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暁―アカツキ―  作者: 三点
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プロローグ

「夜分遅くにすみません」

 そう謝罪しつつ、僕の家に一人の綺麗な女性が訪問してきた。僕は両親と共に、一先ずはその女性をリビングへと迎え入、一応客であるその人に対して母がお茶を出し、そのうえで、その人が果たしてどのような要件で我が家に訪れたのかを訊ねてみた。すると、その人は一瞬だけ気の強そうな鋭い視線を僕へと向け、前置き及び結論として、「彼を我が宵ノ宮学園の新たな生徒の一人として迎え入れるべく、訪問させて頂きました」と告げた。そしてその理由として、その女性は僕達にこう説明した。

 その内容を簡潔にまとめると、要するにこういう事だった。

 ある日の事、僕が不運で幾人かの不良に絡まれた際、その余りに過度な暴力によって本来であれば立つ事もままならないような大怪我を負ってしまったにも関わらず、しかしその時の僕はどういう訳かしばらくした後に何事もなく立ち上がり、まだ体に痛みは残るものの、それでもどうにか帰宅する事が出来、その時それでこそ、そんな僕をたまたま目撃していたある女性が、或いは僕にも《暁》の因子――その宵ノ宮学園の特等生である全学年(三学年まで)かつ全校の三分の一の生徒のみが有する特殊能力――が宿っているに違いないと確信したらしく、それについて、その状況と僕の状態についてを学園側に報告し、そして今日この日、及び今現在、僕の家に訪問しに来ている。

 という事らしい。

 その話を詳しく聞いていた僕の両親はそれぞれ、「ですが息子は今年の春に今現在通っている高校に入学したばかりで」や、「そのような優秀な生徒が通う学園となれば、転入した際の学費などが」などといった不安や疑念などの意見を述べたが、そんな両親に対して、しかしその女性は「それについては

ご心配なく」と言い、「特等性として入学及び転入生として推薦された方達は入学金及び学費が免除されます」と言った。

「そのうえで、彼、渡良瀬錬磨さんはその特等生が所属するクラスのうち、その因子を育成し、確かな能力として開花させる事を目的とするクラスである、『はじまりのザ・ファースター』の生徒の一人として、明日より登校して頂こうと思います」

 その様な半ば強制的かつ唐突な勧誘を受けた僕だが、それでも内心では多少の興味と好奇心をただき、「少し面白そうかも」 と思った。実際問題正直なところ、僕は今現在通っている学園については、まだ入学して間もないが、それでも友人付き合い等が

上手くいかない事に加え、そもそも僕自身、そのような学園生活に対して少なからず不満をいだいていたからだ。故に、この女性がその転入を勧めてくれた時、少なくとも、僕自身はその勧誘を受け入れてみようと思った。

「いいんじゃない? どうせ僕は僕で今の学校に対しては何かと

不満があったし、おまけに入学金やら学費はタダなんでしょ? だったらあんな学校とはさっさとおさらばして、この人の誘いに

一口乗ってみようよ?」

 そう言って、その晩、早速その女性の車に乗り、翌朝を予定に学園まで連れて行って貰う事になった……。

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