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暇潰市 次話街 おむにバス  作者: 誘唄
「単話3」
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夜明け

恋愛風味のものを続けたリバウンドで、ただ夜が明けただけの話です。

こういう風な話って、書いてもジャンルがよくわからない……。

まぁ、他の話のジャンルもよくわからないんですけどね。


本項のタグ:「ただ夜が明けた話」「ジャンル不明」

 今日も勝手に朝が来た。


 カーテンの隙間を潜り抜けた朝日が照らす室内は薄暗く、まだ夜が残っている。

 眠い頭で起き上がり、朝の中へと進めば足先がほのかに暖かく染まる。朝日を全身に浴びるようにカーテンへと近づけば、眩さが溢れて目を閉じる。まぶた越しにも赤い朝だ。


 カーテンを開くと部屋の中の夜は追われたように逃げ出していく。クローゼットの奥。部屋の片隅。机の下。

 振り返って目を開いても、もう夜は出てこない。部屋中が朝日に照らされて、逃げ遅れた夜の後ろ足がドアの隙間へと滑り込む。

 軽く伸びをして、微睡続けるベッドへとパジャマを脱ぎ捨てる。

 逃げた夜を追うようにドアを超えても、もう夜はいない。朝でも夜でもない廊下を歩けばバスルームに辿り着く。

 髪の隙間や口の中、身体のあちこちに隠れていた夜を洗い流し、朝を受け入れる準備を整える。


 水に溶けた夜を拭いながら朝の中へと戻り、クローゼットを開く。

 ジャケットのポケットに隠れた夜はそのままに、夜のいない服を選ぶ。

 朝に染まったテーブルの上に並べれば、ゆっくりと朝に染まっていく。

 それを待ちながらコップにお湯を注ぎ、今朝の気分にあうものをいれる。

 コーヒー紅茶、ハーブにジャム、白湯に砂糖に蜂蜜黒酢。

 並べられた瓶から選んで、お湯に溶けていくのを待つ。


 そうしてぼんやりと朝に包まれて、身体がじんわりと染まっていくのを待つ。

 まぶた裏に残っていた夜に誘われかけて、カップを撫でて朝に戻る。

 少しだけ冷めたカップを傾けて、身体が熱を思い出す。

 テーブルに手を伸ばせば身体よりも暖かく染まった服。

 それを纏って立ち上がり、身体中に朝が満ちていくのを確かめる。

 朝でも夜でもない廊下を歩いて、鞄を手に取って中から鍵を取り出すと、隠れていた夜が滑り落ちた。

 ドアを開けて外に出て、振り返って鍵をかけ、朝と夜を閉じ込める。


 さぁ、今日も一日をはじめよう。



 朝でも夜でもない中を、歩く。



 扉の向こうが夜で満ちるまで。







こういう見方を変えただけの話というか、雰囲気を重視した話というか、あまり最近のファンタジー系では見かけないですね。(読んでる量が少ないだけかもしれませんが)

そもそも自分が読んでいたこういう感じの話がファンタジー系だったのかもうろ覚えです。


まぁ、難しいことは忘れて眠りましょうか。

どうせまた勝手に朝はやってくるので、それまではゆっくりしましょう。



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