スタート地点1
幸福とはなにか?
ふとそんな事を考えてみる。
金があることか?
家があることか?
友人がいることか?
家族がいることか?
色々思い付くがどれも自分には当てはまらない。自分にとっての幸福とは、一体何なのだろうか?
そう思いながら彼は自分の手の甲を見る、そこには40/50と青白く記載されていた。
「これ、0になる日くるんかね〜」
彼の名は【咲山 甲】しがないフリーターだ。高校、大学と平凡に生きてきた彼は就職せずにコンビニバイトでその日その日をただ平凡に過ごしていた。
咲山は今の生活が自分に合っていると初めから分かっていた。昔から人や物にあまり興味が無く自分が安全に暮らし過ごせること以外に関心がなかった。
他人から見たら堕落した生活だとか言われるのだろうが彼はそう思わなかった。
「・・・コンビニ行くかな」
そう言って咲山は立ち上がるとボロボロのジャージを着てアパートを出る。
コンビニに向かおうとすると目の前に見慣れた顔がいた。
彼の名前は【矢波 鉢】咲山の唯一の親友である。
「やぁ甲、またコンビニかい?」
「まぁな、お前こそ何してるんだ?」
2人は特に内容のない話をした。
話が終わると2人は手を振りながら別れた。
咲山がコンビニから帰ると自分の部屋の前にダンボールが一つ置いてあった。咲山は考えるが一向に分からなかった。それは何かを注文した覚えが無いからだ。咲山はそのダンボールを部屋の中に入れるとダンボールを開けて見た。するとそこには小さな寝息を立てて幸せそうに眠る〝人間〟の赤ちゃんがいた。
ダンボールの中には手紙やら紙切れなどは無くどこかにやろうにも見てしまった以上放って置くことは出来ない。
「はぁ、ったく誰だよ一体」
咲山は赤ん坊を見てため息を吐く
咲山はまぁしょうがないといった表情で赤ん坊を見る
「今日からお前は【咲山 蜜】だ」
そう言った瞬間赤ん坊がほんのりと笑っているように見えたのはきっと気のせいだろう。