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農業高校は毎日が戦争だぜ  作者: りょうさん
農業高校の日常編
9/110

農業高校の日常

ついに授業がスタートです。


地獄の新入生合宿研修を終えた耕太達、しかし休む暇なく翌日も学校はあった。


「だぁ・・・合宿研修の次の日くらい休ませてくれてもいいのになぁ・・・」

机と一体化しそうなのは主人公川島耕太。

「耕ちゃん、そんなんじゃあやっていけないよ~なぁ~?南のお嬢~」

ぽけーっとした顔で言うのは、クラスメイトでなんだかんだ耕太と一緒にいる下永哲也。

「あんたが元気なだけよ」

きっぱり言うのは同じくクラスメイトで、生徒会長の妹南麗華。

いつもの三人衆である。

「それじゃ、俺っちがバカって言ってるみたいじゃないか~」

怒っているのか微妙な下永。

「ちがうの?」

キョトンとした顔で首をかしげる南。

「うっそん・・・」

肩を落とす下永。

「はは・・・腕痛い・・・」

まだ痛みが残っているらしい耕太。


がらがら


ドアが開く音がする。

「よぉーし!ホームルーム始めるぞー!席につけ~!」

熱井先生が元気よく入ってくる。

「熱井先生は元気だよな・・・」

元気な先生が羨ましい耕太。

帰りのバスの中でも一人だけ起きていた。

「そりゃ~熱井先生だからな~」

下永は足を伸ばしながら言う。

「なんか納得・・・」

実際、熱井先生が疲れているところを見たことがない。

「よぉし、全員いるな~!さて、今日から本格的な授業が始まるわけだが・・・」

そう、今日からは授業があるのだ。

「5,6時間目のための実習服忘れた奴はいないよな~?」

5,6時間目の授業は、環境科学基礎(現在は農業と環境に改訂)。

実習が多く行われる科目だ。

「よし、いないな!初日に忘れた奴がいたらどうしてやろうかと思ったぜ!」

さらりと怖いことを言う熱井先生。

((((((忘れなくてよかった・・・))))))

ほっとするクラス全員。

ホームルーム進み。

「よし!ホームルーム終了!一日頑張れ!」

先生が去っていくと徐々にざわざわし始める。

「一時間目ってなんだっけ」

耕太が聞く。

「えっと・・・国語総合?」

下永が答える。

現在は改訂されている教科も多いが、あくまで作者のいた頃の教科で進めていく。

「国語かぁ・・・あんま得意じゃないな・・・」

耕太は本を読んだり、長文を読むことが苦手なのだ。

「耕ちゃんは何が好きなん?」

下永が聞く。

「・・・・・・・・ない?」

「・・・・・・・・俺っちもや・・・」

「「はぁ・・・」」

どちらも勉強は苦手みたいだ。

「南のお嬢は好きな科目ある?」

すがるような思いで南に聞く下永。

「好きなものはないけど嫌いなものもないわ」

答える南。

「「・・・(すぅぅ)」」

静かに涙を流す二人。

「な、なんで泣くのよ!?」

慌てる南。

「耕ちゃん・・・優等生がおる・・・優等生が・・・」

「落ち着け下永・・・わかっていたことじゃないか・・・最初から・・・わかっていたじゃないか・・・」

「耕ちゃん・・・」

「強く生きていこう下永・・・俺たちの未来は明るいぞ・・・」

「そうやな耕ちゃん・・・強くならなきゃな・・・」

「そうだぜ!俺たちは強い!」

「俺たちは強い!」

「で・・・何が言いたいの?」

「「勉強教えてください!!!」」

「はぁ・・・」

ため息をつく南。

ふたりはわらにもすがる思いだった。


1時間目、国語総合。

「この作者の考えは?川島くん」

耕太に問う先生。

「はい!わかりません!」

胸を張ってはっきり答える耕太。

「胸を張りながら言う言葉じゃありません!」

「は、はいい!」

撃沈。


2時間目、英語。

「この英語の意味は?川島くん」

「はい!わかりません!」

胸を張ってはっきり答える耕太。

あれ・・・デジャヴ?

「胸を張りながら言う言葉じゃありません!」

「は、はいい!!」

撃沈。


3時間目、数学。

「この場合、グラフはどこ方向に凸でしょうか、川島くん」

「はい!・・・右?」

今度は自信なさそうに答える耕太。

正解は上か下しかありません。

「はぁ・・・」

頭を押さえる先生。

下永は大爆笑、南は机に頭をつけていた。

撃沈。


4時間目、測量。

「この角度を求めてみろ、じゃあ川島!」

担当教員は熱井先生だ。

「はい!・・・できました!」

自信満々な耕太。

「川島・・・三角形の内角の和は180度だぞ・・・その計算だと360度だ・・・」

撃沈。


昼休み。

「・・・(ずーーーーん)」

耕太は机に顔をうずめ動かない。

目の前には

「ぎゃはははっは!耕ちゃん!ありゃないわ!!俺っちもあそこまでとは思わんかったわ!!」

大爆笑の下永がいた。

「ほんと・・・あそこまでとは思わなかったわ・・・よくあんなので高校合格できたわね・・・」

呆れ気味の南。

「推薦できたので、面接と小論文しかありませんでした・・・」

泣きそうな顔で答える耕太。

「この学校推薦入試で半分とるからね~」

椅子をがたがたしながら言う下永。

「こんなんじゃ、勉強教えるにしても基本の基本からになるわよ・・・」

頭を押さえるのを止めることのできない南。

「め、面目ない・・・」

「まぁ!いいじゃん!それより飯飯!」

空気を変えるように言う下永。

「そうだな、飯だな」

切り替える耕太。

「そういえば耕ちゃんは自分で作ってるんだっけ?」

思い出したように聞く下永。

「そうだよ?」

「ちょっとちょーだい!」

「あ!ちょ!」

耕太の弁当から卵焼きを抜き取る下永。

「ん・・・んん!?」

「どうした?まずかったか?上手く出来たつもりだったんだが・・・」

下永の反応に不安になる耕太。

「うんめえええええええええええええええええええええ!!!」

「!?!?びっくりした!」

突然叫びだす下永とびっくりして箸を落としそうになる耕太。

「耕ちゃん!こりゃうまいで!うちの母ちゃんよりうめえ!」

興奮気味の下永。

「あ、ありがとう・・・」

戸惑う耕太。

「南のお嬢も食べてみって!」

「え、ええ・・・いいの?」

耕太の方を見る南。

「どうぞ・・・」

弁当を差し出す耕太。

「じゃ、じゃあいただきます」

小さな一口。

「!?!?おいしい!!!え!?こんなことって・・・」

驚愕する南。

「うえぇぇ!?」

驚きすぎて椅子から落ちそうになる耕太。

「私よりうまいなんて・・・(ぼそ)」

「やろ!?やろ!?」

興奮が収まらない下永。

「耕ちゃん・・・俺っちのために毎日弁当作ってくれ」

「告白の定番をアレンジしてきやがった!?」

もうわけがわからない状態に。

意外な耕太の特技でした。


5,6時間目、環境科学基礎。

「環境科学基礎では主に作物の栽培を行う、作物の栽培は一年生でしかやらないから、真剣にやるように」

「「「「「「はい!」」」」」」

学科主任の火野先生が説明を行う。

このような実習科目は実習棟で説明を受け、その後実習場所へと向かう。

さらに、学科の先生のほとんどが出てくることが多い。

緑地土木科は普通にやっていれば、作物栽培はしない科だ。

そのため、一年生の環境科学基礎の時間に取り入れている。

「この、作物栽培は命を育てる、作物も命だ、決して生半可なことはするなよ!」

「「「「「「はい!」」」」」」

「そんじゃ!実習圃場へ移動!」

実習圃場へと歩いていく。


長靴を履き、軍手をつけた形で実習圃場へと集合した。

長靴は実習服と同時に入学以前に全員購入する。

この実習圃場は、生活科、畜産科など園芸科以外の作物栽培をしない科が使う圃場の他に、園芸科が使う温室、農業機械科が使う田んぼ、ぶどう温室、2ヘクタール以上ある畑など沢山のものが密集した形になっている。

現在も、温室では園芸科が実習を行っている。

園芸科が栽培するものは文化祭で実際に販売される。

そのほとんどが、すぐに完売するほどの人気だ。

「よーし、今日は作物を植えるための畝を作るぞ!」

畝(うね)とは作物を植えるための土を盛り上げたものを言う。

よく、畑に何も植えていない状態で、通り道より高く盛ってあるものが畝である。

作物を植えるための土台ともいえよう。

「できたらマルチ引きも行う」

マルチとは、畝の上にひく黒いビニールシートのようなものだ。

説明を受けた皆は作業へと取り掛かる。


「いや~、最初から植えるんじゃないんだな」

耕太が言う。

「何事にも準備は大切ってことやな~」

下永が言う。

「なるほどな~それにしても、広いな~」

「そうやな~全部で3ヘクタールはあるやろな~」

「うへぇ、さっきから生徒が乗ったトラクターが走り回ってるし・・・」

農業機械科の生徒は大体がトラクターに乗る。

と、耕太達の横の道路を畜産科の三年生が騒ぎながら走っていく。

「うまれるぞ!!いそげ!!牛だぁぁぁッぁぁぁぁ!!がんばれ!マサコォォォッォォ!!」

「「・・・・大変だな」」

牛の出産が始まったらしい。

畜産科は時々こうゆう事がある。


その頃南は・・・

「・・・川島くんの勉強法・・・は!こんなことはどうでもよくって!畝!畝作らなきゃ!・・・あ、でも基本から・・・」

耕太のことを考えてました。


そして無事、畝作り、マルチ引きが終了した。

その後のホームルームも終了し。

「「「「「「部活だァァァァ!!」」」」」」

体育会系の皆様は部活へ行かれましたとさ。

耕太達はというと

「じゃあな~」

「じゃあね~」「またあした・・・」

早々と帰っていきました。


1時間後。

「ただいま」

家へと着いた耕太。

そして、ひとつの仏壇の前へ。

そこには笑顔の男性と女性の写真があった。

「ただいま、母さん、父さん」

手を合わせ目を瞑る耕太。

「よし」

耕太は台所へと向かった、そして自ら作った弁当を持ち出かけていく。


「いってきます」


続く

どうもりょうさんです!農業高校の日常をお送りしました!

前回、農業高校の日常編と書きましたが、この一話のみです。

次回からは耕太の過去編、現状編に入ります。

耕太の家庭事情なども書いていきたいと思います。

少しシリアスになってしまうかもしれませんが、シリアスに書けるかどうかも分からない文章構成能力なので、お気に召さない形になってしまったらごめんなさい。

それでも精一杯頑張りますので!よろしくお願いします!

それでは、また次回お会いいたしましょう!


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