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【加筆修正版】私が間違っているのですか? 〜ピンクブロンドのあざと女子に真っ当なことを言っただけ〜  作者: もーりんもも


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6 【レリル視点】 失敗しちゃった

 私がプリンセス‼︎ プリンセス‼︎

 まさか私が選ばれるなんて‼︎

 あんなに憂鬱だった学園生活が、一転して薔薇色のものに変わった。

 ああ早く入学したいなぁ。



   ◆◆◆   ◆◆◆



 王立学園の組分け試験を受けた後、学園から父親宛に、「面接を受けるように」との連絡があった時は、両親に物凄く叱られちゃった。


「ちゃんと家庭教師をつけてやったのに!」

「信じられないわ。平民の子よりも試験結果が悪かったなんて。学園は結果については公表しないって言っているけれど本当に大丈夫なのかしら」


 お父様はお金にうるさくて、お母様は他人にどう見られるかしか気にしていない。

 私だって真面目に試験を受けたのに。

 それに面接を受ければいいんでしょう?

 大袈裟に反応し過ぎだと思うわ。



   ◆◆◆   ◆◆◆



 緊張して受けた面接だったけど、面接官の先生はとっても優しかった。

「心配いらない」って言ってくれたけれど、まさか、そんな私が『今年のプリンセス』に選ばれるなんて‼︎

 入学前に連絡を受け取った両親は、やっと私を褒めてくれた。


「やっぱりお前は私の最愛の娘だ。これほどの美貌なら高貴な方にだって結婚相手にと望まれるだろう」

「私の娘がプリンセスだなんて! 入学後はお茶会の誘いがたくさん来るに違いないわ!」



 うふふ。

 面接の日に手土産を持参した甲斐があったわ。

 お父様に内緒で高価なお砂糖をたくさん使って料理人にお菓子を焼いてもらったけれど、きっと気が利く人間だと評価されたのね。 

 あの時の面接の先生――確か、エリック先生!

 先生が私の担任になってくれたらいいのになあ。



   ◆◆◆   ◆◆◆



 プリンセスに選ばれたから、てっきり王子様と同じ組になるのかと思ったら、王子様は一組で、私は二組だった。

 やっぱり男爵家だと一組には入れないのかな。

 でも一組と二組の合同イベントがあるって言っていたから、お話しする機会があるはずだわ!

 うふふ。

 なんといっても、私と王子様は、プリンセスと本物のプリンスなんだもの!




 学園生活はきっと楽しいものになると信じて疑わなかったけれど、私の邪魔をする人がいた。

 二組のジゼル様と、一組のメーベル様。どちらも私よりも身分が高い子爵家の人。

  

 二組は平民と下位貴族しかいないから、子爵家のジゼル様が一番高位の貴族になる。

 そのせいで、入学してすぐに一部の女子たちのリーダー的存在になった。

 ジゼル様たちはプリンセスの私のことなんて、見向きもしない感じ。

 

 でも平民の子や男子は違う。

 ちゃんと私のことをプリンセスとして扱ってくれる。

 味方は多い方がいいから、私も頑張って、お父様にバレない程度にお菓子を焼いてもらって、みんなに配った。

 そうすると、あっという間に私は人気者になった。

 

 ジゼル様はもしかしてプリンセスになりたかったのかな?

 私が課題で困っていても助けてくれなかったのは、私に嫉妬したせいかもしれない。

 あれは本当にピンチだったけれど、それを挽回するチャンスがやってきた。 

 孤児院の慰問イベントだ。


 私もやる気を見せて実行委員になったけれど、商品の手配とか期日管理とかは私には向いていなかったみたいで失敗しちゃった。

 相手からは何度もしつこく連絡がきて泣きそうになった。

 どうして私にばかり言ってくるんだろう。

 学園のイベントだから学園に言ってくれたらいいのに。

 そう思っているうちに慰問の日が迫ってしまった。


 結局、担任の先生が我が家にいらっしゃって、諸々の処理は学園側でしてくれると教えてくれた。

 それでも、なんだか「私のせい」と言われているような気がして、お話の途中で泣いちゃった。

 先生はびっくりしたみたいで、「反省していると学園長にも伝えるので、君はしばらく休んでいなさい」と言ってくれた。

 ……優しい先生でよかった。



 それでも、誰かが私のせいだとか言いふらしているかもしれない。

 心配になって学園に顔を出してみた。

 もちろん焼き菓子の差し入れは欠かせない。

 我が家の料理人に無理を言って、高価な砂糖を随分使ってしまったけど、私の評判を守るためだもの。お父様だって許してくれるはず。

 これまで以上の数のお菓子を持って行って、みんなに配っていたら、二組のメーベル様に厳しいことを言われた。


 私の代わりに謝ってくれたことは聞いていたけれど、やっぱり子爵家のお嬢さんは平民に謝るのが嫌だったのかな?

 もしかしたら――私のこの綺麗なピンクブロンドのせいかも。

 あの人、ずっと私の髪を見ていたもの。

 きっと羨ましく思ったのね。メーベル様の髪は焦茶色で変な癖がついていた。


 だから解決したはずの話を蒸し返したんだわ。

 誰だってミスくらいするわよね?

 まさか、あそこまで怒るなんて。

 でも、みんなは、「仕方がない」「責任を押し付けるな」って私を(かば)ってくれた。


 女の子たちが私に冷たいのはいつものこと。

 彼女たちは、いつだって私のことを羨ましそうに見ている。

 学園でもそれは変わらないみたい。

 


 でもでも‼︎

 色々あったお陰で、私は一組に編入することが決まった‼︎

 王子様と一緒の一組に‼︎

 

 その知らせは、担任の先生じゃなくて、一組の担任のエリック先生が持ってきてくれた。

 面接で優しかった先生だ。

 先生は、「君なら我が学園を代表するような素晴らしいプリンセスになれるよ」と言ってくれた。


 貴族しかいない一組かぁ。どんな雰囲気なんだろう。

 優しくしてくれる人がいるかな?

 高位貴族の女子は、きっと私なんか眼中にないよね。

 あっ。

 私以外だと、メーベル様が一番身分が低いんじゃない?

 子爵家と男爵家だもの。メーベル様ともうまくやれるはずだわ。

 


 王子様とも早くお話してみたいな。

 私だってプリンセスなんだもの。本物のプリンスと並び立っていいはずよね?

 きっとお似合いだって、みんなから祝福されると思うわ。


 男爵家は高位の貴族に対して、ものすごく気を遣わなきゃならないって、お母様がよく嘆いているけれど、高位貴族と結婚すれば、私はそんなストレスから解放される。


 もし――もしもだけど。

 王子様と結婚できたら…………、私より高位の女性がいなくなる。

 そうしたら、マナーだの勉強だのとうるさく言われることはないはず!

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