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暇潰市 次話街 おむにバス  作者: 誘唄
「単話3」
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あけてくれるまで

前回の話とほぼ同じで、ちょっとだけ視点?を改変してみました。(微妙に差異もあるが誤差だと思っていただきたい)


ただ、あけてくれるまでの話です。

こういう雰囲気寄せの話は個人的は好きなんですが、需要としてはどうなんでしょう?


本項のタグ:「ただあけてくれるまでの話」「好き勝手に自由に書いてます」「需要不明」



 今日も朝がきた。



 カーテンの隙間から忍び込んだ朝は、夜に満ちたこの部屋を浸食していく。


 真っ赤な光に覆われてたものは、塵も残さず消えていく。

 毎晩定位置に転がっているそれを揺すると、奇妙な鳴き声を奏でながら形を取り戻していく。

 その隙間に潜り込んだカケラが全体へと巡って、生命とも物体とも呼べないそれを立ち上げる。

 朝を浴びて浸食されないことを確かめながら、少しずつその隙間へと入り込む。

 溢れたカケラは朝に覆われないように、部屋の中を逃げ惑う。

 部屋の隅。

 クローゼットの奥。

 カーテンの裏側。

 閉じたドアの前。



 立ち上がったそれはカーテンの裏側を包むようにして朝の光を遮る。

 そこに隠れたものは安全だろう。

 代わりに部屋中に雪崩れ込んだ朝は隠れ損ねた一切を焼き尽くし、影一つ残さない。


 朝に焼かれている表面を剥ぎ捨て、それはドアを開いて朝でも夜でもない廊下を進む。

 剥がれた表面に守られていたものたちはカケラになりながら零れ落ち、溶けていく。


 奥の部屋でそれは全身に浴びた液体で、くまなく隙間を埋めていく。

 念入りに一切の隙間も残さずに。

 液体に追いやられて戻りそこねたものは拭い取られて、無造作に放り出される。



 朝に侵略された部屋へと戻ったそれは、部屋の隅にある箱から新たな表面を取り出した。

 箱の奥まで浸食しようとする朝を振り払うようにそれはいくつかの表面をはためかせて並べていく。


 与えられた餌に群がるように朝がそれらを照らし続ける。

 しかし飽和した朝は互いに打ち消しあって崩れ去り、並べられたそれらへと染み込んでいく。

 未だに次々と群がる朝を引き剥がしながら、それは並べた表面で自身を覆いはじめた。


 全体のほとんどを覆い尽くしたそれは、再び朝でも夜でもない廊下を進み、その奥にある扉を開く。




 朝でも夜でもない廊下の果てにある扉の向こうへとそれが立ち去ると、この部屋に残るのは溢れんばかりの朝。

 そして朝から隠れる幾ばくかの夜たち。



 朝でも夜でもない扉の向こうから再びそれが戻る頃には、この部屋から朝は去っているだろう。



 そうして再び夜たちに満たされたこの部屋で、また形を失うまで定位置に横たわるのだ。





残業して帰ったらPCがアップデート作業に夢中で投稿作業を拒否したため、初めて携帯から投稿しています。(数年使って今更か)

ちゃんと投稿できているのかしら?


そんな不安もありますが、部屋の中は夜でいっぱいです。

そろそろ私の形もよくわからなくなってきました。

また朝が来るまで定位置で横たわることにします。


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