『完璧のもとの彼女』
夢見が悪かったので吐き出す気分で書きつけたメモを、小話にした2つ目のお話です。
本話では「理不尽な暴力」「実行すると犯罪になる行為」が含まれています。
またそれに伴い「不快感を覚える可能性」「気分が落ち込む可能性」があります。
ご承知いただける場合のみ閲覧ください。
本文内の【】で閉じられている箇所は実際に夢で認知した情報です。
【】が若干邪魔かもしれません。
本話のタグ:「夢見が悪いので書いた。今は公開している」「閲覧推奨しません」「【】内は夢見の内容」「【】以外に記載の箇所はフィクション」
お母さんは完璧で最高で一番です。お母さんが言うことは絶対なので、疑問を持ったり口答えしたりするのは悪い子です。お母さんは絶対に正しいので、それがどんなことでも、ちゃんとできないとダメな子で躾が必要になります。
私は完璧なお母さんの娘だから、言われたことをちゃんとやります。
【私の家の奥の部屋】。そこにはお母さんが用意してくれた、【完璧になるためのお薬があります】。
キッチンよりも小さい部屋の中には、昔お母さんのお母さんが使っていた洋服ダンスと机、ベッドが置いてあります。
【部屋の中はいつも虫がたくさんいて、歩いていると踏み付けてしまいます。
ぶちゅ。ぐちゅ。
ベッドにはお薬が固定してあります】。お薬は私を見ると大きな音を立てて騒ぎますが、私にはお薬の言葉はわかりません。
お母さんが、私にはわからないと躾てくれたから、私にはお薬が何を叫んでいるのか、わかってはいけません。
【お薬を取るときには、お母さんが教えてくれた手順の通りにしなきゃいけません。】
お薬のための食事を机に置いて、机に置かれた、はんだごて、というものから伸びたコードをコンセントに挿します。
お薬は【口の中を金具で固定してあり、歯の削れた中身で舌が動いているのがよく見えます。
お薬のための歯ブラシを使って、歯を磨きます。たまに虫がいるので、そのときは出てこないうちに素早く歯ブラシで潰します。金属でできたデコボコした棒のような歯ブラシを押し付けます。
ぶちゅり。ごり。ごりごり。ぶちゅり。
ごりごり。
ごりごりごりごりぶちゅごりごりごりごり。
しっかりと歯ブラシをかけ】たら、ご飯をあげます。まだ温かいお椀には、どろどろとしたスープのようなご飯が入っています。冷めると固くなってしまうので、熱々のうちにあげないといけません。
ろうと、という道具を使って【ご飯をあげます。】たまにそこにも虫がいるので、歯ブラシを使います。
ぶちゅり。どろり。どろどろ。
ご飯をあげ終わる頃には、お薬は静かになります。たまに咳をしていることがあるけれど、お薬だから、お薬をあげる必要はありません。
次に、お薬のまだ残っているところから、お薬を貰います。前にもらったところに虫がいっぱいいます。それはお薬が良いものだから、いっぱいいるのだとお母さんが教えてくれました。だから【私は机に置かれたハサミを両手で持ちます。大きなハサミは私には重くて持ちにくいけれど、がんばります。
じょきり、じょきり。
私の手のひらと同じくらいの大きさを、貰います。ハサミで切って、手で持ってお薬から剥がします。
じょきり、じょきり。
べりべり。
貰ったお薬が濡れてしまうので、手早く机に置きます。かわりに、はんだごて、を手に取ります。
お薬の剥がしたあとはそのままにしておくと、どんどん濡れて悪くなってしまうので、しっかりと乾かします。
じゅっ、じゅじじじっ。じっ。
においに吐きそうになって】はいけないと、お母さんに教わったので、がんばります。息を止めていると少し楽だとわかってからは、がんばって息を長く止めるようになりました。
乾かした後がまた濡れてこないか、触って確かめます。はんだごて、の後はとても温かくて、私はいつもそのままでいたいと思います。でも貰ったお薬をお母さんに届けないといけません。遅くなったらお母さんが私を躾てくれます。
叩いたり擦ったりしても濡れなくなったことを確かめます。
ぺちぺち、すりすり。
ハサミと、はんだごて、を机の上に戻してコンセントを外し、貰ったお薬を持って部屋を出ます。
部屋の鍵を三箇所かけて、台所に向かうとお母さんにお薬を渡します。お母さんが料理してくれるから私はご飯が食べられるので、心の底から感謝しなくてはいけません。
あ、目があった。
睨むなんて【目は潰れてしまえ。そう言われて手にしていた包丁で叩かれた】ことを思い出して、身体が震えました。
ごめんなさいお母さん。お母さんの躾を怖がるなんて、私は悪い子です。
でも今のお母さんは機嫌が良いみたいです。何も言わずに、お薬を受け取ってくれました。【お母さんはお薬を包丁で切って、置いてあったもので挟みます。完璧なお母さんが1日に1回、私を完璧にするために手をかけて作ってくれるご飯です。
床に正座して、頭を下げて】、お母さんにお礼をします。
「完璧で最高のお母さんに、お恵みをいただけてこの上なく幸せです」
お母さんに教わった、食事の時の言葉です。両手を頭の上に差し出してご飯が置かれるのを待ちます。ご飯なしでお腹が蹴られることがあるから、私はお母さんの足をじっと見つめて動きません。
ご飯が置かれたので、もう一度お礼を言います。
「完璧で最高のお母さんに、お恵みをいただけてこの上なく幸せです」
お礼を言って、お母さんが食べて良いと言うのを待ちます。ご飯を受け取ってからお腹を蹴られるとご飯を落としてしまうので、落とさないように気をつけないといけません。落とすような不出来な手は、使ってはいけないと躾て貰ったことがあります。そのときは蹴られて踏まれて、手を使わずにご飯を残さず食べました。
「そんなものが食いたいなら、食えばいいわ」
はい、お母さん。今日もご飯を作ってくれて、ありがとう。いただきます。
そう思いながらご飯を食べます。食事中はしゃべってはいけないし、早く食べて部屋に帰らないといけません。だから私はご飯を食べます。
【紫色と赤と黒でできたご飯です。その中には白や緑のもの。お薬は良いものだから、それを使っているご飯は虫がいっぱいです。
ぐねぐね、うぞうぞ。
私はご飯を残さず食べなくてはいけません。だって完璧で最高なお母さんが作ったものが食べられないなんて、あってはならないことだから。
ざりざり、ぷちぷち。どろり。
潰れた虫の体液と、カビたパンと腐った野菜。お母さんのお母さん。
違います。これはご飯です。完璧で最高のお母さんが私を思って作ってくれる、ただ一つのものです。吐き気なんかしません。くさくなんかありません。おいしい。おいしい。おいしい。おいしくなくてはいけません。おいしいと感じなければいけません。
においも痛みも吐き気もありません。おいしいです、お母さん。
ぐじゅり。ぷちぷち。どろり。ぶるぶる。
なんで身体が震えているんだろう。寒くないのに。
ぽとり。
両手で持っていたご飯から、白くて小さなものが落ちました。】うねうねとそれは踊っているみたいに見えて私は、目を離せなくなりました。
「なんでそんなことをするの!」
多分、そう言われたんだと思うけど、【ほとんど聞きとれませんでした。
ばちん、がつん。
そんな音が大きくて、左の耳がきーんとします。頭が床に当たった音も大きく】て、お母さんの言葉がわかりませんでした。
でも、手にしていたご飯を落としてしまったことはわかったので、私はお母さんに謝らないといけません。でも口の中にご飯が残ったままなので、先にそれを飲み込まなくてはいけません。
【お腹が蹴られました。二回、三回。蹴られるたびにお腹が痛くなって、飲み込んだご飯が出てきそう】になります。口の中にあるご飯を飲み込もうとがんばってみますが、吐き出してしまいそうになります。
でもお母さんは完璧で最高で優しいお母さんです。
【これ以上私に躾をしなくて済むように、お腹から上がってきたご飯がそれ以上出てこないように、抑えてくれました。お母さんの温かい身体がしっかりと私の身体に触れているのが、何故だかとても不思議です。こんな風に触れて貰ったのは、いつ以来なのかわかりません。
お母さんはその足で私の喉を抑えて、絶対に何も通らないようにしてくれます。お腹から上がってくるものは進めなくて、私の胸のあたりが膨らんでいるみたい。】
みちみち。めりめり。ごおごお。
お腹がいっぱいだからでしょうか、私は眠くなってしまったみたいで、ご飯の途中なのに目が開けていられなくなってきました。お腹が痛かったはずなのに、お母さんのおかげで痛みは感じなくなっています。ありがとうございます、お母さん。完璧なお母さんの娘の私は、ご飯を残さず飲み込みます。口の中にあるものと、胸の下で止まっているもの。それを飲み込まなくてはいけません。精一杯に力を入れて、飲み込もうとがんばってみると、【身体の中から音がしました。
ごりごりっ。
ぱんっ。
なんの音かわかりません。
口の中のご飯が飲み込めていなくて、勝手に開いた口から溢れてしまいました。お母さんは私の喉から足を退けて、ちゃんとお母さんの言うことを聞けるように私の頭を良くするために、頭を躾てくれます。
ごかっ。どかっ。がつっ。
何度も何度も、私の頭が床とお母さんの間で音を立てています。お母さんの躾はいつも音がして、私はその音に負けないくらいの声でお礼を言わなくてはいけません。
でも今日は、ぱきっという音がして、静かになりました。
お母さんの声も聞こえなくなりました。
躾てもらった後は、お母さんにお礼を言わなきゃいけません。お母さんに心の底から感謝して、笑顔と言葉で伝えなきゃいけません。】それができないと、お母さんはもう一度私を躾てくれるから、お母さんに迷惑をかけちゃいけないから、ちゃんと伝えなきゃいけません。
お母さん、私は完璧なお母さんの娘です。
私が完璧になるように、しつけてくれてありがとうございます。
私は完璧なお母さんのおかげでとても幸せです。
ちゃんと伝えられると、お母さんは撫でてくれます。
良い子ね。ちゃんとできたわね。えらいわね。私の子供だもの、当然よね。
そう言って、一度だけ頭を撫でてくれました。
それがいつあったことなのか、思い出せない悪い子でごめんなさい。
お母さん、私は完璧なお母さんの娘です。
私が完璧になるように、しつけてくれてありがとうございます。
私は完璧なお母さんのおかげでとても幸せです。
撫でてくれないときは、ちゃんと伝えられていないから、もう一度。
お母さん、私は完璧なお母さんの娘です。
私が完璧になるように、しつけてくれてありがとうございます。
私は完璧なお母さんのおかげでとても幸せです。
お母さんが私を見ていなくても、そばにいなくても。お母さんが許してくれるまで、伝えるのをやめちゃいけません。
お母さん、私は完璧なお母さんの娘です。
私が完璧になるように、しつけてくれてありがとうございます。
私は完璧なお母さんのおかげでとても幸せです。
お母さん、私は完璧なお母さんの娘です。
私が完璧になるように、しつけてくれてありがとうございます。
お母さん、私は完璧なお母さんの娘です。
私が完璧になるように、しつけてくれてありがとうございます。
私は完璧なお母さんのおかげでとても幸せです。
お母さん、私は完璧なお母さんの娘です。
私が完璧になるように、しつけてくれてありがとうございます。
私は完璧なお母さんのおかげでとても幸せです。
何度も繰り返していると、もういいと言って許してくれる時もあります。そういうときは私の喉を掴んだり、お腹を蹴ったり、もう一度躾てくれます。躾てもらったら、最初からやり直しです。
お母さん、私は完璧なお母さんの娘です。
私が完璧になるように、しつけてくれてありがとうございます。
私は完璧なお母さんのおかげでとても幸せです。
【お母さん、私は完璧なお母さんの娘です。
私が完璧になるように、しつけてくれてありがとうございます。
私は完璧なお母さんのおかげでとても幸せです。
お母さん、私は
完璧なお母さん
の
なんでだろう。さっきからずっとお礼を言おうとしているのに、声が出せません。お母さんの姿も見えません。お母さんは、どこだろう。
お礼をちゃんと伝えなきゃいけないのに。
あぁ、またお母さんが躾てくれるんだろうなぁ。
お母さん。声が出ないの。
お母さんが、見えないの。
でもね、ちゃんと伝えなきゃ。
お母さんは怒るけれど、ちゃんと伝えておきたいの。
そんなこと、当たり前だって、お母さんは怒るけど。
そして、また私を躾てくれると思うけど。
ちゃんと伝えなきゃいけないと思うから、お母さんに伝えたいの。
私はお母さんが大好きです。
】
ありふれた団地のゴミ捨て場で発見された幼い子供の遺体は酷く損傷しており、解剖に回された。
被害者、および被疑者の特定は容易に済んだ。遺棄した本人が住民と顔を合わせており、遺体に対しての発言も覚えられていたためである。
その言動はマスコミによる報道も行われた。
「不要なゴミを処分するのは当然のことでしょう。何かおかしなことでもあるのかしら?」
取り調べの際にも同様の発言をしており、自分の娘の死体遺棄について認めた上で、「何故逮捕されなければならないのか全くわからない」と供述している。
また、自身の母親への監禁に関して一切を否認。杭を打ち付けるなどの暴行に関しては娘が自主的に行っていたと供述しており、それをやめさせようと苦心していたと述べた。
しかし、被害者である娘の解剖により長年にわたった打撲痕や骨折痕が多数、胃の内容物からは虫や針だけでなく被疑者の母親の鼠蹊部と思われる肉片が確認された。日常的に虐待が行われていたことは明白である。
だがそれらは躾であり傷つける意図はなかったと主張。
取調べの担当者は不快感をあらわにしているが、同様の躾を自らが受けていたことが供述された。
救出された被疑者の母親は心身喪失状態で対話が不可能であるため、事実確認ができていない。
「同じように完璧な躾をしなくてはいけません。だって私は完璧で最高のお母さんの娘ですもの」
そう言って朗らかに微笑む様子は、自らの行いに一片の疑いもないことを感じさせた。
現在、彼女は弁護士を立てて、母親への監禁と暴行、娘への虐待と死体遺棄を認めている。
しかし弁護士は、幼少時の経験による影響と心身耗弱を主張。
無罪を訴えている。
皆様は間違っても本文のような行為は行わないようお願い申し上げます。