地獄の始まり~新入生合宿研修事前研修~
地獄の合宿研修編スタートです
「あなたを絶対落としてみせるわ!」
(はぁ~)
南姉からの衝撃宣言からはや二日。
入学式、対面式が終わり、ようやく一息つけると思いきや・・・
「今日から新入生合宿研修の事前研修が始まる!」
と、今日も元気!熱井先生。
「ついにやってきたか・・・」
深刻そうに俯く下永。
「なんでそんなうなだれてんだ?」
不思議そうに聞く耕太。
「この学校の合宿研修はな・・・地獄の合宿研修と呼ばれる、畑農の最初の関門だ」
「そんなに辛いのか?」
「もちろんだ、毎回研修終了後には辞める奴もいるほどだ」
「うへぇ・・・どんだけきついんだよ・・・」
「南のお嬢は知ってるよな?お姉さんが経験してるだろうし」
「・・・まぁ、そうね。きついとゆうことは聞いているわ」
やっぱりちゃんと答えてくれる南。
「へぇ~大丈夫かなわし・・・」
思わずため息がこぼれる耕太。
「大丈夫!耕ちゃんは根性あるし!少々のことじゃへこたれんやろ!な?南のお嬢?」
「へ!?・・・あ、あ、うん。たぶん大丈夫だと思う・・・」
顔を真っ赤に染め上げ、俯きながら答える南。
(うーん、目を合わせてくれない・・・)
あの騒動以来、南は耕太と顔をろくに合わせないでいる。
(またやっちゃった・・・なんなのよ!もう!そうよ!この人が全部悪いんだわ!きっとそうよ!)
初々しいですな。
「そうですな」
勝手に入ってこないでください哲也君。
「こりゃ失敬、って俺誰と話してたんだっけ?まぁいっか!」
「何独り言いってんだ?・・・それにしても事前研修までするなんて、すごい力の入れようだな」
「まあ、昔からの伝統らしいからな」
「へぇ~、本番はいつからだっけ?」
「一週間後、そっから三泊四日」
「ずいぶん先だし長いな」
「そうだな、それだけ力を入れてるってことじゃないの~?」
「なるほどな」
「こるぁぁ!静かにせんか者共!」
先生がキレました。
「者共って・・・」
若干引き気味の耕太。
「それじゃあ、説明するぞ。この新入生合宿研修は畑農で生活していく上で大切なこと、社会に出ても必要なことを学ぶことを目的としている。そのため、こちらとしても厳しくいかせてもらう、それは覚悟しておけ」
「「「「「「はい!」」」」」」
「詳しいことは、事前研修で学ぶことになるだろう。さて、すぐ移動だ!急げ!怒られるぞ!」
「「「「「「ガタッ!」」」」」」
みんな一斉に走り出した。
「うちのクラスは真面目だな」
耕太が言う。
「そうだな~みんな先生の言うことを聞かないと大変なことになるってことがここ何日かでわかっただろうしな」
確かにいろいろあった。
これを語りだすとキリがないので割愛させていただきます。
まぁ、それほどたくさん怒られたとゆうことで。
そして体育館。
緑地土木科は先生の教えをしっかり守り、一番最初に体育館に到着し、静かに待っていた」
その他のものといえば・・・
「そういえばさーー昨日のテレビでー」
「あーみたみた!面白かったよねー!」
喋りながらのんびり歩いてきていた。
そして、最後のクラスが到着し、整列が完了した。
その時の時間が、集合時間より5分オーバーしていた。
そしてこうなると・・・
「お前ら!!何を考えとんか!!!!!」
「「「「「「!?」」」」」」
前に立っていた先生の怒声。
驚く生徒たち。
それもその筈、こんな会話が整列が完了する前、体育館の外で交わされていた。
「こんな混んでるし、遅れるのは当たり前だよね~」
そんな理屈が通じる訳もなく。
「混んでいるなら、全員が全力で走り、余裕を持って教室を出ていればいいだろう!お前らは急ごうとしたか!?」
「「「「「「・・・・」」」」」」
なにも言うことができない生徒たち。
「よってこれは、ここにいる全員の責任だ!次からは気をつけろ!」
「「「「「「・・・・・」」」」」」
「返事!!!!!」
「「「「「「はい!!!」」」」」」
そして研修が始まる。
まず、さっき先生から聞いた、合宿研修の目的などを聞き、挨拶の練習(大きな声が出るまでずっと)、列のつくり方など様々なことを聞き、そして実践した。
これをみっちり一日行った。
そして教室。
「「「「「「どよーん・・・」」」」」」
みんな疲れきっていた。
「事前研修でこれほどとは・・・」
疲れ切った表情の耕太。
「流石におれっちも疲れたぜ~」
同じく疲れきっている下永。
「・・・ふぅ」
南も同様のようだ。
「よーし!みんなおつかれさん!明日も頑張れ!」
「あ、あしたもかぁ・・・」
そう、この事前研修は一週間後の本番まで毎日行われる。
「「「「「「うへぇ~・・・」」」」」」
さらに疲れが来たようだ。
(大丈夫かな・・・不安だ・・・不安で仕方がない)
心配になってきた耕太であった。
そのころ生徒会室では。
「また、時期がやってきたわね~」
壇上には黒髪ロング、整った顔立ち、身長はすらりと高く細身、妹とは正反対の豊満な胸。
生徒会長の南彩花である。
「そうね、今年は何人辞めるかしらね」
南姉のつぶやきに答える女子。
黒髪の外にはねたショートヘア、つり上がった凛々しい目にはメガネ、身長は南姉より少し低いくらい。
「辞める前提で言わないでよ・・・まったく、さすが鬼の副会長、桜川奈々(さくらかわなな)ね~」
「その異名で呼ばないで・・・でも、辞めていくのは事実じゃない」
「まぁ、確かにね~」
間延びした声で答える南姉。
「なら、最初から辞めていく前提で話すほうが自然でしょ?」
「確かにね~」
「せんぱぁぁい・・・喋ってる暇があったら仕事してくださいよぉ・・・」
幼く、間延びした声が机の方からする。
机には髪は黒、ツインテールにした髪は小さなリボンがついていた、身長は中学生か小学校高学年と言われても違和感ないくらい、胸は・・・言わないでおこう。
とにかくそんな子が座っていた。
「あら美紅、いたの?」
ひどいですね、南姉。
「いましたよぉ!!ずっと!!ここで仕事してますよぉ!」
甲高い声で怒鳴る美紅と呼ばれた女子。
声が幼く、背も小さいので一言で言うと・・・可愛い。
「はいはい、生徒会の天使、西野美紅(にしのみく)ともあろうものが騒がないの~」
子供をあやすように頭を撫でる南姉。
「もぉ~!子供扱いしないでください~!」
コンコン
扉をたたく音。
「どうぞ~」
「失礼します、会長。新入生の名簿です」
生徒会の男子生徒が持ってきたのは新入生の名簿だった。
「ありがとう、助かったわ」
「い、いえ・・・では!」
男子生徒は足早に去っていった。
それもその筈、ここにいる三人は畑農の中でもトップ3に入る美女たちなのだ。
その三人がここに揃っている、それだけで男子生徒は緊張してしまう。
それほど、この三人はそれほどの影響力を持っているのだ。
「名簿♪名簿♪」
南姉が上機嫌で名簿を見ている。
「どうした彩花、妙に機嫌がいいじゃないか。気に入った者でもいたのか?」
桜川が問う。
「ん~いたわよ~絶対落としてみせるんだから♪」
「先輩をそんなに夢中にさせちゃうなんて、すごい人ですね」
西野が言う。
「ふふ、あなた達も話してみればわかるわよ♪あ、でもとっちゃだめよ~?」
(絶対逃がさないんだから♪待っててね、耕太君♪覚悟しなさい・・・麗華ちゃん、あなたには絶対渡さないんだから)
畑農のマドンナ、南彩花。
畑農で一番影響力のある生徒
そして合宿研修前日。
「これでホームルームを終わる」
「「「「「「ありがとうございました!(ダッ!)」」」」」」
ホームルームが終わるなり教室をダッシュで飛び出す一年生たち。
集合時間5分前には集合が完了し、無言で待機。
ここまでの一週間近くで確実に早くなっている。
「これより事前研修を始める」
「「「「「「お願いします!!!!!!」」」」」」
体育館を震わす挨拶。
「移動!」
「「「「「「おう!(ダッ!)」」」」」」
ダッシュで移動。
確実に新入生は成長していた。
そして荷物の最終確認が終わり、
「これで事前研修も終わりだ!明日からの本番に向け、準備を怠るな!いいな!」
「「「「「「はい!!」」」」」」
長かった事前研修も終わった。
「はぁ~やっと終わった~」
安堵する耕太。
「ほんまやな~やっとおわったで~」
伸びをする下永。
「ふぅ・・・」
ため息をつき脱力する南。
いつの間にか三人でいることが多くなっていた。
「明日から本番なんだよな・・・これ事前研修なんだよな・・・」
机に突っ伏す耕太。
「そうやな~明日からが本番だな~」
答える下永。
「きっつ~・・・」
「ほんまやな~」
ざわざわざわ
「ん?なんか外が騒がしいな」
「ほんまやな」
ガラガラガラッ
「ん?・・・!?」
「耕太く~ん♪げんき~~?」
「生徒会長!?」
後ろには桜川と西野も立っている。
「どうしたんですか、一年生の教室まで来て」
耕太が不思議そうに聞く。
「耕太君に会いに来たんだよ~~あと明日から合宿でしょ~その激励~♪」
「そ、それはありがとうございます」
「うんうん♪あっれ~?そこにいるのは妹の麗華ちゃんじゃない~相変わらず辛気臭い顔してるわね~」
(ぶちんっ!)
何かがキレる音がした。
(あ、やべえ!まじやべえ!)
「あら、お姉さん、お・げ・ん・き・そうで!相変わらず無駄に大きい脂肪の塊をぶら下げてらっしゃる!」
「あっらぁ~胸は女の魅力よ?それに比べて麗華ちゃんったら・・・絶壁だわ!」
(やめて!もうやめて!見てるこっちが胃が痛くなる・・・)
「彩花、やめなさい」
桜川が止めに入る。
「むー奈々・・・止めないでよ」
ふてくされる南姉。
(可愛いとか思ってないぞ・・・ほんとだよ?)
(ギュッ!)
「いってぇぇ!」
足を思いっきり踏まれた耕太。
痛いよね。
「彩花、本来の目的忘れるんじゃないわよ」
「はいはい・・・耕太君」
「はい?」
「この合宿研修、辛いこともたくさんあると思うけど、あなたにはやめて欲しくないの、だから諦めず頑張ってきてね!まってるから!」
そして南姉が浮かべたのは、これまで見たことのない満面の笑顔だった。
(え・・・あれ?なんで会長の笑顔にドキドキしてんだ?あれ?)
(うっわーほんきやな~この人、恐ろし~)
ドキドキする耕太と南姉の恐ろしさを改めて実感した下永であった。
「それじゃあ、がんばってね~まってるよ~」
三人は帰っていった。
「絶対負けないんだから」
決意を強くする姉であった。
だが、それは妹に負けたくないだけなのか、本当に耕太のことを好きなのか、まだそれを語るには早いだろう。
「・・・ふぅ、まけない」
妹も自分の気持ちに気づけないまま、決意を強くするのであった。
姉に負けたくない、今はそれで十分だ、そう言い聞かせながら。
地獄の合宿研修が始まる・・・
続く
三人の恋の行方は!?
姉妹は自分の気持ちに気づけるのか!?
波乱の中で始まる新入生合宿研修、どうなるか!
お楽しみにしていてください!
ブクマ、感想お待ちしております!