文化祭編~1日目、一緒にいたい~
ついに文化祭スタートです。
今日は文化祭1日目、一般公開はないが生徒が大好きなイベントだ。
「もりあがってっかー!お前らああああ!」
「「「「「「おおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」
「楽しんでっかああああああ!」
「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」
「今日は壊れるまで声出せんのかあああああああああああ!!」
「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」
「おっしゃぁ!さあ、祭りを始めよう!第80回畑農祭の始まりだあああああああああああああああ!!!」
「「「「「「おっしゃああああああああああああああ!!!」」」」」」
「あはは・・・盛り上がってるなぁ・・・てかテンションたけえな下永・・・」
「あれは馬鹿になってるのよ・・・あら、元からだったわ」
「意外にひどいっすね・・・南さん」
「こう言いたくもなるわよ・・・」
「ですよねー・・・」
先ほどステージで生徒を煽っていたのは下永。
生徒会長直々のご指名だ。
「でも、盛り上げることに関しては流石だな」
「そうね、でもあまりうるさいのは好きじゃないわ」
「さいですか・・・」
南はこのあとに控えているステージ発表のことで頭がいっぱいのようだ。
現在ステージでは吹奏楽部の発表が行われている。
「うちの吹奏楽部ってすごいんだっけ」
「全国大会にも出場しているはずよ」
「へ~うまいはずだ」
ステージでは全国大会で発表した演目を演奏しているようだ。
その後、最近流行のアイドルグループの曲を演奏して発表は終わった。
次に、合気道部の演舞が行われ、アニメーション部の短編アニメが上映されたあと、各クラスの発表へと移った。
「それではここから各クラスの発表へ移ります!」
「「「「「「おおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」
司会の哲也が進行するたびに生徒からは歓声が上がる。
「元気だなぁ・・・」
「そ、そ、そうね!」
「え?」
南はガクガクと体を震わせていた。
「南さん・・・」
「な、なにかしら!?」
「声裏返ってるよ・・・もしかして緊張してる?」
「ききききき!!緊張なんてしてるわけ無いでしょ!」
(うわー・・・・してるよ、絶対緊張してるよ)
顔を真っ赤にして大きな声で否定する南。
あからさまだった。
「大丈夫だよ、歌い始めたら慣れてくるって」
「随分と余裕なのね・・・」
「1回やってるしね~あれ・・・この前より多い・・・会長も見てるんだよな・・・あああああああ!!!からかわれる!!!!オーノウッ!」
「さっきの余裕はどこいったのよ、しかもなんで最後英語・・・ふふ」
「南さん?」
僅かだが笑みを見せる南。
「まったく・・・あなたってほんと面白いわ、退屈しない。緊張もどっかにいっちゃったわ」
「そりゃよかった・・・あれ、なんか緊張してきた!人多いよ!やべえよ!!」
「私の緊張がうつってしまったのかもね、風邪と同じ様な感じかしら」
「ほぐそうと思ったらうつされた!?うっそおおおお!!」
「ふふ」
南はおかしそうに笑顔を浮かべた。
(笑った、うーん結果オーライかな・・・代償でかいなぁ・・・とほほ)
久しぶりに南の笑顔が見れた耕太は少し落ち着いたようだった。
「それではまず最初の発表クラスは、園芸科代表!1年園芸科!演目は短編劇、ぶどうのぶど太です!はりきってどうぞー!」
「どんな劇だよ・・・」
1年園芸科の行う演目は劇だ。
ぶどうのぶど太の一生をおもしろおかしく描いたものらしい。
「ぼくはぶど太!ここで育ったぶどうだよ!」
「ぶどうだ!食べようぜ!」
「こら!近所の子供たち!そんな悪い子はぶどうの種攻撃だ!」
「わあああああ!」
「「「「「「あははははは!」」」」」」
なかなか面白かったようだ。
「あはは、笑い転げちゃいました!それでは次の演目へ参りましょう!生活科代表!1、2年生活科でダンスです!女の子が踊るぞ!男子必見だ!」
「「「「「「おおおおおおおおおお!!!」」」」」」
女子の多い生活科はダンスをするようだ。
「み、み、み、みなさん!も、ももも、盛り上がっていってくだしゃい!」
「西野先輩、噛んでますよ・・・」
「あうぅ・・・静音ちゃん・・・助けてぇ」
((((((はぁ、かわいすぎる・・・))))))
美紅が挨拶をかんでしまったことで、男子の顔が一斉に緩んだ。
「「「「「「西野さん!!!がんばって!!!!」」」」」」
「ひゃ、ひゃい!がんばりましゅ!」
「あはは、もういっか・・・」
声援に答えようとしてまたも噛んでしまう美紅。
静音はもう諦めたようだ。
「「「「「「三島さんかわいいいい!!」」」」」」
「え!?私!?・・・う~ん照れちゃうなぁ・・・えっと、頑張ります!よろしくね!」
静音は恥ずかしながらもウインクをする。
「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」」
まるでアイドルのコンサートみたいだった。
意外にも静音と美紅はダンスがうまかった。
「ほぇ~かわいいな~」
耕太はぼそっとつぶやく。
「・・・わたしも踊ればいいのかしら!?ねえ!私も踊ればいいの!?」
「なにが!?」
いきなりキレる南であった。
それから、その他のクラスも様々な演目を披露していった。
そして、耕太達の番。
「さぁて!クラス発表最後のクラスは、緑地土木科代表!1年緑地土木科です!演目は歌!曲は【一緒にいたい】です!それでは俺っちも失礼します」
「「「「「「おおおおおおおお!!!!」」」」」」
そして、幕が下がり哲也が耕太達のもとへと帰ってきた。
「やーやーしっかり盛り上げておいたよ!」
「あんまり盛り上げて欲しくはないんだがな・・・」
「期待されるのもね・・・」
「耕ちゃんも南のお嬢も!がんばって!」
素晴らしい笑顔で応援をする哲也。
「はぁ・・・さて、気合入れるか」
「そうね、いつまでもこうしちゃいられないわ」
「それでこそ二人だよ!」
緑地の全員が笑顔だった。
「さあ、気合入れるぞ!」
「お、いつものだね」
「あれをしないと始まらないわね」
「「「「「「そうだね!」」」」」」
耕太達は肩を組み円を作る。
耕太は隣の哲也、南を見てぐるりと緑地の全員の顔を見てゆっくりと息を吸い込む。
「さあ、がんばろうぜみんな」
「「「「「「おう!」」」」」」
「よっしゃ!緑地!」
「「「「「「ファイ!オーー!!!」」」」」」
その瞬間、観客席からは大きな歓声が起こった。
「どうも!1年緑地土木科です!一生懸命歌うのでよろしくお願いします!」
耕太が礼をすると大きな拍手が起こる。
今回はピアノ伴奏の哲也を見る、となりの南を見る、そして緑地の仲間の顔を見る。
そして、哲也の奏でるピアノが鳴り響く。
「扉を開けると そこにある笑顔
おはようと挨拶してくれる その笑顔と
その声が とても愛しい」
南の歌い出しから始まる。
透き通った優しい声だ。
「時々見せる 優しい笑顔
仕草一つ一つが 可愛くて
何故かいつも見てしまう」
続いて耕太のソロ。
南が優しく、すっと入ってくる歌声なら、耕太の歌声は心の奥底からこみ上げてくるよな力強い声だ。
「「ふたりの距離は 少しずつ近づいて
喋ることも多くなった
面と向かっていうのは 恥ずかしいけど
一緒にいたい」」
ふたりの歌声が重なる、綺麗なハーモニーだ。
二人は目を合わせる。
耕太は優しい笑顔を向けた。
(ああ、この笑顔だ、忘れられない笑顔。見てると心が満たされる笑顔。そして、大好きな笑顔。そっか、やっぱりそうなんだ。私はこの人のことが・・・)
好きなんだ。
「「「「「「大好きな あなたの笑顔
忘れない 忘れられない
心を強く掴んで 離してくれないの
だからひとつだけ 言わせて欲しい」」」」」」
サビは全員の合唱。
観客は何を思っているのだろうか、緑地の生徒が見せる笑顔に見とれているのか。
それとも、二人の歌声に酔いしれているのか。
それはわからない。
そして、この歌は南のソロで締めくくられる。
「やっぱり一緒にいたい」
それは南の見せた最高の笑顔であり、耕太に向けたものだった。
それを見た耕太もまた笑顔だった。
ある者は南に憧れ、恋に落ち。
ある者は耕太の笑顔に恋に落ち。
ある者は複雑な表情をした。
そして、多くのものが涙を流した。
耕太が礼をすると、大きな拍手と歓声が鳴り止まなかった。
「さて!厳正なる審査と生徒間投票で最優秀賞が決まりました!」
「「「「「「おおおおおおおおおおお!!!」」」」」」
「それでは発表します!最優秀賞は!1年緑地土木科です!」
「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」」
「はぁ・・・また歌うのか・・・しかも大人数の前で・・・」
「うそでしょ・・・もう嫌・・・」
ふたりを除いては大騒ぎだった。
「まあでも・・・川島君とならできるかもしれないわね・・・」
「え?南さん?」
「ふふ、よろしくね川島君」
南の笑顔は輝いていた。
「・・・ああ、こちらこそ」
耕太も笑顔で答えた。
こうして、畑農祭1日目は幕を閉じた。
続く
どうもりょうさんです!文化祭編~1日目、一緒にいたい~をお送りしました!
いよいよ文化祭がスタートしました!
歌の部分とか浅い歌詞ですみません・・・
さて、ついに自分の気持ちに気がついた南。
本格的に姉との抗争が始まりそうですね。
次回は2日目ですが、ぼくは研究発表とかは寝ていたタイプなのでちゃちゃっと済ませちゃうかもしれません、ご勘弁を。
翌日の準備とか、誰かとのおはなしが多くなるかと思います。
それではまた次回お会い致しましょう!
作者のもうひとつの小説「こんなの家具なわけねえ!」も読んでいただけると嬉しいです!
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