友人 遥の悩み
前回までのストーリーが結構悍ましかったので、今回は人生の分岐点をテーマにしてみました。
恋に一途の乙女心と、将来的にどうしたいのかがまだ分からない学生の青春?みたいな感じのストーリーです。
※訂正とお詫び※
高卒後直ぐの大学1年の年齢が18~19歳で、大学2年次が19~20歳という事を改めて確認しましたので、主人公とその友人の年齢を訂正させて戴きました。私自身遠い昔のことなので年齢を1つ勘違いしてしまいました。大変申し訳ありませんでした。
11月に突入して、肌寒くなってきたある日の日曜日の夕方4時過ぎに遥から電話があり何だか泣きそうな声で「これから会えるぅ?」と聞かれた。丁度、ミルキーは教習所で実技試験を終えたばかりだった。
「今、自動車教習所に居るからそのまま立川で会えるなら会う?」と聞き返した。「うん、大丈夫。じゃぁ、これから立川に向かうねぇ。」と約束をした。
立川駅に到着した頃には、もう夕日が沈み街頭や宣伝の看板などが眩しいくらいに光っている。
遥と立川駅北口の歩道橋の上で落ち合って、2人でレストラン街へと向かった。
2人が夕飯で選んだレストランは、サンマルク系列のベーカリーレストラン。店内は清潔感があり、落ち着いた雰囲気なので女子に人気のレストランの一つである。パンは自分で好きなものを取りに行くスタイルで10種類以上もあるパンの中でミルキーのお気に入りがガーリックロールとシュガーバターロールだ。メインディッシュは、ミックスグリルをミルキーが注文して、遥は薄切り牛肉のシチューハンバーグを注文した。そしてシーザーサラダとドリンクバーも注文した。注文後、各自お気に入りのパンを取りに行った。遥のお気に入りのパンはよもぎロールとミニクロワッサンらしく迷わずパンを選んでいた。
遥の電話での声の様子が気になったが、今は美味しい食事を前にお腹を満たしている最中だから、こちらからどうしたの、と聞くのはヤボだと思って、ミルキーは自分の教習所での実技試験の様子や結果などで話を盛り上げていた。遥は筆記も実技も1発合格だと自慢していたから、そう言った話に乗ってくると思ったからであった。案の定、遥は自分の時を思い出しながらあーだこーだと話に乗ってきていた。
遥は、クランク走行や、Sカーブ走行のコツとか、3・4段階の実技教習が全てストレートだったから4段階の実技試験時は、試験管が助手席に同乗しなくって無線で教官が指示してきて、それに従ってテストを受けた事などを自慢気な顔をしながら話に夢中だった。ミルキーの場合は、無線教習のチャンスも無かったし、1発合格では無かったが2回目に受けた今日の実技試験は教習所の教官が優しい人で少し甘めの採点をしてくれてギリギリ合格できたのだ。あとは府中試験場で筆記試験を受けるだけだ。
食事が終わってから、甘いものは別腹だし・・・と二人でデザートまで追加注文した。
デザートはティラミスアイスとモンブラン風クィニーアマンを注文し、2人で交換しながら食べて流石にお腹がイッパイに満たされた。
そして・・・ようやく遥が重い口を開いた。
「実はぁ、夏休み期間中にロスに行った時にぃ、例の写真を見て貰うついでにぃ、グアム&サイパンで撮った勇樹君との2ショット写真も霊能力者さんに見て貰ったんだぁ。そしたらねぇ、その霊能力者さんがぁ、現在交際中の彼とは結婚出来ないし、直ぐに別れた方が良いですよぉ、ってハッキリ言われちゃったぁ。理由を聞いたらぁ、勇樹君には邪気があってこのまま交際しても長続きしないって言ったのぉ。」とかなり哀しげな顔をしながら告白してきた。
それを聞いたミルキーは「遥はどうしたいの? 勇樹君と結婚まで考えているの?」と真剣な顔で質問してみた。
それに対して「そんなの分からないよぉ。まだ⒛歳にもなってないしぃ、学生だしぃ。結婚とかそう言う将来的な事なんてなんも考えられないよぉ。今ゎただ大好きな人と一緒に楽しく過ごせればイイって思っているしぃ......でもぉ、その霊能力者さんがぁ、あなたは2年後にはこちら(アメリカ)に引っ越て来るでしょう。そしてこの土地で素敵な出逢いがあり、その人に会った瞬間に恋に落ちるでしょう。恐らくその人があなたの将来の旦那様になると思いますよぉ、って言われちゃったぁ。」と少し戸惑いながら話しをしてきた。
「まぁ、2年後と言うと私達が大学3年になって、交換留学やら何かしら海外での経験値を積む期間となるだろうから、そうアドバイスをした霊能力者の話もまんざら嘘ではないだろうけど・・・ね?」とミルキーは返答した。
「この前ロスに行った時にぃ、ママが別居生活に疲れちゃったからって家族全員が一緒に暮らせる方向で考えて欲しいってパパに相談したみたいでぇ、来年の夏位から手続きを始めて、再来年の夏までには私とママが渡米出来るようにするってぇ。それで念の為にSAT受験したり、TOEICのスコアーを950点以上取るか、TOEFL iBT を受験してみろってパパが言っていたってぇ、この前ママに言われちゃったのぉ。」と憤慨そうな顔をしながら遥が話していた。
ロス滞在中に直接遥が父親から言われたのではなくて、母親伝に父親の意見を投げ掛けられたんだってミルキーは思った。どこの家庭でも父親は娘には弱いのか・・・年頃の娘を相手にするとなると父親としての威厳みたいなモノが薄れてしまうのだろうか・・・。ウチも最近になってから父親の意見は母親から伝わって来る事が多くなってきたのを実感しているミルキーだった。
遥のスコアーはミルキーよりも上で、以前のTOEICQの結果は確か・・・890点台だったと記憶している。
一般的に云うとこの手の試験の難易度は、英検2級 ➡ TOEIC ≒ 英検準1級 ➡ 英検1級≒TOEFL PBT ➡ TOEFL ibtだと言われている。
TOEICは本来ビジネス形式の英語が主体であるが、難しい語彙ばかりのTOEFLは実力をかなり付けてからでないと受験費用も高額である為にお試しで受験するには抵抗があった。
大学1年次でも海外留学を希望する人達の中には自ら進んで受験している人も結構いるのだが、ミルキー達は夏期講習まで受けなくてはいけなかった落ちこぼれ組だから、そうそうハイスコアーは望めないと半ばあきらめている状態でもあった。
何を言ったら良いのか頭の中が混乱したミルキーは、言葉が詰まってしまい「遥の家庭の事情をよく知らない私がアドバイスするのは少し抵抗があるけど。。。家族は全員揃ってこそ笑顔で毎日を過ごせると思うから、遥のお母さんの気持ちも大切にしないと・・・ね? ウチは家族全員が屋根の下で暮らしていて、何かとウルサイ両親が居て、兄貴が居て、、、それが当たり前の生活だと思っていたからさっ。確かに遥がアメリカに引っ越してしまうのは寂しいけど、私達も大学3年次にもなれば今の大学生活とは違って結構忙しくなると思うし、お互いに時間の都合が合わなくて今日みたくすんなり会えなくなると思う。それは遥がずっと日本に住んでいたとしてもきっと同じ様な状況が出てくるんじゃないかな?」と伝えた。
遥は女友達の付き合いよりも彼氏を絶対的に優先するタイプだから、普段からそんなに頻繁には会ってなかったのも事実だった。まぁ、少し皮肉っぽく言ってしまったのを少し後悔した。
だから慌ててミルキーは「引っ越し先はロスなんでしょ?日本からそんな遠くないし、会おうと思えば会える距離だよ!それに、まだあと・・・約1年8か月間は一緒に過ごせるんだから色々と楽しもうよ、ね?」と付け足した。
今まで暗い表情をしていた遥も「うん、そうだよねぇ~♡」と言って笑顔を取り戻した。
自分のアドバイスで遥が少しでも前向きになれたのなら良かったかも。。。とミルキーも安心した。
そして2人はレストランを出てモノレール駅の改札口へと向かった。
モノレールが構内に入って来た。ラッシュ時間を過ぎているが車内は結構混み合っている。
モノレールの立川駅はJRへの乗り換えが可能な駅で立川で下車する人達も結構いるから、車内で席を確保して2人して並んで座れた。
遥は車内で勇樹君にラインでメッセージを送っていた。
あれだけ悩んでいたけど・・・このまま勇樹君との交際を続けるのかどうかは遥自身が決めることだし、遠目でひっそりと見守るしか出来ないと思った一瞬であった。
女性は彼氏が出来ると女同士(女友達)の付き合いよりも彼氏を優先する生き物だと個人的に思います。
そんな経験をした方、された方はいらっしゃいますか?
次回はどんなストーリーになるでしょうか?
お楽しみに。