2学期~畑農ブランド~
日常です
秋も深まってまいりました。
10月に入りだいぶ涼しくなってきたところです。
そして今日、休日の畑農業高校には多くの幼稚園児や小学生がやってきていたのです。
「はーい!それじゃ~今からお芋を入れて焼いていきますよ~」
「「「「「「はーい!」」」」」」
「「「「「「うおおおおおおお!」」」」」」
生徒会長である南姉が園児や小学生に呼びかける。
その中に何故か混ざる緑地や農機の生徒たち。
「なんでみんなが盛り上がってんの・・・」
耕太が呆れ気味に問う。
「「「「「「だって芋が食えるんだぜ!?」」」」」」
「あぁ・・・わかってたよ・・・うん」
そう、今日この畑農で行われるのは、近所の園児や小学生を招いての焼き芋大会だった。
中には、畑農のOBや近所のおじいさんやおばあさんも来ていた。
畑農の生徒は全員が準備で駆り出されていた。
午前中はみんなで芋掘り、園児や小学生は大喜びだった。
ちなみに畑農の芋の畑はとてつもなく広いので一日じゃ収穫しきれない。
「あっはっは~やってるね~」
そこに気だるそうな不思議と落ち着く声が聞こえた。
「あれ?美桜さん?」
「おーこーくんではないかーやっほー」
「美桜さんもいらっしゃってたんですね」
「さっき来たのだよ~お芋を食べにね~」
「ちゃっかり食べる時だけ来るんですね・・・」
「肉体労働はあまり好きではないのだ~はっはっはー」
「まあ、楽しんでいってください」
「おうよーまっかせろーい」
そう言うと芋の入った葉っぱの山に近づいていった。
「こ、耕ちゃん・・・て、手伝って・・・」
「下永?どうしたんだよ・・・」
大きな袋を持った哲也が耕太に助けを求めてきた。
「先生に芋の運搬を押し付けられちゃって~・・・お、重い・・・」
「気の毒だな・・・下永」
「そう言いながら遠ざかっていくのやめて!手伝って!?」
「冗談だ、ほらこっち持つから」
「ふぅ・・・楽になった~、まったく・・・熱井先生は人使いが荒いんだから・・・」
「まあまあ、ほら行くぞ!」
「うえぇ~い」
二人は芋の入った袋を葉っぱの山へと運搬していった。
「それじゃあ~火をつけますよ~」
「「「「「「はーい!」」」」」」
「「「「「「うおっしゃあああああ!!いもぉおおおお!!」」」」」」
「だから・・・お客さんよりはしゃいでどうすんだよ・・・」
「耕ちゃん・・・こいつらも色々あるんだって・・・部活やらなんやらでお腹減ってるんだよ・・・」
「はぁ・・・それでも慎みってものをな・・・いや、諦めよう」
「それがええで~」
耕太が呆れる中、火がつけられ芋が投入された。
少し経つと芋の焼けるいい匂いが辺りを包む。
「うん、いい匂いだ」
「そうだね~お腹減ってきたな~・・・」
耕太と哲也はお腹を押さえる
「「「「「「腹減ったァァァァァァ!!!」」」」」」
男たちはもう限界らしい。
「・・・うぅ・・・」
南もさすがにこの匂いには勝てなかったらしい。
そして、
「それでは、そろそろお芋を取り出しましょう!」
「「「「「「はーい!」」」」」」
「「「「「「うおおおおおおお!!いもおおおおおおお!!!」」」」」」
「芋だああああああ!!!!」
「耕ちゃん!それは俺っちのだよ!!!」
「・・・私の!!!」
「わしのだああああああ!!」
「俺っちのだああああああああああ!!」
畑農生の食い意地恐るべし。
そして、みんなに芋が行き渡ったところで南姉が合掌の音頭をとる。
「それではみなさん!食材に感謝して、収穫を祝して!」
「「「「「「いただきます!!!!」」」」」」
みんな一斉に食べ始める。
「「「「「「おいしーーい!」」」」」」
「「「「「「うおおおおおおお!!!うめええ!!」」」」」」
「うまい・・・うまいぞおおおお!!!」
「こ、耕ちゃん!?そんなに泣くほど!?・・・うめええええええ!!!」
「・・・おいしい、おいしい・・・ほおおおおおあああああ!!!」
畑農でとれたものは全てが美味しいが、自分たちで収穫したものは格別美味しいのだ。思わず涙が出るほどに。
それからも、焼き芋大会は続き、今日収穫した分は全てなくなってしまった。
恐るべし、畑農焼き芋大会。
園児や小学生が帰ったあとは、生徒全員と教職員全員で片付けと掃除だ。
「うまかったな~焼き芋・・・」
「あ~今度、畑農園で買って帰ろうかな~」
耕太と哲也はあの味が忘れられないようだ。
ちなみに、畑農園とは畑農でとれた野菜や、花、加工食品などを売るところだ。
結構な売上らしいが、その全ては県へと入っていくらしい。
「・・・おいも・・・お芋・・・はぁ」
南でさえあの味に酔いしれているらしい。
「「「はぁ~・・・」」」
畑農焼き芋大会は無事成功を収めたのであった。
そしてある日、畑農の校舎内では園芸科や畜産科、生活科、食品科の生徒が声を上げていた。
園芸科、
「お花や野菜はいかがですかー!?」
畜産科、
「ホットドックー!ホットドックはいかがですかー!?」
生活科、食品科、
「クッキー!クッキー!生活科と食品科共同制作のクッキー!いかがですか!?」
「おーい!ホットドックくれー!」
「野菜くれー!」
「クッキーちょうだーい!」
「「「はーい!!」」」
耕太と哲也は離れた場所でこの光景を見ていた。
「あれなんだ?」
「えっと、今日は各学科の商品発表会らしくて~各学科の商品が校内で売られる日らしいよ?」
「へ~いろんなことをするんだな~」
「まあ、農業高校だからねー」
実際、普通の日でも野菜などを先生に売ることがある。
「そういえば、この前熱井先生がぶどう買ってたな」
「あー美味しいらしいよ~?」
「へぇ」
「耕太♪」
耕太は誰かに後ろから抱きつかれた。
こんなことをするのは一人しかいないわけで。
「シズ・・・いきなりなんだよ?」
「もーもうちょっと反応示してくれてもいいのにー」
拗ねる静音。
「はいはい、で?どうしたんだよ」
「そうそう、はい♪これあげる」
「ん?なんだこれ」
「それはね~・・・」
「生活科と食品科共同制作のクッキーだよ」
「あれ?西野先輩」
「やっほー川島君」
「ぶぅ・・・私のセリフ取らないで下さいよ!西野先輩!」
「ええ!?ごめんね!?」
驚きながらも素直に謝る美紅。
「西野先輩が謝る必要はないだろ・・・シズ・・・」
「ぶ~ぶ~」
「お前は豚か・・・」
「ひっどーい!こんな可愛い幼馴染に豚だなんて!」
「川島君、女の子に向かって豚はダメだよ?」
「えええ!?かばったわしが怒られんの!?」
「は!あうぅ・・・ごめんね川島君・・・」
涙目になる美紅。
「い、いや!いいんですよ!泣かないでください西野先輩」
「・・・ほんとぉ?おこらない?」
「おこりませんよ(にこ)」
「・・・うん、ありがと」
「はい」
「ぶ~・・・私と対応が違う!やっぱ耕太も西野先輩みたいな人が好きなんだね!?このロリコン!」
「ロ、ロリコン!?」
「わたしロリなの!?ねえ!ロリなの!?」
「わぁ~・・・すごいことになってるなぁ~さあみなさんご一緒に、合掌」
合掌。
耕太をみて呆れ気味に手を合わせる哲也。
「わしはロリコンじゃなあああああああああい!」
「私ロリじゃないよね!!??」
そして、この次の日から文化祭準備が始まったのであった。
続く
どうもりょうさんです!2学期~畑農ブランド~をお送りしました!
短い短編のようになってしまいましたが、わいわいがやがやした回でした。
作者が通った学校でも商品を売るところがありました。
美味しいものが多かったです。
さて、次回からは文化祭編です。
農業高校の文化祭はどんものなのか、ご期待下さい!
それではまた次回お会いしましょう!
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