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愛を知らない蕾達  作者: Mizuka
6/11

思い出の不可解な事故

登場する人物名は全て架空の名前です。

実在する地名や団体名とは一切関係がありません。

ある日曜日の午前中に、2階の部屋(自室)で福田先輩が貸してくれた本を一通り目を通し読んでいた。

この本は日本語に翻訳されており、原本では無いし実際に体験した人物を知らないし・・・共感するどころか、全てが偽りのように思えてくる内容が満載だった。

有難い本の内容ではあるかも知れないが、実際にその場に居合わせた訳ではないから、根本的に客観的に読んで終わったのである。

どうしてこの本を福田先輩が自分に手渡してくれたのだろ・・・とそっちの方が気掛かりであった。

サークルに寄付すると言っていた事から、サークル内で廻し読みでもしてくれって事なんだろうか・・・と自分なりに解決した。

自室を出て階段を降りていきダイニングテーブルに目を向けた。

テーブルの上には、母親が用意してくれた焼き魚と煮物が置いてあった。

そこには、母親のメモ書きの隣に数週間も前に届いた自分宛の1枚のハガキも置いてあった。

「お父さんと一緒に昭島のスパに行ってくるわ。ケンちゃんもミルキーも各自昼食をきちんと食べてね。サラダは冷蔵庫の中よ。お母さんより」と書いてあった。兄貴はまだ寝てんのか、と思ってキッチンに行き味噌汁が入った鍋を温める為にガスコンロに火を点けた。

味噌汁を温めている間に、1枚のハガキの内容を確かめた。

「あぁー、今日は高校の時のテニス部のイベントだゎ。」と時計を見た。まだ時間的には早いけど、お昼食べたら支度しようと思ったのであった。

ダイニングテーブルの自分の指定席に用意された食事に、冷蔵庫からサラダ取り出して並べ、自分専用のお椀に味噌汁を注いで、自分専用のお茶碗にご飯をよそって、ようやく自分の席に座り昼食を食べ始めた。食べ終わった後は、自分の物だけを一応片づけてリビングルームに行き少しだけテレビを見ながらソファーの上でゴロゴロした。

それから自室へ行き、出かける準備をしてから外出をした。高校までは自転車で20分の距離だ。



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久しぶりに高校時の元テニス部の集まりがあり、テニス部OB、OGが高校の部活で汗を流している姿を見ていた。高校テニス部の恒例イベントでテニス部OBやOG対現役高校3年生でダブルス練習試合を観戦していた。本当なら自分も試合に出たいところだけど、高校3年の夏休みが終わりに近付いたある日に足を骨折してしまい、それ以降は激しい運動を避けているミルキーだった。高校3年の夏休みからは大学進学組は部活には参加しないからテニス部とは名ばかりになってしまうのだけど・・・。

その恒例行事は年に1度だけあり、学期末テストを終えた直ぐの日曜日に毎年恒例のイベントで受験や就活に頑張る現役高校生を励まそうみたいな感じで行われている。テニス部顧問の先生が今年の3月に卒業したばかりの元テニス部の卒業生全員に葉書でイベントの開催を知らせてくれるから、卒業生は参加出来る人達だけが集まった。

試合が終われば、高校近くのサイゼリアで現役高校生テニス部と卒業生の元テニス部で親睦会みたいな事があり、現役高校生テニス部が社会人になった先輩達や大学生になった先輩達に質問出来ると言う特典付きで結構好評でもあった。

自分が高3の時には、現役高校生進学組で参加した経緯があるから出席する事を決めていた。


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実は、ミルキーには不可解な事故を経験した事があったのである。自宅の家の敷地の前に垣根で囲まれた畑がある。そこには趣味で家庭菜園を楽しむ父親が仕事の合間に季節ごとに野菜の苗から植えて育てている。実がなった野菜を収穫して母親が手料理を振舞って家族で食べるのが風の瀬家では普通のことだった。


ミルキーが高校3年の夏休み終盤のある日のこと、畑に植えてあった樫の木を父親が鉈で切り倒した時と同時にミルキーの右足が綺麗に骨折したのだ。その時のミルキーは自宅のリビングのソファーに腰掛けて母親と2人でテレビを見ている最中だった。右足の膝下から足首掛けて激痛が走り床にうずくまり、その場に項垂れってしまったのだった。ミルキーの異変に気が付いた母親が父親を玄関先から大声で呼び、何事かと思いながら畑から父親がリビングに入ってきた。そして慌てふためく父親を他所に、母親の優香は毅然としており、「意識はあるわよ、大丈夫。お父さん、病院まで運転できそう?」と問い掛けたが、父親はソワソワして落ち着かない様子で聞こえてない。母親は仕方なく救急車を呼んだ。暫くして救急車が到着して母親が寄り添って救急車で病院に担ぎ込まれたのだった。

レントゲンの結果、脛骨骨折と診断されてギブスで固定された。

綺麗に折れていてズレも無く手術をしなくても大丈夫とのことだが、暫くは入院生活となったのだった。

病室のベットの上で安静にしていたのと、移動はもっぱら車椅子を利用していた。経過もよく回復までの時間はそんなには掛からなかったが、右足を床について歩けないから松葉杖を使用しての生活となったのは云うまでもないだろう。退院後は、通院しながらリハビリを受けて無事に普通に生活が出来る様になったが激しい運動はなるべく控えるようにと医師から言われた為に、大学では運動部には入らなかったのである。



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何故、父親が樫の木を切断したと同時にミルキーの足までもが骨折してしまったかを退院後家族で話し合った事がある。母親の推測に依ると・・・・「あの樫の木は私の父が私達が結婚した日にお祝いにプレゼントしてくれ、あそこにお父様自らの手で植えてくれたもの。あの樫の木には(ケンちゃん達の)お祖父ちゃんの想いが入っている木だったのよ。だから絶対にあの木を切ってはいけなかったのだわ。」と言い出したのでった。「木に虫が付くし、俺の大事な畑に悪い影響を与えるから邪魔で切っただけなんだ。決して悪気があって切ったんではないからな!」と半ば怒り気味で釈明したのは父親の幸太郎であった。


その数か月後の日曜日に兄の健太郎は、高校時代から続いている仲の良い友人とツーリングに出掛けた際に、埼玉県のとある町の外れで交通事故に遭い、大怪我をして入院生活を経験している。

兄は自分が運転するオートバイがトラックと接触し顔面を強打し、鼻の骨と顎の骨と右足を同時に骨折し全身に擦り傷などの重軽傷を負った。

幸いヘルメットを装着しており頭部には何も外傷がなく、大事には至らなかったが兄もミルキーと同じ部位の脛骨骨折もし複雑骨折だった為に足も手術した。鼻が骨折した為の修復手術は口の中の上顎と歯茎の付け根部分を切り離して鼻上部まで顔面の肉を裂いて開き手術をしたと聞いている。

今でも兄の顔には、下唇の下から下顎にかけて手術痕が残っており、足の脛にも手術痕の傷が残っている状態だ。



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母方の祖父は、ミルキーが高校2年の夏休み期間中に亡くなっており、葬式に参列しなかった風の瀬家を憎んでいるのだろうか? 再度、ミルキーの頭の中を高校3年の夏休みの記憶が遮った。祖父の1周忌が行われる前夜に勝浦の民宿で起きた恐怖体験を思い出したのだった。大学受験前の高3の大事な時期に足を骨折して入院したりと大学受験に向けてかなり苦労したが、運よく都内の大学に合格したから良かったのだけど・・・と頭の中で思い返しながらも、サイゼリアで現役高校生の進学希望組の質問に耳を傾けて回答をしている。他にも参加した人達が居て母校の部活の後輩達に一肌脱ごうと一生懸命になって、現役大学生らしく対応をしている。

進学組は個々の希望大学が実際にどんな雰囲気なのかが気になる様子で、主にそう言った質問が多かった。

高校卒業後に社会人になった同期達は、就職希望組の現役高校生からの質問を受けたり、新社会人になってからの気持ちなどを語っている様子だった。


そんな楽しい時間はあっという間に過ぎてしまった。顧問の先生のおごりって事で会計時に先生に「ご馳走様でした。」と各自挨拶をして解散した。


ミルキーは自転車に乗って自宅へと帰って行った。

樫の木の話は実際のところ私が小学6年生の時に同級生の友人の裕美子ちゃんが遭った本当の話を基に書きました。

仲が良かった裕美子ちゃんの話を聞いたのは、私達が中学生になってからだったと思います。

その裕美子ちゃんのひいお祖父さんが生前大切にしていた木を、ひいお祖父さんが亡くなった数年後に裕美子ちゃんのお祖父さんが鉈で切り倒したと同時に、裕美子ちゃんの足が突然骨折したと言う体験談を思い出しながら書きました。


兄の交通事故は実際に起こった話を書いてます。埼玉県のとある町の交通事故が多発していた現場で本当に兄は交通事故に遭いました。(実際は兄が大学生の時に遭った交通事故で時世が違います。)

今回はその話を掛け合わせて小説を書いてみました。


次回はどんなストーリーになるでしょうか?

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