はなうた
かつて友人に提供した、「ぼいどらっぽいのくれよぉ」と脅……リクエストを受け渡したものになります。
確か、その友人が書いた詩を参考に書いたとかだった気がします。
どんな詩だったのか、もはや記憶のかけらも残っていません。
本項のタグ:「ラブコメ」「華歌」「補習中の教室にて」「古々々々々々作品の使いまわし」「ぼいどら風」
登場人物
N: ナレーション。黒メガネではなく「DJ安●いち●」にお願いしたい。
B: 青年。ちょっと気になる娘がいる様子。派手に見えてチキン。
G: 歌好きな娘。生放送とかしてるかもしれない。
A: 青年の悪友。一言多い。
N: 皆さんは、今の季節にはどんな音を思い出しますか? 花火の音? セミの鳴き声?突然の夕立に上げた自分の声?
N:誰にでも季節を思い出す音や声があります。今回は、ちょっとそんな話。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
N: 蝉の声が響き渡る教室。ペンを走らせる音や、暑さにうだる声がかすかに聞こえる。
A: 俺の友人は口も悪くて頭も悪い。そのくせビビりでチキンなもんだから、基本的に要領が悪い。てきとーに誤魔化せばいい補習にわざわざ出席して、貴重な夏休みを潰されていることに愚痴をこぼしている。なんでこんなバカが俺の友人なのか、まったく理解に苦しむ。
B: それはお前が思ったことが全部口から出てる俺以上のバカだからだ。
A: ここは一緒に補習を受けている俺に感謝の言葉を伝えるところじゃないのか?
B: あー、そりゃどーも、ありがとさん。お礼にプリントやるから俺の分もやってくれ。
A: わかった。お前のプリントの裏にも絵をかいてやろう。
B: お前、鼻歌歌ってなにやってんのかと思ったら。
A: (鼻歌)
B: やめろバカ。ってか、鼻歌ウゼェ。鼻歌が音痴ってどんだけだ歌下手なんだお前。
A: くっ。俺の鼻歌が下手なのではない。しらん歌の鼻歌だから上手くないだけだ。
B: どういう言い訳だそれは。
A: お前が来る前にそいつが鼻歌を歌っていたのが耳について、気が付いたらそれを歌っていたのだ。というわけで、本家の方に鼻歌ってもらいましょう。さぁ、どうぞ。
G: え? 私? なに?
A: いや、こいつが君の鼻歌が聞きたいと言ってきかんのだよ。というわけで存分に鼻歌るがいい。
B: 言ってねぇよ! っつか、なんだよ鼻歌るって!
G: え? 鼻歌? 私、鼻歌してた?
A: うむ。遠慮はいらない。高らかに鼻歌るがよい。
B: あ、いや。このバカは気にしなくていいから。その、悪い。
A: たしか、(鼻歌)というような曲だ。なんならアカペラでもいいぞ? ちなみになんという曲だ?
G: あ、あぁ。華歌ね。
A: うむ、鼻歌っていた曲だ。鼻歌でもいいし、歌ってもいい。なんならバックコーラスをやるぞ? 曲知らんけど。
B: いや無理だろそれ。そもそもお前の歌は耳が腐るから歌うな。
A: ひどい。ならばなおのこと歌ってもらわねばなるまい。さぁ、さっき鼻歌っていた歌を鼻歌るがいい。そしてこいつの腐った耳を直してくれ。
G: え、いや、鼻歌はちょっと。データほしければコピー渡すけど?
B: あ、おう。えっと、なんて曲?
G: え? だから華歌。
A: ん?
B: え? い、いや、その鼻歌歌ってたのって、なんて曲だ?
G: 華歌だってば。
B: いや、鼻歌してたのはわかってるんだが。
G: 鼻歌じゃなくて華歌、ってなんでわかんないかな。ニ●ニ●動画とか見てない?
A: うわぁ、お前ほんとに日本人?
B: お前も知らない曲だろうが!
A: よし。じゃぁカラオケに行って曲を教えてもらおう。鼻歌では歌詞もわからんし。聞いてみて覚えればいつでもどこでも鼻歌えるぞ。
G: うん、いいよ。覚えてくれる人が増えるのはうれしいからね。
B: あー、まぁ、覚えられたらな。
A: 覚えられるまで好きなだけ歌ってもらうがいい。
G: あはは、おっけーおっけー。きっちり覚えるまで付き合ってもらうからね。
B: お、おう。って、あれ? お、おい。お前も来るんだろ?
A: は? なぜそんな野暮を?
B: 野暮って、おま、なに変なこと言ってやがる。
G: ん? どしたの?
A: いやこいつ、プリントもやらずに、ずーっと君を眺めてたので。
B: おま、なにいっちゃってんの!?
A: お前が惚れているのではないかと推測したのだが。
B: ぎゃーーっ!?
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
N: (鼻歌)
N: あ、つい、鼻歌ってました。(咳払い)
N: とても安らいだ気持ちになる音や声、みなさんは思い出しましたか? それとも、これから見つけるのでしょうか。これから暑い日々が続きそうですが、そんな音や声を探して夏を過ごしてみるのもいいかもしれません。
N: もし、この声もそんな思い出の一つになれたら。
N: この曲を聴いたときに、思い出して貰えたらうれしいな。
N: それでは、聞いてください。
N: 「華歌」
作中の「華歌」はたぶん友人が書いた詩のタイトルですが、実際には動画とか曲とかにはなっていなかったはずなので、万一ヒットするものがあっても全く無関係な別物です。
なお、作中の「N」イメージは、遥か昔、別冊(?)月マガで、DJ風に単話読切で連載をしていた恋愛系漫画だったと思います。(単行本で部分的に読んだ気がする)