どうしようもないじゃない(4/5)
たまには恋愛モノも書いてよう、ということでその続きです。次回でこの話は終わりになります。
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夢を見た。
彼女にとって同性が恋愛対象になっているという、都合の良い夢を。
夢の中でも彼女は変わらずいつものようにギャハハと大口を開けて笑い、あちこちに告白して振られては恋人が欲しいとボヤいている。
そんな彼女を慰めている私は、何故か彼女に告白していなかった。
夢の中まで現実のような苦しみに苛まれたくなかったのかもしれない。
ただ、その関係に満足して、それ以上を望む気になれなかっただけかもしれない。
そうして彼女はまた新しい恋を見つけて、真っ直ぐに飛んでいった。
きっとどうせすぐにまた振られて戻ってくるなんて思いながら、私は微笑ましいものを見送るような気分に浸っていた。
そんな視線の先で告白した彼女が、後輩らしき女の子を抱きしめて、嬉しそうに手を振っているのが見えた。
とても幸せそうに女の子と二人で笑いながら背を向けるのが見えて、目が覚めた。
たぶん自分が叫んだ声で。
自分の部屋の天井に彼女を探して、でも当然見つからなかった。
携帯に触れると待ち受けに彼女が映る。
四人で撮ったものをトリミングしたから少し不格好だけれど、私と二人で笑う顔を見て少しだけ笑顔になれた。
重なっている時計は起きる十分前。
まるでそれがタイムリミットのように見えた。
どうするのか、決定的な選択肢。
それを決めるまでの時間。
全部冗談にして、今まで通りに友達らしく振る舞っていく生活を選べば、きっと彼女も一時の気の迷いだったと笑い話にして私の気持ちを終わらせてくれるだろう。
もしかしたら彼女が違う女の子と付き合うことがあるかもしれない。
そんな不安を抱えたまま、そんな気持ちを押し殺したままで、きっとどうでもいいような誰かと恋の真似事をして。
自分の叫び声で目覚めるような思いがあったことさえ、忘れてしまうのだ。
何も偽らず、痛むほどに叫ぶ恋心をぶつける生活を選べば、きっと彼女とはもう友達ではいられない。
二度と今まで通りにはしゃいで過ごすような日々は送れなくなる。
彼女はきっと他の誰かを好きになるし、鬱陶しく思われるかもしれない。
嫌われるかも。
周りの私を見る目も変わってしまうだろう。
それでも彼女が好きだという気持ちが潰されないでいられるのかわからない。
時間はどんどん減っていく。
選ぶのは、自分で気持ちを殺すのか、潰される覚悟で生かすのか。
私の好きな彼女を思う。その仕草や笑い声。めげない姿勢に、落ち込んでいる姿も。
目覚ましがなる前に止めて、ベッドから起き上がる。
私が一番好きな彼女の姿は、どれだけ振られ続けても全力で恋をしている彼女だ。
この恋が困難なことも、私と彼女の好きが違うこともわかっている。
彼女が同性にそんな気持ちを持ったことがないことも、嫌というほどわかっている。
だから、私は。
夢を見ました、というフレーズを聴くと
殲滅とか滅殺とか叫ぶ人の世話をしている女の子を思い出します。
アニメ再放送しないかなぁ




