死んだのに天国ではなく地獄
いきなりだが、俺の名前は北川大地。
成績はちょっとだけ良くて運動は悪かってそこそこの高校に行っていた。特に良いことも悪いこともしていない、普通の高校生だ。
訳あって死んでしまったのだが、そこで天界の女神様とやらに出会ってチートをもらって異世界でハーレム?か天国でわっしょいな生活を送ると最後に思っていた。
…思っていただけで俺が目の前の光景を現実逃避しているのではなく
「おい、次前に出ろ」
すみませんしてました。
真っ黒な空間、どす黒い雰囲気、泣き声と厳つい声と叫び声のハーモニー。足下には血がこびりついて、目の前に子供だけでなく大人も逃げ出す顔の鬼。そして俺自身は白い魂みたいな状態。
そうここは人生が終了し悪事を行なった者が来るところの地獄です。なんで俺、天国じゃないの。
普通の高校生はこんなところに来なくていいと思うでしょ。特に悪いことをしてない真面目だったし。ここ重要。て言うかマジで帰らして下さい。お願いします。
聞いて下さい俺が死んだ理由。
交差点で信号待ちしていた時に、親友だと思ってた優しかったやつに後ろから押されてトラックにひかれてジッエンドだよ。
俺悪くないじゃん。親友の方が悪いじゃん。てか、親友だけしか悪くないじゃん。あいつクソ野郎じゃん。俺じゃなくてクソ親友をここに呼びだせよ。呼び出してください。俺の代わりにクソ野郎を罰しろよ。お願いです。マジで帰らして下さい。
けど、そんな思いとは反対に俺は前に進んでいく。
だって前に行かないと一瞬で消滅するからね。ギャァァァァって叫びながら前の人も横の人もそうなったし。
そう、別に俺はあの怒っているような顔の鬼なんかちっとも怖くないんだよ。ただ、まだ消えたくないからだよ。
鬼の前に来た時俺はすごく後悔した。威圧感丸出しでマジで怖い。誰だよ怖くないなんて言ったやつ。断じて、俺の心が弱いわけじゃないんだ。誰だってこの雰囲気を浴びたらビビって余裕なんかなくなると思うぐらいやばい。むしろ、ビビらない人は人間じゃないって思えるぐらいやばい。本当に鬼ヤバイ。
「えーと、お前はああ例のやつか」
例のやつってなんだよ。もしかして帰れるんじゃ。
半分くらい諦めてたけどやっぱり親友に殺された心が痛む奴だし天国にいけるのか。
「黒狼の餌か黒箱の試練どっちにしようかな」
…いろんな意味の天国には行きたくないです。
俺、終わったかもしれない。黒狼の餌ってなに。明らかに餌となってぱくりんちょでおしまいじゃねーか。未来なんてないよ。黒箱の試練はよくわからんけど怖い黒鬼が試練と言っている時点で屍になるの決定だよ。
「あいつに言われてからそうするのは癪だが黒箱の試練にするか。」
あいつって誰だよ。
でも、まぁ半分くらい諦めてたしまぁいいかな。と思うわけがなくせめて親友もみちづれにと思う俺は悪くないはず。
俺はもっと罰を軽くしてと言いたいこれは絶対この状況になったら誰だって思う。
だけど口がないんだ。いうことができないよ。