続きあるかも
にゃー
「おや、いらっしゃい」
その言葉で私は覚醒する。
暗い部屋で突然テレビに電源をいれたような、突然起きたその景色の変化に視界がぼやける。
見覚えのない顔、見覚えのない部屋。私はなぜか椅子に座っていた。
ぼやけた目で周囲を確認する。
ドシリ、と音がしそうな程に重厚で立派な木彫の机。
その四方は壁を隠すかのようにして、隙間なく本棚が設置されていた。
(ここは・・・書斎・・・?)
その様子に、おそらくは書斎と呼ぶべき場所であると私は判断する。
・・・若干その判断に自信が無いのは、その類の部屋を知識でしか知らないからだ。
この部屋の、そしてこの立派な机の主であろう、机の向こう側に座っている人物。
見覚えのない顔の...老年に見えるその男は、心底歓迎しているといった明るい声色で私を迎えた。
やっと来てくれた。と言わんばかりの様子の男に、私は困惑する。
見覚えはない。心当たりもない。しかし、何故か私はこの部屋へと迎え入れられている。
そう思考し、迎え入れられた、という表現に何故か違和感をおぼえる。
はっと閃いたように再度部屋の四方を見渡すと、勿論そこには本棚があるのだが、逆に本来あるべき物が見当たらない。
(ドアがない・・?)
ここにたどり着くまでの記憶は全く無い私は、その戸惑いのせいで言葉を返せずにいた。
混乱している様子を特に気にする風もなく見ていた男は、むしろ何かに納得するように言葉を続けた。
「ここに来るというのは本来、相応の資格と覚悟が必要なんじゃがの...なるほど」
歓迎から一転、独り言のように呟く老人を前に、私はやっと言葉をひねり出す。
「すいません、変な事をお伺いしますが、その、ここは一体・・?」
にゃにゃーん