プロローグ*失恋にトラウマに新しい恋*
私の初恋は、誕生日の日に終わってしまった。
付き合って三か月の彼氏、藤見葵一くんと一緒に、過ごすはずだった誕生日。
その日、待ち合わせたいつもの図書館の前で、待った時間は今でも覚えている。
3時間半だった。
やって来た彼は私に告げました。
「嫌いじゃないけど、別れて欲しい。もっと男として自信が持てるようになったら、迎えに行くから」
その意味が当時、中学3年生の私には分からなかった。
それ以来というもの好きな人の前では、喋れないという厄介な性質を持ってしまった。
赤面してしまうので、顔を隠すどころか、人や物の影に隠れる状態。
これを乗り越えなきゃいけないとは思っていても、前には進めず……。
高校1年生になった今でも、それは治らなかったのだ。
迎えに行くって言われた言葉はあったけれど、高校で出会った一つ年上の藍澤紘也さんに恋をしてしまっています。
藍澤さんはカジュアルな服装を着こなし、ちょっと短めの茶髪で、お洒落な出で立ち。
声なんかは声変わりしてるはずなのに、柔らかくて優しい感じ。
きっとこんな人が彼氏だったら……なんて、妄想ばかりの日々です。
うちの高校は普通科が制服、音楽科とデザイン科が私服の私立校です。
毎日、服装に困ったりはするけど、藍澤さんを遠目に見て、服装チェックするのなんか楽しみの一つだったりします。
藍澤さんは音楽科なんです。
私はデザイン科なので、科は違うんだけどね。
元彼、藤見葵一くんこときっくんは、ちょっと長めの茶髪で、新入生の中ではNO.1と言われるほどのイケメンです。
中学の頃からそうだったのではなく、俗にいう高校デビューです。
きっくんは普通科なので、制服を着ているのですが、私服が見たい男子というカテゴリーでも人気を博しております。
そんな二人の男子の間で、自分の負ってしまったトラウマと格闘する私、夢川遥加はというと……。
セミロングの髪をコテで緩くウェーブさせて、姫ギャルコーデで学校に行く事を心がける、普通の女子高生。
座右の銘は『好きな人の目を見て喋りたい』です。