地獄の新入生合宿研修~1日目~
地獄の合宿研修がはじまります
新入生合宿研修・・・それは畑農100年の歴史の中で戦時中を除いて毎年行われてきた行事。
この合宿研修の直後退学を決意するものも多いという。
そして、今年も新入生が地獄の合宿研修に臨む。
「ついた・・・」
「ついたな~」
疲れた様子の耕太と下永。
それもその筈、学校から約3時間、山を何個超えたかも忘れてしまうほどの道のりを経て、この合宿場へとやってきたのだ。
そりゃ、疲れるにきまっている。
「3時間って・・・長すぎだろ」
「ま~確かに長かったな~」
実際、あの屈強な男たちも疲れた表情を見せている。
「よし!事務所に挨拶をしたら講堂へ集合!いそげ!」
「「「「「「はい!」」」」」」
事務所の前に立ち
「これから4日間よろしくお願いします!きをつけ!れい!!」
「「「「「「おねがいします!」」」」」」
「はいよろしく」
総務である耕太が号令をかけ挨拶をする。
え?いつ耕太が総務になったかって?それは・・・昨日の放課後。
「お!川島!」
「?先生どうかしましたか?」
「お前総務な」
「え!?俺が!?」
「お前しかいないだろう」
「いや他にもいるでしょ!下永とか田中(1話に出てきた野球部志望の男子)とか!」
「いや!俺は川島しかいないと思っている!だから任せた!」
と走っていく熱井先生。
「いや!根拠はーーー!!」
「勘だ!じゃあな!」
という風な感じで押し付けられていたのだ。
それを下永に話すと。
「ギャハハハハハ!!おっかし!まあ、がんばれって・・・ぷふ・・・川島総務・・・ぶふ!」
ドガッ
「ぶはっ!なにするんや!耕ちゃん!いたいやん!」
耕太は思いっきり下永の腹を殴った。
「うっせえ!なんかムカつくし!関西弁だし!」
「関西弁関係ないやぁん・・・」
「うっせうっせ!」
ということがあったのだ。
クラスメイトは意外にもすぐ受け入れた。
そして挨拶が終わったあとは・・・
「急げ!遅れるな!」
「「「「「「おう!」」」」」」
ダッシュであった。
これぞ、事前研修の成果である。
常にダッシュが染み付いたみんなであった。
そして場面は講堂へ
まず、初めに行われたのは、校則の注意点や指導上の注意などの講義だった。
そして、次に行われるのは・・・
地獄の合宿研修第一の関門!校歌指導!
ちなみに行きのバスの中では。
「緑~溢れる~こ~の~大地に~♪」
校歌がずっと流れていた。
それも、この校歌指導のためである。
「では、初めはみんなで歌ってみましょう」
「「「「「「はい!」」」」」」
体育教師兼指導教員の先生が言う。
「せーの」
ちなみに伴奏はなしである。
「「「「「「緑~」」」」」」
「ストォォップ!!全然ダメ!叫ぶくらい出せ!もう一回!」
「「「「「「ミドリィィ!」」」」」」
「マダマダァ!」
「「「「「「ミドリィィィィィ!!!」」」」」」
「「「「「「アフレルゥゥゥゥゥ!!!!」」」」」」
女子でも男子でもお構いなし。
みんな顔をクシャクシャにして叫ぶ。
ぶっちゃけ言ってすごい光景である。
20分後
「よし、次はクラスごとに行くぞ!」
「「「「「「はい!!」」」」」」
「まずは園芸家!」
「「「「「「はい!」」」」」」
園芸科は男子女子の比率がだいたい同じであるので、どうしてもほかのクラスより声量が劣ってしまう。
「「「「「「ミドリィィィィィ」」」」」」
「「「「「「「アフレルゥゥゥゥゥ!」」」」」」
「だめだ!次!お前らは外で練習して来い!」
と、こういうふうに外で練習させられてしまう。
そして、園芸科よりさらに劣ってしまうのは、クラス全員が女子である生活科と女子の比率が多い畜産科と食品科である。
ちなみに畜産科は意外と女子の比率が多いのである。
「次!生活科!」
「「「「「「はい!」」」」」」
「「「「「「みどりのーー」」」」」」
「だめ!外!」
畜産科
「だめ!」
食品科
「外!」
4クラスが撃沈してしまった。
そして、この校歌指導で一番早く合格するのが
「「「「「「ミドリィィィッィィィ!!!!!!」」」」」」」
緑地土木科と
「「「「「「アフレルゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!」」」」」」
農業機械科である。
この二つの学科は、ほとんどが男子であり、更に体育系の部活に所属している人が多く在籍しているのだ。
それゆえ
「よし!緑地土木科、農業機械科合格!」
「「「「「「よっしゃあ!!!」」」」」」
残りの生物工学科は男子は多いのだが、成績が優秀な者が多く、あまり大きな声を出すのが苦手な人が多かった。
そうなれば
「外!」
こうなってしまう。
「緑地土木科と農業機械科は自分たちの部屋で待機、夕飯の時間は、緑地が18時、農機が18時20分からだ。」
「「「「「「はい!」」」」」」
合格した耕太たちは部屋へとダッシュで向かっていく。
このように合宿研修では真面目にやればやるほど自由時間が増える仕組みになっている。
そして部屋では。
「ふ~やっぱ先生の言うこと聞いといてよかったな」
と耕太。
「そうだね~やっぱ練習は大事だよ」
と頷く下永。
耕太たちの言う練習とは、これまた行きのバスへとさかのぼる。
「よぉーし!お前ら!いいこと教えといてやる!初めに行われる校歌指導で早く合格することができれば自由時間が増えるぞ!練習しときな!」
先生がバスが動き始めた直後に言った。
「おお、ならやるしかないな~な?耕ちゃん」
はりきる下永。
「そうだな、そんじゃみんな!練習しようか!」
「「「「「「おう!」」」」」」
というふうにバスの中であらかじめ練習をしておいたのだ。
他のクラスには歌詞を覚えていない者もいたが、緑地には誰一人いなかった。
ちなみに、南は声出てなかったんじゃない?って思う人がいると思うので、回想入ります。
「ミドォォォリィィィィィィ!!!!!!!」
回想終了。
男子より大きな声出してました。
「いや~それにしても自由時間2時間は大きいよな~まだ16時だもんな」
と田中・・・誰だっけ・・・
「あれ、涙が出てきた」
「どうした!田中!」
「球ちゃん泣かんで!」
あー、野球部の子だ・・・さっき自分で紹介したのに忘れてた、てへっ♪
「ま、まあいいや・・・」
「自己完結しおったで」
「下永触れてやるな」
「そやな♪」
(あんた、ほんまおもろいな♪)
そんな褒めんなよ下永♪
ってそんなことはどうでもよくて。
この部屋には、耕太・下永・田中・岩城(柔道部)・佐々木(弓道部)がいた。
「今から何するよ」
と岩城(柔道部)。
「そうだなー2時間あっても確かに暇だよな」
と佐々木(弓道部)。
「そういえばさ・・・園芸のあいつってさ・・・」
と下永が切り出す。
「あ、俺もそれ知ってる・・・」
と田中。
「「「「まじで?それでそれで?」」」」
「あれ、今何時?」
と、思い出したように聞く耕太。
「そーねだいたいねー」
と下永。
「お前、そんなの知ってんのかよ」
と岩城(柔道部)。
「そうじゃなくて!あ、もう17時50分じゃん」
「「「「え!?」」」」
男子の会話ってこういう時意外と続くよね。
「んじゃ、飯行こうか!」
立ち上がる耕太。
「「「「おう!」」」」
そして食堂。
緑地の前に食事だった、生活科の生徒がぐったりしていた。
五人が会話している時も校歌がずっと聞こえていた。
そこに、南が現れた。
「お、南のお嬢~」
下永がいつもどおり呼んだ。
するとこちらに気づいた南が近づいてくる。
「南さんの部屋は人いた?」
と耕太。
「いなかった、後の4人は生活科だったから」
女子だから耕太達の棟とは別だ。
「やっぱか~」
生活科の生徒は夕飯直前で合格し、食堂へ直行らしい。
耕太が近くにいた机に突っ伏す女子生徒に話しかける。
「大丈夫?」
「う~ん?大丈夫・・・ってな~んだ耕太か~」
「ん?耕ちゃんお知り合い?」
下永が問う。
「あ~うん、同じ村のやつでね、わしの幼馴染なんだ」
「あ、緑地の友達か、って女子もいる!てか、かわい!って生徒会長の妹君じゃないか!あ、わたし三島静音(みしましずね)!よろしくね!」
「シズ・・・もっと落ち着いて話せよ・・・」
(シズ・・・!)
((((あ、やべえ))))
「えっと、南麗花です。三島さんは川島君の彼女さんですか?」
「え!?」
驚く耕太。
「「「「うわぁお・・・」」」」
頭を抱える緑地連中。
「・・・んっふ♪なるほどね♪」
にやにやする三島。
「な、なんですか」
「なんでもないよ♪えっとね~ぶっちゃけると~一回振られちゃったんだよね~」
「「「「「!?!?!?!?」」」」」
「お、おいシズ・・・」
「川島くんは黙ってて!」
「は!はい!」
こわいこわい。
「中3の時に告って、振られちゃったの」
「耕ちゃんどうして?三島さん相当可愛いと思うよ?」
実際さっきからチラチラ男子生徒が三島を見ている。
髪は長い、くせっ毛で多少クルクルしているが、それも似合うような顔立ち、背は南と同じくらい、胸はぼーん。はっきりいって超可愛い。
「まぁ・・・いろいろあったんだよ」
「・・・ふーん、まあいいや!耕ちゃん!飯取りに行こうぜ!」
(やっぱり、こいつはいい奴なのか?)
それ以上聞いてこなかった下永に感心する耕太であった。
「それじゃあ、わたしもこれで」
と歩き出した南に三島はこういった。
「私、まだ諦めてないから」
「まだかな~」
と耕太。
夕飯を食べた耕太たちは風呂場の前に立っていた。
ちなみに夕飯はバイキング形式だった。
味はめっちゃうまい。
そんでもって、なぜ風呂場の前に緑地全員いるかというと・・・
「風呂の時間はひとクラス15分!早く開けろよー!」
この先生の一言だった、そのため10分前から待っているのだ。
「おい!早くでろ!つっかえてんぞ!」
「うっせ!まだ5分あるだろうが!」
というふうな会話もきこえてくる。
そして、
「緑地入れ!」
「「「「「「うおおおおおおお!!!!」」」」」」
一斉に風呂へ入る耕太達。
大急ぎで髪を洗い、体も素早くこすり、湯船に浸かる。
「「「「「「ふぁぁぁぁあ~~」」」」」」
ここで一息。
そして
「早く出やがれ!」
「「「「「「うっせ!まだ2分あるだろ!」」」」」」
とまあ、軽い戦争でした。
そして風呂から上がった耕太達はクラスごとに分かれ簡単なホームルームを行っていた。
「そんじゃ、3日目の夜に行われるキャンプファイヤーの出し物を決めまーす」
総務の耕太が仕切る。
3日目にはキャンプファイヤーがある、といっても屋外で火を焚くのではなく、屋内でキャンドルに火を点け行う。
その中で各クラスで出し物をするのだ。
歌っても踊っても良い。
「はいはーい!」
「お、なんかあるか?下永」
「耕ちゃんが歌えばいいんじゃない?」
「は!?いや無理だろ!」
「「「「「「それいいじゃん!おれも賛成!」」」」」」
みんなは賛同する。
「俺たちはコーラスするから」
「お、おい!音楽もないんだぞ?ギターなんかがあるならまだしも・・・」
「ギターなら貸出があるぞ?」
「せんせぇぇぇぇいぃぃぃ!!」
叫ぶ耕太。
「で、でも!弾ける奴いないだろ?」
「おれっち弾けるよん♪」
「はぁ・・・もういいよ・・・わかったよ(泣)」
「「「「「「よっしゃー!!」」」」」」
(わくわく)
一人ワクワクする南であった。
練習は明日からになった。
そして、就寝時間10分前。
「305号室全員います!!」
「よし!おやすみ!」
「「「「「おやすみなさい!」」」」」
就寝前点呼を終え、部屋に入る。
そして一言も話さずみんな就寝した。
1日目終了である。
・・・・と、思いきや
消灯後
「・・・・こらぁぁぁ!なにをしゃべっとるか!」
と、先生の怒声は夜中にも鳴り響くのであった。
続く
ついに合宿研修が始まりました!
新キャラも出しました!あれ・・・どんどんハーレムものに・・・まあいっか!
幼馴染三島静音をよろしくです!ヒロインの中で皆様に嫁ができたら幸いです!
合宿研修編が続くとは思いますがよろしくお願いします!
ブクマ、感想頂ければ泣いて喜びます!