入学式~初めての笑顔~
どうも!今回は入学式編です!
(どうなるんだ、わしの高校せいかぁぁぁぁあぁつぅぅぅ!!)
「ほんま・・・どうなるんだろ」
溜息を吐きながら席に着く耕太。
すると、
ガラガラガラッ
ドアが勢いよく開いた。
「どっせぇぇぇぇぇぇぇぇぇいぃぃ!」
響く怒号。
「「「「「「!?!?」」」」」」
驚く男たち。
「な、なんだぁ!?」
「がっはっは!!みんな元気か!俺は今日からお前らの担任になる、熱井熱男(あついねつお)だぁぁ!担当教科は測量じゃい!よろしく!」
((((((やっていけるかなぁ・・・))))))
クラス全員そう思った瞬間だった。
「ん?なんだ、元気がないなお前ら!元気がねえとこの学校じゃやっていけんぞ!」
((((((あんたが元気すぎんだよ!!))))))
まったくです。
「まあ、それはおいおい鍛えていくとして、自己紹介してる暇はねぇ!さっさと体育館いくぞ!」
「え?もう?」
耕太がつぶやく。
「この学校ではこう言う言葉がある」
「な、なんだろ」
「時間厳守!守れない奴は単位ださん!だ」
「ええ!?」
「ほら!単位がなくなるぞ!いそげ!」
「「「「「「うわぁぁぁ」」」」」」
一斉にダッシュするクラスメイト。
「耕ちゃんいくで~」
走り始める下永。
「こ、耕ちゃん!?」
「そうだ、君は今日から耕ちゃんだぁぁ!」
「ええ!?」
早速あだ名をつけられた耕太であった。
「・・・ふん」
それを遠くから見つめつつ走り出す南であった。
そして場所は体育館前。
「ほぇぇ~7学科集まったら流石に多いな~」
下永がつぶやく。
「そうだなーわしの中学校は田舎だったから人数も少なかったしな~」
「耕ちゃんは田舎もんなん?」
ストレートですね、哲也さん・・・
「ストレートすぎる!・・・まぁそうだけど・・・」
耕太の住む村はこのへんでも結構な田舎。
近所は田んぼばっかです。
「どうやって通うん?」
「自転車、1時間くらいかな」
「うへぇ~なんで寮に住まないの?」
「金がかかるから、うちはそんな裕福じゃないから」
「へぇ~そうなんか、大変なんだな~」
「軽いなお前」
「そんなことないで~すんげえ重いで~」
「どうだか・・・」
「南ちゃんは何処に住んでんの~?」
実に勇気のある下永である。
「・・・・東の方」
(あ、ちゃんと答えるんだ)
意外だなと思う耕太。
「へぇ~東の方っていったら高級住宅街のあるとこだな~」
この地域では、昔ながらの町並みで開発が進んでいない西と、開発が進み高級住宅街となった東とに分かれている。
耕太の住む村は、西の中でもさらに西、村が多くある地域である。
「失礼します!!おはようございます!!」
「ん?なんだこの声」
体育館内から大きな声が聞こえる。
「失礼します!おはようございます!」
「なんだあれ」
体育館内に入る2,3年生が大きな声で挨拶をし、礼をしてダッシュで体育館に入っていく。
「あ~あれはな、この学校では体育館に入るときとかに、ああやって大きな声で挨拶をして入るんだよ」
下永が解説をする。
「へ~」
「もし声が小さかったりすると・・・」
「声が小さい!!!もう一回!!」
先生の大きな声が聞こえる。
「ああやって怒られる」
「すげえな、この学校・・・」
「まぁ、厳しい学校だからな」
この、畑農業高校は県内でも1,2を争う厳しい学校である。
保護者の前だろうとお構いなしである。
そして
「新入生入場」
畜産科から入場が始まる。
そして席に着き、入学式が始まる。
「学校長式辞」
校長が壇上に立つ。
「えー新入生の皆さんご入学おめでとうございます、この学校は・・・」
5分後
「命を大事にし・・・」
15分後
「社会に出ても恥ずかしくないような・・・」
30分後
「・・・頑張ってください、以上です」
(・・・なげえ!!)
とてもとても長い式辞でした。
「PTA会長挨拶」
「同送会長挨拶」
「来賓挨拶」
(挨拶多!)
次々と出てくるのは特徴です。
「生徒会長挨拶」
(お、畑農のマドンナがくるで~)
下永が言う。
(マドンナ?)
(そう、畑農のマドンナ!ものすっごい美人らしいで)
(へぇ~)
壇上には黒髪ロング、整った顔立ち、身長はすらりと高く細身。
(あれ、誰かに似てるような・・・)
「新入生の皆さんご入学おめでとうございます、生徒会長の園芸科3年、南彩花(みなみあやか)です」
(南さんか~南、南・・・南!?)
隣に座る女子生徒を見る。
(ま、まさか・・・)
(チラッ)
(あ・・・)
目があった!!あっちゃいましたよお兄さん!・・・失礼。
(バッ!)
目を逸らされる耕太。
頬は赤く染まり、肩が震えている・・・
(絶対姉妹だ!これ確実だ!)
「この学校で皆さんが大きく成長できることを願って、生徒会長挨拶とさせていただきます」
大きな拍手が起こる。
隣の少女は壇上のマドンナを睨んでいた。
そして入学式は無事終了し、再び場面は教室へ
「いやー驚いたな~まさか畑農のマドンナが南のお嬢の姉さんだったなんてな~」
「南のお嬢って・・・」
「いやーほんまおどろいたー」
なんか嘘くさい下永。
「お前、もしかして知ってた?」
「しらんよーまったく」
(しってたな)
知ってましたね。
「でも、ほんと驚いたよ、南さんのお姉さんってすごいんだね」
「・・・別に普通でしょ」
(うーん、この話はNGかな?)
「まあいいや、南さん部活とか決めたの?」
「・・・・」
口を開けて呆けている南。
「ん?どうしたの?」
「聞かないの?姉の連絡先とか、姉との仲とか」
「きいてどうすんの、南さんが言いたくないことを聞く意味がないよね」
「・・・・」
また呆ける南。
「耕ちゃん、あんたなかなかやるな・・・」
「ん?なにが?」
「ん~?ん・・・まあ」
(これが素なんだったら、恐ろしいな)
「・・・あなた、名前は?」
「ん?おう!わしは川島耕太!田舎もんだ!」
「自分で言ってたら世話ないな~」
からかうように言う下永。
「はっは!田舎もんは田舎もんだからな!」
「ほんま、いい性格してるな~耕ちゃんは」
「なんのことだ?」
「耕ちゃんは汚されちゃいかんで」
「???」
なんのことやらわからない耕太。
「・・・ふふ」
「ん?南さん笑った!」
「わ、わ、笑ってないわよ!」
慌てる南。
「いい笑顔だったのに・・・もっと見れたらいいな!南さんの笑顔!(にこっ)」
南の顔が真っ赤になる。
「耕ちゃんぱないなぁ~」
「だから何がだよ!!」
(わたし、やっていけるかも)
密かにそう思う南であった。
これから南さんの笑顔はたくさん見れるのでしょうか。
そして、姉妹の関係とは?