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獅子が世界を喰らうまで  作者: 水無月ミナト
第一章 華宮学園
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0話

 地球上の技術は日々日進月歩の躍進を遂げていた。

 そんな中で、世界各国の最先端技術を結集し作り上げられた、ある機械が発表された。

 この機械は〈イネイブル〉と呼ばれ、あらゆる矛盾を無視し、全ての事象を発現させることが出来る、万能機械だと言われた。

 人々はこの発明に歓喜した。〈イネイブル〉を使うだけで、あらゆる病気を治し、あらゆる災害を事前に防いだ。

 怖いもの知らずの科学者たちは、さらに凄いことしようと考えた。そして考えついたこと。それは――天界と冥界の顕現。

 科学者は冒涜者呼ばわれされ、いろいろな宗教団体から非難されたが、意地を貫き通した。

 そして何とか顕現に成功し、天使と悪魔も一緒に現れたものの、あまりに巨大な質量を持って現れてしまったため、天界と冥界の土地は地球上の土地と融合してしまった。残された天使と悪魔は人類から土地を半ば強引に奪い、そこで生活をし始めた。

 また、ある国では動物実験を行い、人並みの知能を持ち、会話が成立するほどまで進化させた動物を作り出した。

 何でもかんでも作り出そうとしたがために、混沌とした地球が出来上がってしまった。

 ――しかし。

 そもそも何の代償も無しに何かを得ようと考えたこと自体、甘かった。甘過ぎた。

 代償は巨大な天災として償いにきた。

 マグニチュード7以上の地震から始まり、10mを優に越える津波も1日5回襲うこともあった。〈イネイブル〉によって治療した患者にも突然後遺症が表れもし、ひどい時には災害と後遺症で1日に10000人の死者がでることもあった。

 やがて地球は災害の絶えない、人が住めるような場所ではなくなった――。

 人類は天変地異の絶えなくなった世界を見限り、棄てることを決意した。

 しかし、宇宙に逃げたのは世界中の重要人物だけだった。その重要人物たちは国際宇宙研究所が事前に調べていた、人が住める惑星へと飛び立った。

 そして取り残された人々に天使と悪魔は、それでも強く生き抜いた。

やがて天変地異は収まったが、大地は移動に移動を重ねており、たった一つの大陸へと変わっていた。

 そうしてできた新しい大地には、度重なる気候変動や陸地の消滅により、多くの突然変異を引き起こしていた。

 それらにより、生物は大きく変化し、動物実験の被験動物だけでなく、ほとんどの動物が人並みの知能を持つようになった。

 また、天使と悪魔も独自に進化を重ね、天使の中には神が、悪魔の中には魔神が出てきた。

 それらの種族を大きく、〈亜人族(イビルロイド)〉・〈天人族(エンジェロイド)〉・〈獣人族(アニマロイド)〉・〈永人族(ヒューマノイド)〉に分けられた。同じ種族では仲がいいが、別種族になるとほとんどの者がお互いを嫌い合い、貶し合う。

 お互い仲が悪い故に、一つの大陸で四つの国ができ、〈亜人族〉は悪魔の国と恐れられ、〈獣人族〉は妖怪の国と噂され、〈天人族〉は神の国と崇められた。それら三つの国はいつまでも対立を続けている。

 しかし、〈永人族〉の国だけは共存を謳った。だが他の種族は全く取り合わない。なぜなら、〈永人族〉には取り柄がなかったから。弱者の戯言だとして、住処を滅茶苦茶にした人種だとして、どの種族も取り合わなかった。

 〈亜人族〉には一騎当千の破壊力(イビルプレス)

 〈獣人族〉には縦横無尽の身体能力(スウィフトアビリティ)

 〈天人族〉には博学多才の技術力(オーバーテクノロジー)

 〈永人族〉には――何もなかった。

 故に〈永人族〉は何か対抗できるものが無いかと、研究をし続けた。その間に、〈永人族〉が持つ土地の多く奪われ、虐げられてきた。だが、〈永人族〉は〈イネイブル〉の残骸を研究し続け、ようやく開発した。そうして他の種族と並びあえた。〈永人族〉が開発したもの、それは。

 〈永人族〉には唯一無二の超能力(スキル)

 その超能力を使い、奪われた土地を取り戻し、名誉を挽回した。

 こうして4つの種族が自分たちの領土を広げようと企てるも、どの種族も手ごわい取り柄を持つために、 奇跡的に均衡した状態で何百年も過ぎた。

 そして訪れた、新暦2074年――。



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