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暇潰市 次話街 おむにバス  作者: 誘唄
どうしようもないじゃない
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どうしようもないじゃない(1/5)

そういえばあんまり恋愛ものを書いていないな?

と思って書いてみた話。

頑張ってサイコとかサスペンスにならないように気をつけました。(筆者にはそちらに偏る悪癖があります)


本項のタグ:「学生恋愛」「百合」「筆者には珍しい普通の恋愛モノ(自称)」「全5回構成。1回目」

 クラス女子のグループチャットが、流れた言葉に湧き上がった。



 発端になった彼女の言葉がどんどん流れていく。


 溢れかえるお祝いの言葉やスタンプに紛れて、私も『おめでとう』と書かれたスタンプを送る。



 大口を開けてギャハハと大笑いする彼女が恋人が欲しいと言い出したのは、まだ先週のこと。


 まさかもう告白の報告が流れてくるなんて、思ってもみなかった。



 自慢気に『やったぜ!』なんてポーズのスタンプが流れていくのを見ながら、つきり、と胸に痛みを感じる。



 『おめでとう』のスタンプ以外にも『詳しく聞こう』とか『ノロケか?』というものが混ざり出す。



 みんなと一緒にその話で盛り上がりたい。

 これ以上は聞きたくない。



 同時に感じた思いにスタンプを選ぶ指が止まった。


 促された彼女の『ドヤァ』というスタンプつきの言葉に、目が滑る。

 自分でも読めていないのがわかった。



 おめでとう。



 文字ではなく、スタンプでもなく、言葉に出そうとする。

 つきりつきりと痛んだ胸につっかえて、かすれた声が漏れた。



 涙と一緒に。



 なんで、こんなに苦しいんだろう。



 なんでこんなに悲しいんだろう。




 自慢気な彼女の顔を、大笑いする顔を思い浮かべると、ますます涙が溢れてきた。




 スタンプが高速でカラフルな色だけになって流れていく。


 それが一瞬長文で止まって、それが彼女の言葉だと思っても読む気が湧く前にまたスタンプに流されていく。



『ノロケか?』

『ノロケか?』

『おめでとう』

『ヌァーーッ!!』

『はぁ?』

『ノロケか?』




 いくつものスタンプに釣られて少しだけ指が動いた。


『おめでとう』


 選んだスタンプが流れていく。



 そんなこと、思っていないのに。



 胸の痛みを伝えるスタンプなんか持っていなくて、でもたぶんあっても使えない。




 スタンプでは流せない胸の痛みを、私は初めて自覚した。






その思いが心に芽生えたときにはっ!

そのときには既にもう終わっているんだっ!


(某アニキ風の叫び)




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