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これって




 下界の警察署にて。


「ぉぃぉぃ………おいっ。冬和」

「ん。ああ。すまない」


 九日後に控えるクリスマスに駅前の広場で行う音楽隊の演奏練習最中の休憩時間。

 広報活動や音楽隊、被害者支援などを行う総務・警務部門に所属する警察官であり狼人間である銀牙ぎんがは、同じ部門に所属する同僚であり相棒であり、つい先日までサンタクロースの国に行っていた冬和とわの反応の鈍さに何があったんだと尋ねた。


「サンタクロースの国に現れたクリスマスプレゼント泥棒を逮捕するっていうお手柄を立てたってのに、どうしてそんなに暗い顔をしてるんだよ?」

「………貴様はどうしてそんなに私の気持ちがわかるんだ?」

「どれだけきみの相棒をしてると思ってんだ? 小学生の時からだぞ。もう二十年以上はきみの相棒をしてるんだ。いくらきみが他の人に無表情で声音にも変化がなくて何を考えているのかわからないって言われていても、俺にはまるっとお見通しだよ」

「………」

「言いたくないなら言わなくていいけどさ。そんなに暗い気持ちのまま、クリスマスの演奏を行われたら困るよ」

「ああ。わかっている………」


 口を噤んでは、額に拳を二度、三度と押し付けた冬和。やおら口を開いては、怖がらせてしまったと呟いた。


「クリスマスプレゼント泥棒の逮捕時に。サンタクロースさんの露衣ろいさんを。私は。怖がらせてしまった。とても。申し訳ない事をしてしまった」


 ぱちくり。

 銀牙はやおら目を瞬かせた。

 警察官は厳粛な存在である、怖がらせる事を怖がっていては何もできないと冷静な態度で言っていた冬和の言葉とはとても思えなかった。


(………つまり………つまりつまりつまりっ! これはっ!)


 銀牙が咄嗟に叫びそうになる口を両の手で押さえつけた時の事であった。

 休憩時間終了の知らせを受けて立ち上がる冬和に続いて立ち上がっては、これは仕事終わりに追究しなければと強く決意したのであった。


(これってこれってこれって絶対にっ!!!)











(2025.6.13)




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