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農業高校は毎日が戦争だぜ  作者: りょうさん
農業高校の日常編Part3
30/110

農業高校の日常編Part3~変わらない日常、変わった日常~

冬です。


畑農最大のイベント、畑農祭が終了した翌日。

あのあとは大変だった。

まず校内のゴミ拾い及び大掃除、その後各学科での片付け、1日丸々使ってしまった。

その全てを生徒会主体となって行った。

まだ新役員が決まっていないため、旧生徒会に新しい生徒会が加わった臨時生徒会だ。

1年生ながら新副会長に就任した耕太は桜川に厳しくしごかれていた。

それ以上に忙しかった美紅は目を回していた。


それから1ヶ月が経った。

新生徒会役員も決定し、新生徒会も動き出していた。

しかし、校内は特に変わった様子もなく、生徒が乗るトラクターやバックホウなどの重機が校内を走り、畜産農場からは牛の鳴き声が聞こえる。

実に変わらない日常だった。

しかし、冬は寂しくなるところもある。

広大な土地を持つ圃場の集合地帯、実習圃場は温室しか機能しておらず、作物を植えていた畑は全てさら地へと戻っていた。

その光景は実に淋しいものであった。

今ならここで野球ができる。

季節は冬へとはいろうとしていた。


「う~さみぃ・・・」

「寒いね~でもこのあと実習だよ~?」

「うっそだろ・・・わし出たくない・・・」

「俺っちもだよ~・・・」

今日は5、6時間目に環境科学基礎の授業があり、外に出なければならないのだ。

耕太と哲也は震えながら昼食を食べていた。

「今日は座学らしいわよ」

「「ええ!?」」

耕太の隣に座っている南が言う。

「最近は寒くなったし、畑でやることがないから座学だって」

「「やったあ!!」」

ふたりは笑顔になる。

「テストもあるしね」

「「・・・?・・・ああああああああ!!!!」」

「忘れてたのね」

「「忘れてたああああああああああああああ!!」」

南は呆れたようにため息をついた。

「美紅先輩と言われたんだった・・・」

それは2週間前、生徒会室での出来事だった。


「耕太君、仕事大変?」

「いえ、大丈夫ですよ」

「ふふ、頼もしいな~耕太君♪」

耕太と美紅は仕事をしていた。

役員引き継ぎ後の処理に追われていたのだ。

「そういえば、耕太君」

「はい?」

美紅が思い出したように切り出した。

「もうすぐテストだね」

「・・・は、はい」

「テストだね?」

「はい、その通りです」

大事なことなので2回言いました。

「聞いたよ?耕太君いつも赤点ギリギリだって」

「だ、誰から聞いたんですか・・・」

「下永君」

(あのやろおおおおおおおおおおお!!)

耕太は胸の内で叫んだ。

「わしだってや、や、やれば出来るんですよ?」

「やろうとしないんでしょ?」

「はいすみません」

そこまでバレていた。

「耕太君、生徒会になったんだからもっと勉強しようね?今度のテストでは赤点取らないこと!いい?」

「は、はい・・・」

耕太は頷くことしかできなかった。


はい、場面を戻します。

「俺っちも甘奈と約束してたんだった・・・」

それは同じく2週間前。

え?また場面飛ぶの?


「そうなんだよー耕ちゃんがさー!」

(そうなんですね♪面白いです)

「だろー♪」

哲也はいつものように甘奈と電話をしていた。

(はい、そういえば哲也様。もうすぐテストでは?)

「・・・ははは!耕ちゃんがさー!」

(ごまかそうとしないでください)

「はいすみません」

(実際どのくらい危ないんですか?)

「危ないこと前提なんですね・・・えっと、赤点取りそうなくらいにはやばいっす」

(すごく危ないですからそれ!もう!哲也様はやれば出来るんですからやってください!)

「はい、申し訳ないです・・・」

(次のテストでは赤点を取らないでくださいね。約束ですよ?)

「善処します・・・」

(善処・・・?)

甘奈の声音が暗くなった。

「絶対取りません!」

(よろしいです)

意外と怖い甘奈であった。


場面を戻します。

「「助けてよ!ミナえもん!」」

「だれがミナえもんよ!自業自得でしょ!?今回は教えませんからね!」

「「そんな薄情な!!!」」

「知らないっ!」

「「ミナえも~~~ん!」」

「ミナえもん言うな!」

3人は騒がしく実習室に向かった。


「今日の授業は座学だーノート出せー」

「「「「「「はーい」」」」」」

南の言うとおり授業は座学だった。

「よーし、じゃあ問題だ。連作障害の回避法として有効なのはなんだ?そうだな、川島」

「はい!連作障害ってなんですか!」

「教えただろうが・・・」

「忘れました!」

「はぁ・・・まずは連作から説明するか。連作とは同じ圃場で同じ作物を繰り返し栽培することだ。その連作を行っていく中で土壌が弱ったり細菌が繁殖したりして、作物が生育不良になっていくことを連作障害という」

「ほー、わかりません!」

「はぁ・・・まあいい。川島、お前は連作障害の回避法として有効なのは輪作だとだけ覚えておけ」

「はい!」

「返事はいいんだけどなぁ・・・」

先生も呆れてしまった。

「まあいい、簡単に輪作についても説明しておこう。輪作とは同じ圃場で異なる作物をつくり回すことだ。この方法が連作障害の回避法として挙げられる。おぼえとけよー」

「「「「「「はい」」」」」」

「よしじゃあ次、肥料の三要素であるNPKとはなんだ?下永」

「はい!脱いだ!パンツ!食う!」

「あほかああああああああ!!」

先生は激怒した。

「肥料の三要素は窒素、リン酸、カリウムだろうが!」

「てへ♪間違えちゃった♪」

「このやろう・・・まあいい。この三要素にカルシウム、マグネシウムを加えて肥料の五要素とも言う。覚えておけー」

「「「「「「はーい」」」」」」

このような感じで授業は進んでいった。


放課後、生徒会室。

「美紅先輩、ここはこれでいいですか?」

「うん、いいと思うよー」

耕太は美紅と仕事をしていた。

落ち着いてきたとはいえ、まだまだ引き継ぎを終えて間もない。

仕事は山ほどあった。

耕太はこのことを三郎に話していた、三郎は生徒会を優先させることを勧め、仕事の開始時間を遅くしてくれた。

「美紅先輩、部活は大丈夫なんですか?」

「うん、大丈夫だよ~ちゃんと顔出してきたから」

美紅は生徒会とは別に部活をしている。

その部活は家庭部。

家庭部とは裁縫、料理、華道、茶道などを行う部活だ。

部員の大半を女子が占め、華やかな部活として有名だ。

美紅は裁縫、料理はもちろんのこと、華道や茶道もそつなくこなす家庭部のエースだ。

「生徒会との両立は大変じゃないですか?」

「もう慣れちゃったよ~去年もやってたし」

そう、美紅は生徒会の仕事をしながらも家庭部との両立を見事にしていた。

しかも、去年からそれを続けているのだ。

今年は生徒会長、耕太よりも忙しいのだ。

「そういえば耕太君、勉強進んでるの?」

「・・・す、進んでますよ?」

「う~耕太君嘘ついた!めっ!だよ!」

「いや~その~」

美紅はその小さな身長と可愛い声で耕太を叱る。

耕太は何故か罪悪感と共に保護欲がこみ上げてくる。

「どのくらい進んでないの・・・?」

「えっと・・・すごく」

「もー!約束したのに!」

「・・・ごめんね?」

「ふにゃ!?なんで撫でるの!」

耕太は両手を挙げて可愛く怒る美紅の頭を撫でていた。

「は!すみません!」

耕太は慌てて頭から手を離す。

「も~・・・離さなくてもいいのにな・・・」

「えっと・・・」

美紅の頭をもう一度撫でる。

「だからってまた撫で始めたら恥ずかしいよ!」

「美紅ちゃんは可愛いな~♪」

本音が出てしまった耕太だった。

思わず美紅ちゃんと呼んでしまった

「はぅ!?」

「あ!えっと!その!あの!」

耕太は慌てふためく。

「うぅ・・・」

美紅は赤い顔で俯く。

「あの・・・美紅先輩?」

「・・・耕太君」

「はい!」

「私が勉強教えてあげる・・・」

「へ?」

「専門は無理だけど、一般教科なら私が教えてあげる!」

美紅の顔は真っ赤だ。

「いいんですか!?」

「もー!どんと来いだよ!このやろー!」

もうやけくそだ。

「美紅先輩が壊れた!?」

こうして、美紅との勉強会が行なわれることになった。


続く

どうもりょうさんです!農業高校の日常編Part3~変わらない日常、変わった日常~をお送りしました!

今回は、美紅との勉強会が予定されました。

どうなるんでしょ。

さらに、今回は連作障害、肥料の三要素について簡単に書きました。

このことは僕も学びました。

知っておかなければ大変なことになる連作障害ですが、回避する方法はあります。

家庭菜園をされる場合はお気をつけて。

さて、次回は美紅との勉強会です。

お楽しみに!

それでは次回またお会い致しましょう!


作者のもうひとつの小説「こんなの家具なわけねえ!」も読んでいただけると嬉しいです!


ブクマ、感想など頂ければ作者は泣いて喜びます

なにか、問題、ご要望があればメッセージなどいただければ嬉しいです

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