世界の外の雑な話(4/5)
人外への転生とか人外からの転生とか、最近探せばなんでも見つかるのでは? と思いつつあります。
本項のタグ:「チートとか迷惑です」「酒でも飲もうか」「グチリとキキ」
先日の通話の態度が気になり、久しぶりに家を訪問している。
前に来た時は散らかっていたけれど、引っ越した時に整理したこともあり今はスッキリしている。荷物を積み上げられた場所もあったけれど、見なかったことにしておこう。わざわざ隠そうとしているものを引っ張り出すのは、親しい仲だと言ってもするべきではない。
リビングで酒を酌み交わしながら、綺麗に並べられている雛型を眺める。
「ダンジョン少し増えた?」
創り上げた世界に刺激物として入れることもある小さく区切られた世界。ダンジョンの雛型は創り手によって様々で、私よりも付き合いが多いためか来るたびに種類が増えているように思う。
「あー、他所の模倣品がいくつかねぇ。手製ダンジョンをよこす奴も最近はいなくって」
「昔はモテてたのにねぇ。それとも本気の相手でもできた?」
「んぅっ!?」
酒を噴きこぼしてむせる姿に、ちょっと不安なものを覚える。
「……一時、理想的な相手を創るとか息巻いてたくさん世界創っていたけれど……まさか世界の中にいる人間に……? 創り物への恋は不毛よ?」
「違うから。色々間違ってるから」
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ダンジョンというのは異世界の神の影響によって発生する。
この世界を守る神の恩寵により、人類はダンジョンを踏破して破壊してきた。
しかし幾度破壊しても現れるダンジョンに、人類は次第に慣れてしまった。そこから得られる物が生活を豊かにしたことが大きいだろう。
今となってはダンジョンは生活の基盤であり、それを踏破して破壊することは禁忌になりつつある。
ダンジョンとして生まれた俺はそうした知識を持っていた。遺伝記憶というやつだろう。ダンジョンに遺伝子があるのかはわからないが。
幸いダンジョンのある場所は人里のない山奥。仙人のように隠棲して、スローライフを送るのが最適解だろう。
自然に満ちた穏やかな場所にできたことも理由だ。迷い込んだ動物を繁殖させて維持コストの確保もできるし、食料調達も充分できる。わざわざ危険を冒して拡張したり侵略行為を行なって、人々を刺激する理由もなかった。
だから、それ以外の干渉が起こるなんて考えてもいなかった。
世界から引き剥がされて、失敗作として捨てられるケースなんて、遺伝記憶にもなかったんだから。
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「……ん? なんか来たな?」
「げ……あれよ。最近異世界チートを持ってくるって言ってたヤツ。あなたの家にまでくるとか、本気でヤバイわ……。どうやってここにこれたのかわからないけれど、二対一なら討滅できるよね……?」
酒に酔う楽しさが消え失せて、むしろ邪魔された怒りに変わっていくのを感じる。
自分だけならまだしも、こいつまで巻き込むのは絶対許せない。
二度と復元しないように徹底的に根絶してやる。
でも、そう思いながら酒瓶を握った手を抑えられて、困ったような声をかけられた。
「え、あー、うん、ちょっと待って。ごめん、多分あれ……身内だわ」
そのうち食べ物への転生とかも出てきそうですよね。ケーキとかパンとか羊とかウサギとか……? あれ? どこかで既にそんな話を見たような?




