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銀の作戦

「いいだろうオマエら(REX)の味方についてやる」

「?!えぇ?いいですかぁ!!」

「あぁだが一つ条件がある」

「なんですなんです?なんでも従いますとも〜」

「これで俺たちの計画が成功に近づくぞ!」

 俺は建物を焼く炎を灯りに遠くを、おそらくクソ外道共の事務所がある場所を見つめる。そこには暗い星空しか映らない。

「一つ、喧嘩を売る相手を増やしてもらう」

 俺が味方に加わるとしり、浮かれた呑気な二人組の空気をたった一言で壊してやった。そして聞き返す。

「それって…」「三つ巴。て事ですか?」

「そうだ。一旦オマエらの溜まり場に行く。幹部やらボスとか、組織に重要なヤツらを集めろ」

「ハッ、ハイッ!」「了解しました!」

 そう言って2人は腕の液晶を操作して、連絡を取り合っている。

(悪いがオマエは俺の八つ当たりに使わしてもらう)

いいだろ別に。オマエらの目的の政府とも()ってやるんだから。

そうして俺は燃え盛る建物を後にする。

(じゃあな、オヤジさん…俺にこの世界での生き方を教えてくれた人)


 バイクの光を先程とは逆方向に走らせ、大きなホテルの地下駐車場に停める。

 一見ホテルだか、REXのヤツらが買い取り、作戦会議やチームの本拠点として使われている。もしかしたらここでの仕事もいずれ来たのかもしれない。それもこれも全て、今となっては幻想だ。

 豪華なシャンデリアが吊るされた洋風なロビーの最奥。そこのエレベーターに案内される。これだけが地下の部屋に行くためのエレベーターらしい。

 中に乗り、案内人の女の人が指をパネルに当てると、エレベーターが動き出し、上からの重圧を感じる。

『このエレベーターは、地下10階へと動いております』とホテルコンシェルジュの女性の3Dビジョンが映し出される。

 暗い階と階の間と明るい廊下を交互に交互に見ていくき、目的の最地下に到着する。

 そこに広がっているのは___

「街じゃねえか、ここ」

 一面に広がる建物。地上と大差ないほど明るい人工太陽。一眼では捉えきれない人々。

「この階は我々REXの組員、特に戦闘を担う人々が暮らす街で、「シン日本」と呼ばれています。地下70メートル。それより下が警察の目が届かない場所となっています」

 そう案内人は説明を締めくくり、指を指す。その先には白い石造りの、派手で大きな建物が建っている。

 「あそこです」と再び歩き出す。

 透明なドアが開き、目の前の部屋へと案内される。

「よく来てくださった。“黒き鋼”さん」

 ドアを開けると、綺麗で整頓された部屋。そして黒塗りの机と椅子に座った、ニコニコと笑った銀髪の二十歳ぐらいの男が俺を呼ぶ。

「その呼び方は嫌いだ…厨二病臭い。レイと呼んでくれ」

「それは失敬。私の名前は〈アルジェント〉、REXのボスをしている」と男は席を立つ。なるほど、武闘派組織のボスなだけあって体格はかなりいい。

相手は右手を出してきたので、少し渋ったが、右手を出して握手を交わす。

「さて、レイさんの希望通り幹部を集められるだけ集めましたよ」

「よし、早速始めるぞ」


 隣の部屋は会議室のようになっており、中には十数人程の人が椅子に座っている。その中にはあの二人組もいた。

「起立ッ!敬礼ッ!」

 先程のニコニコした雰囲気を一変させ、アルジェントは仲間たちに、俺に向かって敬礼をさ、話し始める。

「えー、皆わかっていると思うが、彼が“黒き鋼”のレイさんだ」

(コイツ…あの呼び方は辞めろっったのに…)

「それでは色々話してもらいましょうか、何故、“三つ巴”にする必要があるんだい?」

 そう言うと小さなマイクをこちらによこしてくるので、左手で受け取り、口元に持ってくる。

「紹介承りました、私がレイです。自己紹介はこれにて終了。まずひとつ目『戦力差』だ。

政府から見た俺たちは[テロリスト]だ。テロへの対応は特殊急襲部隊(SAT)行う。全員覚えているだろう?15年前の世界大戦、戦争が終わったことで軍隊は解散したが、軍人の何人かはSATに流れてるって噂だ」

 ある人物を除いて、全員こちらを向いて話を聞いている。

「君たちの組員には超有名企業の社長や株主がいるので大金があるだろうし、最新技術の武器や大量の戦力がある。しかしプロ相手には通じないだろう。アイツら(SAT)は人殺しの対応へのプロ、制圧なんて簡単だろう」

「それで?例のケンカ相手かい?」

 ニヤニヤとアルジェントが聞いてくる。

「話は通っているようでなにより。単刀直入に言う【竜門組に宣戦布告をし、三つ巴の戦いをやってもらう】と言う話だ」

 その時、ざわざわとした雰囲気が部屋に広がる。

「ふーん、竜門組ねー。ここ数年急激に勢いを出してきたバリバリの武闘派のヤクザだな」

「それで?どうやってケンカ売るの?しかも政府の連中にもけしかけなきゃいけないんだぜ」

 数人から反応が聞こえてくる。

「大丈夫。まずは組員を攫ってビデオを撮る。内容は二つ、『自分達は竜門組である』と『公共の場のどこかに爆弾を設置した。今日中に爆破させる』だ」

 更に驚きの空気が強まり、質問をしてくる。

「公共の場に爆弾だと?!いいか、私たちが戦争を仕掛けるのは政府だけだ!民間人には決して手を出さない、無差別殺人と一緒にするな!」

「そんなもん使わねーよ。いいか、人間は情報の断片だけで全てを決めつけることがある」

「?なんだ…どう言うことだ…?」

「敢えて、手掛かり残すやり方で、ダークウェブで爆弾の材料、爆破剤とか火薬を買わせるんだよ。ただ材料があっても、作る知識なんてない。だが『ダークウェブで、爆弾の材料を買った』と言う履歴が残っている。警察の技術ならそれを見ることぐらい簡単。それだけで[爆弾は設置されている]と警察側は思い込み、俺たちが送ったヤクザの宣戦布告のビデオに真実味を帯びさせる」

「………」、誰も口を開かない。

だがまだ計画は終わりではない。

「その後、攫った組員の指や耳を千切り、本部に送り付ける。ヤツらの1番大事なモノは“面子”だ。それを踏みにじられたヤツらはどんな挑発にも乗ってくる」

今の俺はきっと悪い顔をしているだろう。それにしても表情筋を動かすのはいつぶりだろうか…

「お前達は竜門組と政府両方に喧嘩を売る。しかし、政府側から見れば竜門組から喧嘩を売られた様に見えるって訳だ」

「つまり、REX(私たち)は竜門組に、竜門組は政府に。という構図になるわけだ…重要なのは、普段から政府に喧嘩を売っている私たちが、今回はしないことで、ハメた事を勘付かせないってことだな」

 アルジェントは作戦の意を読み取ったようだ。流石に鋭い。

「政府が竜門組から宣戦布告を受けたことを発表するのでは?」

「いや、それはない。何故なら「民衆がパニックになる」リスク、「REXが便乗して攻撃してくる」二つのリスクがあるからだ」

「なるほど」「面白い」

反応は上々。これは完全に流れに乗せたと言って差し違えないだろう。

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