんじゃね?

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