地獄の新入生合宿研修~最終日、ここから始まる物語~
ついに最終日です!
耕太が体育館内を泣かせた次の日。
「ラジオ体操第一」
その誰もが知る体操をするのは3回目だ、そして最後だ。
昨日までは
「飯だ!急げ!チンタラ食ってる暇はないぞ!ダッシュだぁ!みんなぁぁ!」
とまあこんなセリフが飛び交っていたわけだが、今日はそんなことはない。
今日は、最終日、地獄の新入生合宿研修が終わりを告げる日だ。
「飯を食ったら部屋の片付けだ!早く飯食ってこいよ!」
「「「「「「はい!」」」」」」
「やっと終わりかぁ、ほんときつかった・・・まだ腕痛いし・・・」
腕をさすりながらつぶやく耕太。
「だね~あぁ・・・腕痛い」
結局、下永も筋肉痛が残ったらしい。
「南さん、大丈夫?」
「うん、大丈夫・・・じゃない・・・」
「だよね・・・」
さっきから箸を持つ手が震えている。
「それより・・・さっきから他学科の子にチラチラ見られてるんだけど?」
耕太が小声で言う。
「あぁ~昨日の耕ちゃんの歌に惚れた子達やな~」
「・・・(ぴくっ)」
答える下永、そして肩をぴくっと動かす南。
「はぁ~?そんなの無いだろ、だってわしだよ?ないない」
苦笑いを浮かべながら反論する耕太。
「耕ちゃんはほんま、鈍感なやっちゃなぁ~なぁ?南のお嬢?」
「・・・(ぷい)」
下永の問いに顔を背ける南。
「??」
耕太は首をかしげる。
「こ~た♪」
むぎゅ
「「!?!?」」
耕太の後ろから抱きついたのは、耕太の幼馴染、三島静音だった。
驚く下永と南。
耕太はというと、
「ん?シズ、どうした?」
平然としてました。
「ん~?別に意味はないけど~昨日の歌聴いて惚れ直したっていうか~だから抱きついちゃった♪」
「はいはい、いいから離れような?人前だろ?」
淡々と三島を引き剥がす耕太。
通常の人間ならたぶん、
「お!おい!何やってんだよ!?あぁ・・・柔らかいものがぁ・・・当たってぇぇ!」
とかなるはずだ。
三島の胸はぼーんなのだから。
「もーじゃあ人前じゃなかったらいいの~?」
抱きついたままで聞く三島。
「人前じゃなくてもダメ」
「えええええ!なんでよ!」
「そうゆうのは、なしって言ったろ?」
「ぶぅ・・・はぁい」
渋々、首に回していた腕を解く三島。
「ふぅ・・・」
「ずいぶんお楽しみだったようで!か・わ・し・ま・く・ん!?」
殺気を放つ南さんがいましたとさ。
「え!?南さん!?どうしたんでしょうか!?」
なんのことかわからず慌てふためく耕太。
「俺っちはしらんよ~」
ひらひらと手を振る下永。
「下永あぁぁぁぁぁ!!たすけてぇぇぇ!」
さあ、みなさんご一緒に、合掌
「あ、ちょ!南さん!いたい!いたいって!あああああああああああああ!!」
「ふん!ふん!」
時は過ぎ場面は部屋。
耕太の顔は傷だらけでした。
手当を三島にしてもらっていたら、それを見た南にまたボコボコにされた耕太であった。
「・・・理不尽だ」
顔を膨らませる耕太。
「自業自得やで耕ちゃん・・・」
正論です下永。
「まあいいや、早いとこ片付け終らせようぜ」
あれだけされても、まあいいやで済ませるところが耕太のいいところでもある。
それはさておき、実はこの片付け色々とチェック項目があるのだ。
これをクリアできないと帰れないのである。
隠れ関門とでも言っておこう。
毎年、何度もやり直しをさせられる部屋があるらしい。
このことを熱井先生から聞いていた耕太たちは、丁寧に、綺麗に片付けを行なっていた。
「それにしても、やっと終わりか~」
ほっと肩をなでおろす岩城(柔道部)
「そうだな~まさに地獄だったよな~」
布団をキレイにたたみながら言う佐々木(弓道部)
「ほんとにな、これなら野球部でもやっていけそうだ」
部屋の隅のほうを掃き掃除しながら言う田中。
「そういえば、ふたりは部活決めたのか?」
思い出したように言う岩城(柔道部)
「あーわしは帰宅部」
「俺っちも~」
ふたり揃って帰宅部と答える。
「へ~二人の運動能力ならどこでもやっていけると思うけど」
と佐々木(弓道部)
この過酷な合宿研修の中で、常に先頭に立っていたのはこの二人だったのだ。
「まぁ、わしは、部活する時間がないからな・・・」
「そっか、耕ちゃんは1時間かけてくるんだもんな」
今度は窓ふきをしながら言う田中。
「てっちゃんは?」
「俺っちは単に部活に興味がないだけ~」
田中の問いに答える下永。
「「「もったいないな~二人共」」」
その後、入念に掃除をした結果、一発合格。
集合場所へと向かった。
集合場所へと向かうと、緑地のメンバーが多く集まっていた。
ほかの学科は案の定まだ合格できていないみたいだ。
南は一発合格したらしい。
うまく生活科の生徒を使ったのだろう。
「よし、緑地は全員揃ったな」
総務の耕太が確認し集合完了。
それから20分後、合格した他学科の生徒が集まってきた。
そして30分後、集合完了。
「四日間お世話になりました!今回、ここで学んだことをこれからの高校生活に活かしていきたいと思います!気を付け!礼!」
「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」
感謝の言葉を耕太が述べ、挨拶をして事務所を後にした。
そして、バスに乗り込む。
合宿場の方を見ると、食事処の女将さんがこちらに手を振っていた。
「あ、女将さんだ!みんな!礼」
「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」
この合宿研修で辛かったことはたくさんあった、その中でも学ぶことはたくさんあった。
耕太たちは少なからずこの4日間で成長した。
そして、帰りのバスの中では。
「ぐおおおおお!」
「ぐがががああああ!」
「・・・・(すぅ)」
「「「「「「ぐがああああああああ!」」」」」」
全員撃沈してました。
そして、3時間かけて学校に到着。
解団式が行われた。
式が行われるということは・・・
「えー新入生のみなさんは・・・」
ですよね、校長先生のお話です。
そして校長先生のお話が終わり、次は
「生徒会長挨拶」
現在17時、普通なら下校している時間、待っていたようだ。
「今回の新入生合宿研修で大きく成長できたと思います、みなさんのこれからのご活躍を期待しています」
立派な挨拶だった。
生徒会長として文句の一つもつけられない挨拶だ。
そして、この新入生合宿研修は幕を閉じた。
解散し、多くのものが下校していく中、俺の前にはあの人がたっていた。
「おかえり♪川島くん♪」
「ただ今帰りました、生徒会長」
そう、生徒会長であり南の姉、南彩花であった。
その後ろには桜川と西野が立っていた。
そして耕太の後ろには、南と下永が立っていた。
「一段とたくましい顔になったわね♪うれしいわ♪」
「それはどうも」
無愛想に答える耕太。
「も~無愛想ね~私川島くんが帰ってくるのを待ってたんだけどな~」
拗ねたように唇と尖らせる南姉。
「わしも別の意味では帰りたいと思ってましたけどね」
もちろん合宿が早く終わればいいのにという意味だ。
「今日の笑顔どうだった?あなたの言う上辺だけの笑顔だった?」
南姉が問う。
「ええ、全然ドキドキしませんでした」
はっきりと答える耕太。
((((うわぁ・・・はっきり言うなぁ))))
二人以外の四人もわかっている、南姉の笑顔は上辺だけのものだと、わかっているだけに言うことも、指摘することもできない。
しかし、耕太ははっきりと言ってみせる。
それを聞いた南姉は口角を吊り上げ
「ふふ、それでこそ川島くんね♪」
といった。
「??」
耕太は首をかしげる。
「まあ、いいわ♪これからも期待してるわね、川島くん♪(にこっ)」
(う!またこの笑顔、これは上辺の笑顔じゃない・・・本物の笑顔)
またも南姉の、本物の笑顔にドキドキする耕太であった。
南姉は手を振り西野・桜川を連れ、去っていった。
「相変わらずな人やな~会長さんは」
他人事のように言う下永。
「ああ、厄介な人だよ・・・まったく」
胸をなでおろしながら言う耕太。
(姉さん・・・)
胸のもやもやが収まらない南。
「どうでした?先輩、川島くんは」
西野が首をかしげながら聞く。
「一層たくましくなってたわ、顔つきからして違ったからね~これからが楽しみね♪」
笑顔で答える南姉。
「確かに、たくましくなってたわね、あなたにも強い態度で接してたし」
淡々と話す桜川。
「そうね~あの顔がたまらないのよね~!ああ!いいわ!」
その大きな胸を揺らしながら、顔を緩める南姉。
「気持ちわるいわよ彩花」
きっぱりという桜川。
西野は苦笑いを浮かべていた。
いろいろなことがあった新入生合宿研修、辛いことを乗り越え、掴んだ仲間との絆、これからの3年間、どんな面白いことが耕太たちを待っているのか、耕太たちはどんな風に成長していくのか。
ここからが本番だ、高校生活は始まったばかりだ、まずは明日から本格的に授業が始まる。
農業高校の授業、普通ではやらないような授業。
耕太たちの農業高校生活、戦争がここから始まる。
続く
どうもりょうさんです!地獄の新入生合宿研修~最終日、ここから始まる物語~をお送りしました!
ついに地獄の新入生合宿研修編が終了いたしました!
辛いこと、たくさんありました。
仲間との絆を手に入れました。
耕太君たちは少なからず成長したと思います。
耕太くんの高校生活はこれからです。
物語もまだまだ続きます!耕太くんの成長を見ていてください!
次回からは農業高校の日常編です!
これからも、農業高校は毎日が戦争だぜをよろしくお願いします!
それでは次回またお会い致しましょう!
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