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農業高校は毎日が戦争だぜ  作者: りょうさん
3学期編
42/110

3学期編~別れの始まり~

新しい年を迎え、迎えた3学期始業式。

長期休業後恒例の宿題騒動は行われていた。


「ああああああ!間に合わねえ!やべえ!ああああ!」

「漢字の書き取りおわらねえ!なんだこれ!」

「うおおおおおお!ファイヤアアアアアアア!」

緑地土木科の教室内は混沌と化していた。

もちろん南は、その混沌の中に入ってはいないが、今回は耕太もその中に入っていない。

目の下にクマができているということはない。

ないのだが・・・

「川島君、どうしたの?その傷」

「えっと・・・まあ、誰かさんに殴られまして・・・」

耕太の顔には無数の傷跡があった。

もちろん、静音によるものだ。

あのあと、耕太はひどい目に遭っていた。

その内容は話すことができない程だ。

「あなたも、懲りないわね・・・」

「わしのせいなのかな!」

「そうなのではないかしら・・・」

南は呆れたように息を吐く。

「そういえば、哲也が来てないな」

「そうね、珍しいわね」

教室内を見回してみたが、哲也は見当たらなかった。

すると、教室の扉が開いた。

「ういぃーす・・・」

「お?哲也・・・!?」

教室に現れたのは、目の下にクマを作り、顔が少しやつれている哲也だった。

「どうしたんだよ!?」

「はは・・・ちょっとね・・・」

哲也は何があったのかを話し始める。


それは一昨日、耕太から電話があった後の話だ。

「ああああああ!宿題!どうしよう!あああああ!」

哲也は一人部屋で床の上を転がっていた。

「やっぱり甘奈に頼るしか・・・」

そして、哲也は甘奈に電話をかけたのだが・・・


(嫌です!もう哲也様なんて知りません!)


一発で断られてしまったのだ。

その後、何度か頼んだが甘奈の口からいつものように、【しょうがないですね】という言葉が発せられることはなかった。

「あああああああ・・・どうしよ・・・あああああ」

哲也は万策が尽きてしまった。

哲也が甘奈以外に頼める人などいなかった。

「こうなったらあああああ!」

哲也は意を決し、一人で宿題に取り掛かった。

しかし・・・


「もーだめだあああ!」


やはり一人ではできなかったようだ。

耕太は一人でもなんとかやり遂げるが、哲也はそうもいかないらしい。

それでも哲也は泣きながら宿題に取り組み、今日の朝までかかったらしい。


「やはり自業自得ね」

「ぐはああ!」

南は哲也の話を聞いて、きつい一言を哲也に投げかけた。

「え、えっと・・・どんまい!」

耕太も反応に困ってしまった。

哲也は涙を流していた。

その後、教室に熱井先生が登場し、宿題騒動はひとまず終結する。

ホームルーム中も宿題をしている者もいるのだが・・・

その後、始業式を行うために体育館へと向かった。


全員が体育館へと集合完了し、始業式が開始する。

耕太や美紅をはじめとする生徒会は、生徒の列の横へと整列していた。

「これより、3学期始業式を開式致します。一同、礼」

司会者の号令により全員が礼をし、始業式が開式する。

恒例の校長の長い話が終わったあと、生徒会長である美紅が壇上に上がり、挨拶をする。

「みなさん、今日から3学期が始まりました。3年生のみなさんにとってはあともう少しで卒業となります。この3学期を精一杯過ごしてください。1、2年生のみなさんも頑張っていきましょう」

美紅の挨拶が終わり、美紅へと暖かい拍手が送られる。

そう、この1月、2月を超えれば3年生は卒業。

しかも、2月からは自由登校となり、ほとんど学校には来ない。

農業高校は専門高校であるため、大学進学者にしても多くの者が、推薦入試や指定校推薦などを使うなどして、一般よりも早く進路を決める。

そのため、2月という早い時期から自由登校となる。

就職する者も多く、その比率は大体半々くらいだ。

3年生はこの3学期、ほぼ1ヶ月しか学校に来ないということになるのだ。

もちろん、今年の3年生も既に進路を決めている者がほとんどで、あとはセンター入試を受ける者のみとなっていた。

なにはともあれ、もう少しで3年生はこの学校から去ってしまうのだ。


始業式が終了したあとは、放課となる。

哲也は家で休みたいと言って帰宅、南も素早く帰宅した。

耕太は、生徒会室へとやってきていた。

「寒いですね~美紅先輩」

「そうだね~・・・」

耕太と美紅は生徒会室でぼーっとしていた。

別に行うべき仕事はないのだ。

なんとなくここにいるだけ。そんな感じだった。

「ホント寒いね~・・・あ!そうだ!」

「どうしたんです?」

美紅は何かを閃いたように手をポンと叩く。

「耕太君!目をつむってて!」

「目ですか?」

「そうだよ♪」

「わかりました・・・」

耕太は目をつむった。

すると、大きな音が聞こえ始め時折、美紅の「あうっ!」や「ふぇええ!」などの可愛い声が聞こえてくる。

「美紅先輩?大丈夫ですか~?」

「大丈夫だよ!・・・あう!」

「・・・」

一体何をしているんだ・・・耕太はそう思った。

そして、

「目をあけていいよ~」

「それでは」

耕太が目を開けるとそこには・・・

「こ、これは!こたつではないですかああああああ!」

生徒会室の真ん中にこたつが置かれていた。

それを見た耕太は大興奮だ。

「美紅先輩!これどうしたんですか!」

「ふっふっふ~調達してきたのだ~」

美紅は得意気に鼻を鳴らす。

「どこにあったんですか?」

「生徒会用具室」

「なんでそんなとこにあるんだあああああ!!」

耕太は美紅の口から発せられた場所に驚き、叫んでしまった。

「南先輩がもって来たやつを保管してたみたい」

「あの人は自由だなああああ!」

南姉のマイペースさを再認識した耕太であった。


「はぁぁぁ・・・」

「はぅぅぅ・・・」

二人はこたつの虜になってしまっていた。

人類の生み出した最高の産物、人を虜にし、人をダメにする最強の道具・・・それがこたつなのだあああああ!

寒い冬には必需品だ。

「耕太君・・・これはダメだよぉ・・・」

「確かにぬけ出せなくなりますね・・・」

「あぁん・・・こたつ・・・・」

美紅の声がだんだん甘く、とろけそうになる。

はたから見ると、なぜかエロい。

「耕太くぅん・・・」

「美紅先輩、エロいっす」

「ふにゃ!?エロい!?」

耕太のストレートな指摘に顔を赤くする美紅。

「だめだな~耕太君。ここは押し倒すところだよ~」

「「!?」」

突然、耕太と美紅以外の声が聞こえる。

「南先輩!?なんでここにいるんですか!てか!いつ来たんですか!」

「はっはー!私は神出鬼没だよ~」

「こわいわ!」

突然現れたのは南麗華の姉であり、前生徒会長である南彩花だった。

「細かいことは気にするな~!」

「この人は・・・」

はっはっはと笑う南姉を見て、呆れる耕太だった。

その頃、美紅は・・・

「お、お、お、押し倒す・・・ふぇぇぇぇぇ!!」

「真に受けないでください!」

南姉の言葉を聞いて顔を赤く染めていた。


美紅が落ち着いて、話を再開する。

「それで?何しに来たんですか?」

「もー耕太君!前生徒会長は生徒会室にきちゃいけないのー?」

南姉は少し拗ねたように言う。

「別にそういうわけじゃないですけど」

「ならいいよねー♪」

「もう好きにしてください・・・」

やはり耕太は南姉には勝てないようだ。

「まあ、実際のところは~現生徒会長と副会長の様子を見に来ただけだよ~」

「なら普通に入ってきてくださいよ・・・」

「面白くないじゃん!」

「面白さを求めるほうがおかしいよ!」

それを見た美紅はくすくすと笑っていた。

「ん~?どうしたの?美紅ちゃん」

「い、いえ、本当におふたりは仲がよろしいんですね♪」

美紅は笑顔でそういった。

「うん、そうだよ~仲良しだよ♪」

「そうでしたっけ・・・」

「あー!耕太君ひどーい!」

また言い合いになる二人。

「でも、美紅ちゃんも耕太君と仲いいよね~」

「え!?私なんて・・・」

「え・・・美紅先輩・・・」

耕太は捨てられた子犬のような目をする。

「ああ!嘘!仲いいよね!耕太君!」

慌ててフォローする美紅。

そのあたふたする姿はとても可愛かった。

それをみた耕太は笑顔を浮かべ・・・

「はは、可愛いな~美紅ちゃんは♪」

そう言って美紅の頭を撫でた。

「もー!またからかって!私先輩なんだよー!?」

いつものように可愛く怒る美紅であった。

「ほら仲いい」

「これはからかわれてるだけですーー!」

このような会話が下校時刻まで繰り広げられた。


二人に別れを告げた耕太は帰路へとついていた。

「うー寒いな~」

冷たい風が吹く中、耕太は自転車をこいでいた。

余計に寒い。

「もうすぐ1年か・・・」

耕太はこの道をここまでずっと走り続けていた。

その期間ももうすぐ1年。

全体の三分の一があと3ヶ月で終わろうとしている。

「早いもんだな~いろいろあったけど、楽しかった」

これまであったことを思い出していく耕太。

「これからもいっぱい思い出作んなきゃな!さて!寒いし早く帰ろ!」

これからに期待を膨らませながら、耕太は自転車のペダルを強く踏み込んだ。


3学期、開始。


続く

どうもりょうさんです!3学期編~別れの始まり~をお送りいたしました!

まず、更新遅れてすみませんでした!

色々と忙しくて時間が取れませんでした!

これからはもう少し頑張ります!

さてさて、ついに別れの学期である3学期へと突入いたしました。

南姉との恋はどうなるのか!南と南姉の関係はどうなるのか!

乞うご期待です!期待を裏切らないように、精一杯書かせていただきます!

文才のない僕の小説を読んでくださっている皆さん!いつもありがとうございます!

それではまた次回お会い致しましょう!


4500PV超えました!みなさんのおかげです!ありがとうございます!


作者のもうひとつの小説「こんなの家具なわけねえ!」も読んでいただけると嬉しいです!


ブクマ、感想など頂ければ作者は泣いて喜びます

なにか、問題、ご要望があればメッセージなどいただければ嬉しいです!

この小説がお気に召しましたら評価の方もお願いいたします

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