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獅子が世界を喰らうまで  作者: 水無月ミナト
第一章 華宮学園
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追憶2

 ある女性が、まだ幼い少年を連れ、広大な日本庭園のある家へ来た。

 門前で女性と老人が何かを言い合っているが、少年の耳には入らない。ただ、空を見上げてじっとしている。

 老人の後ろに隠れるように、少年とあまり年の離れていない少女が、怪訝そうにこちらを見ている。少年は気づいてはいるようだが、反応はしない。

 やがて、話が終わったのか、女性が少年に近づいてきた。

「いいかクソガキ。ここが今日からお前の家だ」

 そう言われ、ただなんとなく頷く。感情が希薄というより、知らないといったほうがあてはまりそうだ。

 そんな少年の反応に、大きくため息を吐く女性。

「じゃあ頼んだぞ、ジジイ」

「わかっとるわ、ババア」

 険悪な雰囲気が、二人の間に流れる。そのまま戦いになりそうでもある。

 老人の後ろに隠れていた少女が出てきて、少年に近づく。

「お前、名前は?」

「……」

「今日から一緒に過ごすのか?」

「……」

「お前は私をなめてるのか?」

「……」

「……」

「……」

 何も返さない少年を、少女がいきなり殴りつけた。

 そのまま数メートル吹っ飛ぶ。裏家の戦闘訓練を受けているだけはあるようで、少女はさも当然のようにしている。

 少年はゆっくりと起き上がるが、やはり何も返さない。

「おじいちゃん、あいつ嫌い」

 少女の率直な感想。その感想に、女性も老人も笑っている。

 それでもやはり、少年は何も返さなかった。

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