『おふだが今なら30パーセントOFFだ!』
僕は母から野菜を買い付けるお使いを頼まれて、近所の商店街へやってきた。
(……さてと、さっさと買い物を済ませようか)
と思った矢先。
商店街の入り口にある小さな神社に、気になる張り紙を見つけた。
『おふだが今なら30パーセントOFFだ!』
『おふだ』と『OFFだ』―――
とんだ駄洒落である。
「どういう……事だ?」
『とんだ駄洒落だ』と思ったのだが、何故だか気になってきた。
何のおふだなのだろうか?
(……まあ、聞くだけならいいだろう……)
そう思いつつ、僕は神社の敷地内に入っていった。
▪▪▪
「こんにちは」
神主さんが出迎えてくれた。
この神社に来たことは無かったが、雰囲気的にかなり昔からあるのかな。
「あの、入り口に書いてあった『おふだ』の事が気になって……」
僕は神主さんに、そう話しかける。
「ああ、それはですね。……最近、おふだの頼まれ事が少なくなってきまして。わたくしなりに、考えた結果があの張り紙なのです」
なるほど、そういう事なのか。
「……あの、本当に30パーセントOFFでおふだが頂けるんですか?」
「ええ。普段頂戴する代金から、お値引きいただきます」
マジですかい。
ある意味太っ腹っちゃあ、太っ腹と言えるけども……
「そのおふだ、御利益はあるんですかね」
そこが一番の気になる点だ。
「ええまあ、丹精込めて造るおふだですから、御利益はありますよ」
そこまで言うんだったら……
「あの、そのおふだ……一つ頂けませんか?」
▪▪▪
何故おふだを頂いたのか、今でも不思議だ。
……と言いたいんだが、あの『駄洒落』が影響している。それは間違いない。
御利益というものは、本当にあるんだろうか。
もしかしたら、『30パーセントOFF』のせいで半減されているような気がしてならない。
まあでも、その後の話だが……
神主さんに特別な許可を得て、例の張り紙をSNSに載せた。
そしたら少しバズり、テレビにも出演して多少反響があったみたいだ。
少しでもそこの神社が有名になったのは、ある意味結果オーライかもしれない。
まあ、主に自虐的にだけどね。
……ここ最近、僕の右肩が重いのはなんでだろうなぁ?
コメディー系ですが、ほんのちょっぴりのホラーテイストも含めてみました。
読んで頂き、ありがとうございました。