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クリスマス当日




 クリスマス当日。

 下界の冬和とわたちが働く警察署付近の駅から五駅離れた駅の広場にて。


 冬和がトロンボーンを、銀牙ぎんががクラリネットを手に、総勢百名の警察音楽隊として、アンケートの結果上位十曲に加えてリクエストの七曲を合わせ計十七曲を演奏し終えては、後片付けを速やかに行いバスの中で毎年恒例のクリスマス演奏会が今年も無事に終わった事を粛々と噛み締めながら警察署に戻り、ロッカー室で音楽隊の衣装から各々着替えては職務、友人、家族、恋人の元へと向かう同僚を見守りつつ、今日はこの演奏会で職務終了の銀牙と冬和が帰り支度をする中、銀牙がこれからどうすると口火を切った。


「俺はこれから何の予定もないやつらと一緒にカラオケでクリスマスパーティーと洒落込もうと思ってるんだけど」

「ん。ああ。そうだな」

「………なあ。演奏会に来てくれたみんな、喜んでたな」

「ああ」

「幼児化していた時のお詫びとお礼も兼ねて、露衣ろいさんも演奏会に招待すればよかったのに。すごく喜んでくれただろうよ」

「できるわけがないだろう。サンタクロースさんなんだ。目が回るほど忙しいのに。そもそも………露衣さんと連絡する手段がない」

「………そうだよなあ。俺たちがサンタクロースの露衣さんと直接会って話せた事がそもそも奇跡だもんなあ。うん。もう会える事もないだろうなあ」

「………そうだ。露衣さんに直接会って、話して、あまつさえ、サンタクロースさんの国に連れて行ってもらえて、サンタクロースさんの仕事を見聞きできた事が奇跡なんだ。露衣さんに出逢えた事が。奇跡だったんだ。もう一度。などと。奇跡を二度も願うなど。あり得ない」

「うんうん。そうだな。奇跡は一度きりだよな。うん。じゃあ。俺たちと一緒にクリスマスを祝おうな」

「………ああ。そうだな」


(一人で居たいような気もするが。一人で居たくないような気もする。ならば。銀牙たちと一緒に居て、気を紛らわせよう)


(話を聞こう聞こうと思っていたのに、なんやかんや職務や用事が入り込んできてできなかったからな。今日はじっくり冬和の話を聞くぞ!)











(2025.6.14)




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