心霊スポット巡り編 Ⅰ (よみうりランドにて)
よみうりランドにはアトラクションのお化け屋敷が2つあるのだけど、そのうちの1つには本物の霊が出ると云う噂話は昔からある。
又、よみうりランドに入口に向かうのは鶴川街道だが、その道を右手の路地を右折して道なりに進むと有名な心霊スポットがあるらしい。どうせならその場所にも行こうって男性陣だけで話が盛り上がっており、男性陣は車で『よみうりランド』に向かったのだある。
現地集合組との待ち合わせ場所は入場口付近で待ち合わせ時間は9時半と決めていた。
今日は行楽日和で大変気持ちの良い天気になりそうだ。
早朝の天気予報で「降水率は0%、強い日差しに気を付けましょう。」と言っていた。
ミルキーは「行ってきまーす!」と母親に言って玄関を出て、モノレール駅まで徒歩で移動する。
モノレール駅に着くと、既に遥が待っていた。
笑顔で「おはよう。」と二人同時に言い合った。
現地集合組のミルキーと遥は、朝7時半に地元のモノレール駅で待ち合わせして2人で現地までの向かった。
遥の彼氏は同じ高校出身の1つ上の先輩だった関田 勇樹君で、ミルキーも顔見知りである。高校の中では一番背が高くイケメンで誰もが憧れる存在であった勇樹は家庭の事情で大学進学を諦めて高校卒業後に社会人になった為、忙しさの余り遥と会えない状態が続いている。
遥は、モノレール車中でライントークをしている。
『今日はサークルのイベントで遊園地に行くよぉ♡』『ミルキーも一緒だから心配しないでねぇ( ´艸`)』と彼氏にメッセージを送っていた。
ミルキーは遥のイケメン好きを知っているし、別にサークル内で恋愛に進展する心配も必要もないからと勇樹先輩に伝えた事もあるし、勇樹も特に心配していない様子である。
無事に現地で先輩方と合流し、メンバー全員は各自1日フリーパスを購入し入場した。
「折角、遊園地来たんだから先ずは絶叫マシーンから楽しもうぜ~っ!」と幸ちゃんがミルキーと遥に提案した。
「そうですよね~、遊園地に来たからには色々と楽しまないと損ですもんね~。」と遥が返答する。
ミルキーは困惑しながら、それを聞いて遥の顔を覗き込んだ。そんなミルキーに笑顔で対応した。
ミルキーは、これは先輩方に仕組まれてのかも?と何となく思った瞬間だった。
その提案は、城所先輩が1日の予定を組み立てたプランからであった。
予め男性陣だけで相談しながら城所先輩が計画を立てたプランである。
先輩達は、笑顔の遥の周りに集まって移動し始めた。
その光景は、騎士達がお姫様を守るかのような光景とは程遠い・・・どちらかと言えば魔獣達がお姫様を狙って競い合っているような光景に思えたのであった。ミルキーはそんな光景を後方から見守りながら溜息を漏らした。
そんなミルキーの様子に気が付いた城所先輩がミルキーの隣を陣取った。
親し気に話しかけてくる城所先輩の声は低音で渋く、声だけ聴いていると惚れ惚れするような良い声の持ち主だ。
「風ノ瀬は、絶叫マシーンとか苦手なんか?俺もあんまり好きな方ではないんだㇻ。でも、折角だから今日は皆でワイワイ楽しもー。連休初日ともあって家族連れ多いだㇻね。でもそんなに混雑してなくて良かったㇻ。」と言っていた。
城所先輩は、自分には霊感が少なからずある事を打ち明けられたのもこの時であった。だからこのサークルに入ったのだと言っていた。
城所先輩の訛りは愛知県出身だからなのか、語尾にダラやタラがあり、どこか変わった喋り方をしている。時々、標準語を話そうと努力しているのだが、少し違和感がありミルキーは苦笑する。
そして城所先輩は、ミルキーの魂と自分の魂の波動が合うと感じていた様子だった。
俗に云う『赤い糸で結ばれている』と言ったような感じであろうか・・・。
ミルキーは、不思議と城所先輩との会話中に居心地の良い雰囲気に安心していた。
アトラクションの待ち時間になる度に、城所先輩はミルキーの隣に来ては色々な話をしてくれたので城所先輩の事を知ったのである。
ミルキーには高校の時に同じクラスメートと半年だけ交際した経験はあるが、今は彼氏が居なければ
特に彼氏募集中って訳でもない。
その当時の彼氏の趣味が映画鑑賞であり、特に海外の映画に興味を持っていた事で、初デートで一緒に見たハリウッド映画がミルキーの心を震わせた。
その彼の影響もありミルキーがハリウッド映画が好きになった切っ掛けとなったのである。今では、海外の俳優の大フアンで低音の渋い声が好きでもある。
昼食を挿み一通り、様々なアトラクションに乗りまくり、気が付いたら午後4時を過ぎていた。
園内のカフェテリアで休憩をした。
相変わらず遥の周りにはサークルの男性陣が取り囲んでいる。
お姫さま扱いを受けている遥は、戸惑いながらも悪い気はしてない様子。
「そろそろお化け屋敷に移動しようぜ~っ。」と幸ちゃんが言った。
全員の意見が合致し、お化け屋敷に向かう事になり、お化け屋敷の前で全員で写真撮影をした。
カメラを持参していた幸ちゃんが色々な場面で写真を撮っていた。デジカメでは無いためその場では確認出来ない。
遥は男性陣に守られながらお化け屋敷を堪能していた。
ミルキーは、城所先輩の後ろに付いて殆ど何も見ずに終わった。
お化け屋敷は怖い演出がいくつも仕掛けられており、普通に怖かった。
本物の霊がいるような気配はなく、突発的に頭痛も耳鳴りも起こらなかったので何も気にする事はなかった。
2つ目のお化け屋敷の前にメンバー全員がたどり着いた時に、ミルキーは嫌な気配を感じていた。
寒気と共に頭痛と耳鳴りがして、「私ゎイイ。」とそのお化け屋敷には挑戦しなかった。
お化け屋敷に挑戦しているメンバーを待つためにベンチに座ってメンバーを待っていた。
そのベンチは喫煙所でもある為に、お化け屋敷から少し遠くにあり周辺には何もなく人通りが少ない場所ではある。
ベンチに座ってメンバーを待っている間に、誰かに見られている気配を感じた。
気になってそちらに目を向けると誰も居なかった。
そんな事を数回繰り返しているうちに、急に頭が痛くなった。
頭痛は数分で治まりホッとした。その瞬間、昔の武将の恰好をした男がミルキーの目の前を歩いていた。
何なんだ??っと思っていた所に、メンバーがミルキーの座っている喫煙所へと歩み寄ってきた。
喫煙所ともあり喫煙者の先輩達が煙草を吸い始めた、
先輩達は煙草を片手に「イヤーかなり怖かったよなぁ~っ。」と口を揃えて言っていた。
サークルメンバー達の方へ顔を向けて煙草の煙を払うように手を振り払い、再度武将の恰好をした男が歩いて行った方角へ目を向けるがそこにはもう誰も居なかった。
あーーーぁ、また見ちゃったかも?と内心思ったミルキーだが今見た事を誰にも言わずに、皆と一緒に遊園地の出口へと向かった。
遊園地を出てから「俺たち、車で来たんだよ。運転士は俺だけどぉ~っ、もし良かったら最寄りの駅まで送るけどどうする?」と幸ちゃんが言った。彼の愛車はワゴン車で8人乗りだから今回の参加メンバー全員が余裕で乗れるほどだ。
「この後、例の心霊スポットを素通りするんだけどね。」と岡ちゃんがドヤ顔をした。
彼には霊感は無いみたい。勿論幸ちゃんも無いと思う。
本木先輩は居ても存在感が薄くてよく分からない。
本木先輩は、細身で顔が小さく眼鏡を掛けており、人並み以上に首が長く喉ぼとけがくっきりハッキリとわかる。気弱そうで皆と同調するのタイプで自己主張をしないから存在感が薄い。
「渋滞していると思うし、最寄りの駅までだと遠回りになるだろうから、今日は遠慮して置きます。」
とミルキーは遥の肘に腕を組んで少し強引気味に自分の体に引っ張り寄せながらそう言った。
遥は、ミルキーのその様子で理解して、「今日はありがとございました。久し振りに時間を忘れて楽しめました。では、先輩方ごきげんよう。」と一礼をして挨拶しミルキーと去って行った。
帰路の電車やモノレールの車中は混んでいて座れなかったが、ミルキーと遥は今日の出来事を話題にもせずにいた。
ミルキーと遥は、モノレールの最寄り駅に着いてから近くのマックで夕飯を食べてから別れた。
家に着いたミルキーは「ただいまぁ。」と玄関で靴を脱いで2階の自室に行こうとしたところに父親が出迎えた。
「どうだった?楽しかったのか?」と質問されて、「ん~、別に。」とそっけない態度で返答した。
父親は「あそこは心霊スポット周辺だから、気を付けないとダメだぞ!」と呟いた。
その言葉にハッとして父親の方を見た。
「お前は俺に似たのか・・・霊感が強いだろう?!」と言ってリビングに入っていった。
なんの事だか、と思いながらも階段を上がって自室に入り、部屋着に着替えた。
「夕飯は食べてきたのーーっ?お風呂どうすんのーーっ!今から入るのーーーっ?浴室の籠にあんたの下着類揃えてあるわよーー。」と母親が大きな声で階段から叫んだ。
ミルキーは自室を出て階段を下りながら「遥とマックで済ました。お風呂は今から入るゎ。」と言いながら浴室へ向かった。
一方の男性陣は女性陣と別れた後、有名な心霊スポットに行くか行かないか・・・で迷った挙句に、女性陣が居ないのでは面白くないとかなり士気が下がってしまい結局のところ行くことを止めたのだ。
連休ともあり遊園地を出た辺りは結構渋滞した。
幸ちゃんは、メンバー各自の最寄りの駅まで送って、赤羽の自宅に着いたのは11時半を過ぎていた。
「ネガを現像に出すのは今日は無理だな・・・。」とボッソと呟いてカップラーメンで腹を満たして眠りに就いた。
遊園地で撮った写真に何か写り込んでいるのでしょか?
次回を楽しみに♪