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鏖殺の焔

本当は戦争でこの国勝って、この国負けてとかやりたいけど、ちょっと社会風潮的にやばそうだしやめときましょう。だから舞台は日本だけど、明確に何国人とかは言いません。

俺は頭が入ったバックを持って、依頼主の事務所に来ていた。

ビルの一階、派手な横長の椅子に座った強面の若い男に話かける。

「なぁ、組長まで通してくれ」

「あ?組長だぁ?なんでオヤジがオマエみたいなクソガキに会うってんだ?舐めた事抜かしてんじゃねぇぞおい!」

新人だろうか。まあ約束ヤクザの事務所に、子供が、しかも夜の3時に訪ねて来て、組長に会わせろと言うのもおかしなことだが、こっちも生活がかかってる。

俺が裏の世界で信用するのは金だけだ。


俺はソイツに持っているバックを渡す。

「んだこりゃ?カネか?()()か?」そう腕に注射をするマネをする。

「いいから開けてみろ」

俺が急かすと、眉を細め、カバンのボタンを押す。

中にあるのは当然頭。それを見た組員は驚きのあまり、バックを床に落とし、その空いた手で口を塞ぐ。

「良く見ろ」俺はバックの中の頭を持ち上げて、顔を見せる。

「オッ、おいオマエ!そんなもん見せ…ソイツ、俺たち〈鬼炎(きえん)組〉に喧嘩売ってきたクソガキ…

ちょっと待ってろ、すぐ通す」

そう言うと奥に消え、数分後に上の階へ案内された。

途中、耳打ちをされた。

「なあ、さっきの対応の事なんだが、オヤジには黙ってくれねえか?カネも1000万ほどなら払える」

「…………別にいい。ただ覚悟がねえなら辞めろ。身を滅ぼすぞ」

ちょっと悩んだが、そんな大金を持っていても邪魔だし、こんな若手が持っているとも考えにくい。

エレベーターを降り、1番奥のセキュリティが固い部屋を指差し、

「幹部より下はここまでだ。あそこ」

「知ってる。俺が何回来たと思ってる」


ドアの前に立つと自動で開く。じゃかんの香水とタバコを鼻で感じ、奥の人物を見つける。

「おうレイ、毎度毎度ウチの依頼を受けてくれてありがとうな。抜かりはないか?」

奥にで堂々と座っている人物、弱冠53歳で鬼炎組13代目組長にの仕上がった矢澤 ヒロシ。俺のお得意の依頼主だ。

「ハイ。オヤジさんも元気そうで。でわ、コレを」

俺は腰を直角に曲げ返事を返し、バックを手渡す。

それを受け取ったオヤジはバックの中を見て、頷きながら笑う。流石腑抜けとは違う。

「ウンウン、よしよし。よしOK!報酬の200万だ」

左手で受け取ると違和感を感じ、「少し多くないですか?」と問うと、「カァッカァッ、いやはややはりお前の勘は鋭い。良い良い、少しばかり色をつけただけよ」と気前よく答えてくれた。

しかし、その顔も長くは続かない。気怠げな腕を伸ばし、葉巻きの先を切り、火を付ける。

「しかし、15年前の第三次世界大戦終戦後から世界はおかしくなっちまってなぁ、前までは銃を持ってたのは警察と軍、それと俺たち(ヤクザ)だけだったのに。それが戦争が終わると自衛の意識が昂まり、一般人が銃を持つハードルがグンと下がった。止まらない経済の発展と人口増加、それに追いつかない国の治安維持…そのせいでこんなクズが」

とバックを蹴飛ばし、灰皿に葉巻きの灰を落とす。

「どっかの国が攻めてきても『自分の身は自分で』ってのはご立派なこったが…、バカが銃を持つ。こんな恐ろしく、愚かなことはない。

コイツはウチのシノギの店を荒らす、島の女を犯す、挙げ出したらキリがない。おかげでオマエも最近は食う物のランクが上がったんじゃないのか?」

「………」

「国は表社会までしか手が回らない。そのせいで反政府のチンピラ集団みたいなのがウヨウヨだ。だから俺たちみたいなのが裏社会をどうにかしないと……。

夜長くまで悪かったな、何ただの愚痴だ、最近竜門組の動きが怪しくてな、急に戦力を伸ばしてきてな、悪い予感がするんだ、ほら俺も13代目って、13は縁起の悪い数字だし」

オヤジは依然裏社会のトップとしての堂々とした態度を保っていた。しかしその眼だけは何かに怯えているようだった。


「気をつけろよ!また仕事を頼む」

「ハイ、またよろしくお願いします」そう深くお辞儀をした俺は裏口から出て行く。

誰にも会わない、会ってはいけない。

しかし、「あっ、あのぉ」と声を掛けられる。

すぐさま声のする方を向き、念のため左腕を構える。しかしそこに居たのは未成年の2人の男と、1人の女。更にその女は俺が殺したヤツらに縛られていた…

「あ、あの…ありがとうございました!」

「別にあんたを助けた訳じゃない。仕事だっただけだ」

もう行こう。そう後ろを向いた時だった。

「“黒き鋼”さん…ですよね?」

男がそう尋ねてきた。俺の脚は止まる。流石にコレを見逃すわけにはいかない。

「隠したって無駄です。彼女がしっかりと覚えているんですから」

「………知らない、周りがそう呼んでるだけだ。で、何の用だ?」

「…着いてきて欲しい所があります」


「気をつけろよ!また仕事を頼む」

「ハイ、またよろしくお願いします」そう深くお辞儀をしたレイは裏口から出て行き、ドアが閉まるその瞬間まで見送る。

アイツのおかげでウチがここまで大きな組になったと言っても過言じゃない。

「フゥイー、よし、明日の為にも寝よう。やはりゴミが除かれた夜は快適に寝れそうだ」


風呂に入り、白いバスローブを巻き、睡眠前の一服を楽しもうとしたその時、奥から組員の声が聞こえる。

「オヤジ!報告が」

「何だ五月蝿い。幹部のオマエが慌てて」

「それが」と震えるその手には箱があり、「中を」と開くと中には腕が入っていた。

「誰のだ?それになんか臭うぞ」そう問いただすと、少し言葉を置き、「舎弟のです。この金の腕輪は俺がくれてやったヤツで。夜遅くにインターホンが鳴ったと思ったら、()()が…その…」

「何だ?ハッキリ喋れよ!」

「…舎弟の腕が、クソと一緒に入ってたんです!」

「クッ、クソだと?!」

普通、この手の脅しに使うのは指。そしてすぐに手術すれば元通りくっ付くよう、それらを何らかで冷やすはずだ。

だが、クソと一緒に入っていたということは…

「完全に腐らせるつもりでやってます。オヤジ!避難を!」

ブゥォン!と遠くでバイクのエンジンを吹かす音が聞こえる。

「竜が…火を吐きよる」


「頼みます!どうか我々、REX()に力を貸してください」

その後、事務所の裏口で待ち伏せされた俺は、3人の若者に連れられ、廃ビルに連れて来させられた。

「今の政府を倒して、革命を起こしましょう!その為には貴方のお力がどうしても必要なのです!」

部屋の奥を見ると、大量の武器や弾薬…オヤジの言ってたことは本当だな。

「断る。俺はそんなこと望まないし、そもそも俺が政府に関わるのは色々と都合が悪いんだよ!」

(コイツら、鬼炎組に喧嘩吹っかけてくれねーかな?見た所今だけで50人近くここにいるし、多分集まれば200人ぐらいいるだろうし。そしたら多分十数億の案件だ)

そう考えるていると、本当にスマホにメッセージが来た。

(まさか本当にコイツらを殺せとか…)そう確かめたスマホの画面には一言『竜門組が攻めてきた』それしか書いてなかった。

更にスマホを片手に近づいてくるヤツがいた。

「あのー、“黒き鋼”さん」

「なんだ?!後その呼び名やめろ!…で何?」

「あっはい、仲間からなんですけど、『貴方がさっき出てきたヤクザの事務所が火事だって』」

「ッ!!おい誰か!脚になるモン貸せ!一番速いやつだ!」

「バイクで良かったらそこの駐輪場にあります…これ鍵です」

俺はバイクの鍵を奪い取る勢いで受け取り、窓から飛び降り、バイクまで走る」

「………ここ6階なんだけど…」


人間が呼吸するように、その焔はより大きくなろうと酸素を取り込み、熱波をこちらに吐き出す。

バイクを乗り捨て、周りの野次馬を押し除け、燃える門を潜る。

普通の家材なら燃えないし、火事になるほど大きく広がる事はない。それに周りには消火ドローンが数台飛んで水を撒いているのにも消えていないという事は、多分変な薬品がばら撒かれている。

しばらく歩くと大きく凹んだロッカーから血が流れているのを見つけ、開けてるとそこには、俺を案内した新人が、拳銃を握りしめながら死んでいた。

「だから言ったのに」

一様拳銃を拝借し、組長の部屋へと急ぐ。

廊下、部屋、ありとあらゆる所に死体が転がっている。だが全てに総じて言える事は「誰も派手な怪我をしていない」という事だ。つまり、一方的な鏖殺。

そして組長の部屋の1つ手前で止まり、左手の腕輪を外すか迷った。

が、まだ外さない事にした。もし相手がプロならば、俺がL.A.M.を使ったとしても逃げられる可能性が多少ある。

多分あの野次馬の中にも竜門組の組員はいる。もし俺だとバレれた場合、必ず暗殺される。


銃の標準を定め、ゆっくり慎重に進み、炎の奥へ眼を凝らす。

その豪炎の中、やけに小柄な人影が1つ蠢いていた。

焼ける床を踏み締め、一歩一歩歩みを進める。そして炎の仕切りが無くなり、お互いの顔が見える距離まで近づく。

そこに居たのは、なぜか黒ずんだ様子のない白いYシャツを着て、左目まで金髪がかかった髪をした青年。それなりに顔は整った部類に入るだろう。しかし、赤い光で照らされた右目からは生気を感じられず、アイツを彷彿とさせる。

「テメェがやったんだな、見たところ武器がないようだが…どうやって殺した?」

「………」

「竜門組の差金か?」

「………」

「なぁオイ、火越しだから揺らいでいたからそう見えただけかもしれないが、さっきよお、テメェの背中から、触手みたいなもんが出ていたように見えたんだ」

「!!」

「初めて反応したな」

ヤツの頭目掛けてトリガーを引く。火薬の匂いは煙臭さにかき消される。

ちゃんと頭を狙った、だが弾はヤツの近くを行くどころか、遠くの床に吸い込まれる。

「………フン」鼻で笑い、ヤツは左手を掲げる。そしたら外からバイクのエンジンを吹かす音がする。

あの外壁を走っているのか、大きな声は下から上に登ってくる。

誰も乗っていないバイクが壁を轢き破り、ヤツのすぐそばで急停止し、そのままヤツが乗り込んで、何処かへと走り去っていく。そのバイクの竜は火を吹いている。

(あのバイク…あの柄は確か竜門組の証)


結局俺は、オヤジの遺体を見つける事は出来ず、脱出するハメになった。

…イヤそれよりもだ。はたから見ればあの銃弾が勝手に曲がったように見えるだろう。

だが違う、本当に一瞬だけ、ヤツの背中から銀色の触手が生えて、高速で弾いたんだ。

「居だんだな…俺以外にL.A.M.を持って野に放たれてるヤツが」

もう1人のL.A.M. 、竜門組、よし、決めたぜ。

【怒り】?そうだ。だが組を潰されたことにじゃない。あのクソみたいな実験を、そしてそれを利用するヤツが俺以外にいるのは許せねえ。


「あ、あのー」

丁度いいとこにバカ共(REX)が来た。

「俺の名前はレイ。お前らの仲間になる」

「へぇ?ほほ本当ですか?!」

「あぁいいぞ。ただ一つ条件がある」

「はいはいなんでも聞きますとも!それでその条件はなんでしょう?」

「お前たちが喧嘩吹っ掛けるのは政府だが、もう一つ増やしてもらう」

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