夏休み~騒がしい日~
お盆です、新キャラでます。
季節は夏本番、8月中旬お盆です。
毎年お盆には叔母さんたちが耕太の家に来ます。
耕太自体、自分を引き取らなかった叔母さんたちを恨んではいない、むしろいつも歓迎しているくらいだ。
「「「「「こんにちは~」」」」」
「あ、みなさんお久しぶりです」
「久しぶりね耕太君」
「どうも、叔母さん」
叔母さんと挨拶を交わす耕太。
とそこに、
「こーにいちゃぁぁぁん!」
「こーくーん!」
ぎゅううううう!
思いっきりふたりの女の子に抱きつかれる耕太。
「なつ姉と秋穂ちゃんも久しぶり」
「うん!久しぶり!こーにいちゃん!」
「あ~久しぶりのこ~くん~いやされるわ~♪」
「なつ姉・・・わしももう高校生なんだから頭を撫でるのはちょっと・・・」
「・・・なつ姉のこと嫌い~?」
「大好きだけど・・・」
「ん~♪なつ姉もこ~くんのこと大好き~♪」
「あー!お姉たんばっかずるいー!アキもこーにいちゃんのこと好きー!」
「はは、ありがとね秋穂ちゃん」
「へへ、頭撫でられるのも好きー♪」
この耕太に抱きついている二人は叔母さんの娘たち。
まず、なつ姉と呼ばれている女の子が、長女、沢田夏美(さわだなつみ)近くの大学に通う大学生だ。
髪は茶髪、静音のようなくるくるの髪型だが天然ではなく美容院でかけてもらっているようだ、天然系でいつもほわほわしている、まあ、出るとこは出ているわけで、街を歩けば視線を集めるのは確実だ、あと普通に可愛い、童顔で高校生と言われてもおかしくない。
そして、秋穂ちゃんと呼ばれる小さな女の子が、三女、沢田秋穂(さわだあきほ)小学2年生だ。
元気盛りな女の子で、端から見てもかわいい子だ。
背は小さく、髪はショート、生まれつきすこし茶色がかっているようだ。
そんでもって、二人に共通することは
耕太のことが大好き!!
ということだ。
二人共耕太のことが大好きで、毎年家に来ると耕太にべったりだ。
「二人共、久しぶり」
「うん!久しぶり!こーにいちゃん!」
「ひさしぶり~こ~くん~」
ぎゅっ!
「えっと・・・いい加減二人共離れてくれないかな・・・」
「「いや!」」
「あれ~・・・」
はなしてくれない二人であった。
「ふん・・・バッカみたい!」
「おう、春香久しぶりだな」
「久しぶりね馬鹿こうにぃ!」
「春香は相変わらずだな~」
「うるさいわよ!」
そして、この口の悪い子が次女、沢田春香(さわだはるか)だ。
中学3年生、受験生だ。
黒髪のツインテール、身長は低い方、つり上がった目がキリっとしている、学校ではおモテになるらしい。
耕太に対してはいつも強い口調で接している、だがその胸の内は耕太にかまって欲しいという欲望で溢れている、まあ要するに、ツンデレだ。
この3人は全員が美女だ、各学校でも全員がモテるらしい。
しかし、全員耕太にしか興味がないため全員振っているらしい。
「春姉たん、そういうのって、つんでれっていうんでしょ?」
「な!秋穂!そんな言葉誰に教わったの!?」
顔を真っ赤にする春香。
「こーにいちゃんがいってた~」
「こうにぃ?」
「は、はい・・・」
顔を真っ青にする耕太。
「余計なこと教えてんじゃないわよ!この馬鹿こうにぃいいいい!!!」
「ぎゃあああああああああああああ!!!」
ボコボコにされてしまいました。
「会って早々殴られるとは思わなかった・・・」
「こうにぃがわるいんでしょ!」
「はいはい、そうでござんす」
「もう一発いっとく?」
「勘弁してください!」
土下座する耕太。
「春ちゃんも、もうちょっと素直になればいいのにね~」
「な!?なつ姉!私は素直よ!」
「ないない・・・」
「馬鹿こうにぃいい!!!」
「うぎゃあああああ!!」
耕太も懲りないねぇ・・・
「まったく!こうにぃのバカ!」
「り、理不尽だ・・・」
「こーにいちゃん、だいじょーぶ?」
「ああ、大丈夫だよ秋穂ちゃん」
「へへ♪よかった♪」
「あ、秋穂ちゃん!(ひし)」
あまりの可愛さに秋穂を抱きしめる耕太。
「へへ~♪こーにいちゃんあったかぁ~い♪」
「あ~秋穂ちゃんだけずるい~こーくんおねえちゃんにも~」
「ええ!?」
「だめなの~?」
「うう・・・わかりましたよ・・・」
「わ~い!やった~♪・・・んふふ♪あったか~い」
「ば、バッカみたい!」
「春香はいいのか?」
「・・・い、い」
「いいのか?」
「・・・うう・・・お願いします」
「よーし!こい!」
「うう・・・屈辱・・・」
「はっはー!可愛いな~春香は!」
「・・・うるさい」
「はっは~そんな攻撃痛くないぞ~」
耕太の腹を殴る春香だが力は入っていない。
「・・・」
「どうした~?痛くないぞ~ほれほ、ぐぎゃああああ!」
「うるさい、だまってて」
「は、はい・・・」
力の入った拳が見事に入りました。
しばらく3人を優しく抱きしめる耕太であった。
こんなことをしている耕太だが、秋穂はないにしても夏美、春香のもっている、気持ちに気づいていない、どこまで鈍感なんだか・・・
「みんな~?お墓参りに行くわよ~」
「「「「は~い」」」」
しばらくして、叔母さんがみんなを呼びに来た。
そして、一行は母達の眠る墓へと向かった。
「母さん、父さん、おとうさん、じいちゃん、ばあちゃん、みんなが来てくれたよ、なつ姉なんか大学生になっても来てくれたよ、幸せ者だねみんな」
そういって、耕太は各墓石を撫でるように丁寧に拭く。
その顔はとても優しいもので、同時に誰も話しかけることのできないほど儚かった、まだ幼い秋穂でも話しかけるのをためらうくらいだ。
「秋穂ちゃんおいで」
「うん」
秋穂を呼ぶ耕太。
そしてしゃがませ、話しかける。
「秋穂ちゃん、わしのお母さんたちはなお空にいるんだ」
「おそら?」
「そうだ、死んじゃったんだ」
「じゃあ、もう会えないんだよね?」
「そうだ、でもなわしは泣かない」
「悲しくないの?」
「悲しいさ、寂しいさ、だけどねわしが笑顔じゃないとお母さんたちは泣いちゃうんだ」
「こーにいちゃんのお母さんたちが?」
「そう、だからわしは笑顔で、楽しく過ごす、だから秋穂ちゃんもここでは笑顔でいてくれるかい?」
「うん!」
「いい子だ、ありがとう秋穂ちゃん」
秋穂の頭を優しく撫でる耕太。
この話は、去年後ろにいる二人にもした。
その時秋穂は、まだ理解もできないだろうと思い話さなかったが、1年たった今、耕太は話すことを決めたのだ。
後ろにいる4人は笑顔でその光景を見ていた。
「さあ!掃除もお参りも終わったし、帰ろうか!秋穂ちゃんなんか食べる?買ってあげるよ?」
「え!?いいのー!?」
「ああ!いってごらん」
「じゃあ、こーにいちゃんが作ったプリンが食べたい!」
「おー!秋穂ちゃん好きだもんな!よぉし!かえったら作ろうか!秋穂ちゃんも手伝ってくれるよね?」
「うん!」
「2人はどう?」
後ろの夏美と春香に答えを促す耕太。
「おねえちゃんがんばっちゃうよ~」
「仕方ないわね・・・手伝ってあげるわよ」
「よぉし!じゃあうまいプリン作るか!」
「「「おーー!」」」
一行は意気揚々と帰っていった。
叔母さんと叔父さんも笑顔でついてきた。
それから帰宅し、早速プリンの作成に取り掛かった、プリンができたのは夜のことだ。
「わぁ~!こーにいちゃんのプリン!久しぶりだー!」
「おいしそ~こーくんーはやくたべよ~?」
「早くしなさいよグズね!」
「言いたい放題だなお前ら・・・」
そう言いながらプリンを分ける耕太。
「そら!食え!」
「「「いただきまーす!」」」
きちんと合掌をして食べ始める三姉妹。
「「「おーいしい!!!!」」」
「そりゃよかった」
「んー♪」
「嬉しそうだな春香」
3人の中でも一際笑顔なのは春香だ。
春香はプリンが大好物なのである。
「おいしい~♪」
「そうか、よしもっと食え!」
「んーー♪こうにぃ愛してる!!」
春香はこうすると必ずデレる。
「いつもそんな風にしていてくれ・・・てかお前の愛は軽いな・・・どこぞの幼馴染みたいだ」
「くしゅん!・・・ん~?風邪かな?」
「うにゅう・・・」
「お?秋穂ちゃんおねむかな?おっと、もうこんな時間か」
時間は夜の11時を回っていた。
「プリンを食べるのを楽しみにしてたからね~食べたら安心したのかな~」
「なるほど、じゃあわしが部屋に寝かしつけてくるよ」
「たのむわ、こうにぃ」
「任せろ、よ~し秋穂ちゃん寝ようね~?」
「うにゅ・・・こーにいちゃーん・・・」
「よしよし、いくぞ~」
秋穂を抱き上げ部屋へ連れて行く耕太。
「よし、おやすみ~秋穂ちゃん」
「うにゅ・・・おやすみぃ・・・」
「ふふ、かわいい顔して寝るな~」
秋穂の頭を撫でる耕太。
「さて、俺たちも寝る準備するかな」
新たに布団を用意し、耕太は2人を呼びに行った。
翌朝。
「よぉし、今日も早起き!外でも歩いてくるか」
耕太は朝の散歩へと出かけた。
「ふ~まだ朝は涼しいな~」
いまは朝の5時、涼しい時間帯だ。
「ん?あれは・・」
川の岸には夏美が立っていた。
「なつ姉、早起きだね」
「あれ~?こーくんも早起きだね~」
「わしはいつもこんくらいに起きてるよ」
「へ~早起きさんだ~」
「・・・なつ姉はここで何してたの?」
「ん~?川を見てたの~」
「川を?」
「そうだよ~川はね~?海に繋がってるんだよ~?」
「知ってるよ?」
「うん、知ってるよね~」
「?」
首をかしげる耕太。
「ここを今通った水も海へ行くんだよ、いまは川だけど、いつかは海になる」
「そうだね」
「長い長い時間をかけて、多くの水と合わさりながら」
「・・・」
「今のこーくんはこの川の水」
「川の?」
「そう、こーくんはこれから多くの水と出会って~海になるのです、海のような大きな存在に、海水浴に来る人を包み込めるくらいの大きな海に~」
「海・・・」
「んふふ、人間に例えるならば~水は友達、仲間だね~他の水がなかったらただ一滴の水にしか過ぎないんだよ、こーくんは友達いる?」
「うん、いっぱい出来たよ」
「そっか~なら安心だ、一滴の水にならないようにね~、そんで~大きな海になったら、おねえちゃんを包み込んでね~」
「え?」
「約束だからね~」
「あ、ちょ!なつ姉!・・・いっちゃった」
(大きな海か・・・まだわしは川か・・・多くの人を包み込める海になれ・・・か。まったく・・・不思議だな~なつ姉は・・・)
そして、昼。
「じゃあ、お世話になったわね、また来るわ」
「はい、またいつでもいらしてください叔母さん」
「じゃあね~こーくん、約束守らなきゃダメだよ~?」
「ああ、わかったよ、なつ姉」
「じゃあね~、こーにいちゃん!」
「ああ、また今度な秋穂ちゃん」
「こうにぃ・・・」
「ん?どうした?春香」
「また・・・くるから」
「ああ、まってるよ、いつでもおいで」
「・・・うん」
叔母さん達は自分たちの家へと帰っていった。
「さて!仕事仕事!」
今日も耕太は笑顔で元気に仕事へと向かう。
「じいちゃん、俺っちにも親友ができたぜ、いいやつでな?すごいんだぜ~?歌で人を泣かすことのできるやつなんだ、他にも仲良くしてくれる人がたくさんいる、俺っちは頑張れるぜ!それに・・・甘奈もいるからな」
「哲也様・・・」
「じいちゃん、嫌な思い出はいい思い出で上書きするんだってよ、いい思い出いっぱい作るからな!・・・な?甘奈」
「はい、もちろんです、お手伝いします」
「はは、ありがとう、じゃあなじいちゃん、また来るよ」
このふたりにも過去がある、そろそろ語ってもいい時期だろう、下永と甘奈の過去を。
続く
どうもりょうさんです!夏休み~騒がしい日~をお送りしました!
新キャラ三姉妹!ついに登場です!
気に入っていただければ幸いです。
さて、次回からはついに下永と甘奈の過去編です。
下永と甘奈に何があったのか、下永と祖父との関係は?
全て明らかになります!
ではまた次回お会いしましょう!
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