パズルはオチャコにお任せ!
二人は、タブレットの説明書を読み終えました。
「ねえ光男さん、約束が多くて、ちょっと難しそうね?」
「でも逆にそれが、地図を完成させるためには、なにかと手掛かりになるのだろうと思う」
「あっ、そっかあ」
「習うより慣れろだよ。早速、タブレットの電源を入れてみたら?」
「うん、そうしよう!」
オチャコは、元気よく返事して、光男さんの提案に従います。
電源が入って、タブレットの画面が明るくなりました。説明書に描いてあったのと同じ「迷宮の地図」が表示されます。
(北)
┏━┳━┳━┳━┳━┓
┃□|→|□|□|□┃
┣―╋―╋―╋―╋―┫
┃□|□|□|□|□┃
┣―╋―╋―╋―╋―┫
┃□|□|B|↓|□┃
┣―╋―╋―╋―╋―┫
|K|□|□|□|□┃
┗━┻━┻━┻━┻━┛(東)
リセット
試しに、南東の角部屋にある□を指先でタップします。
すると、表示が↑に替わりました。もう一度タップすると↓になります。その先は、←、→、A、B、□の順番で、記号が描き替わります。
今度は、いくつかのお部屋の□を適当な記号に替えてから、「リセット」をタップしてみます。すると思った通り、初期表示の状態に戻ります。
突如、オチャコが、いかにも自信あり気な顔で言います。
「いい方法があるわ。パズルはオチャコにお任せ!」
「どういう方針でやるの?」
「最初から描いてある矢印が向いている先のお部屋に、取りあえず、Aを描いてみればいいのよ。こんなふうにね」
(北)
┏━┳━┳━┳━┳━┓
┃□|→|A|□|□┃
┣―╋―╋―╋―╋―┫
┃□|□|□|□|□┃
┣―╋―╋―╋―╋―┫
┃□|□|B|↓|□┃
┣―╋―╋―╋―╋―┫
|K|□|□|A|□┃
┗━┻━┻━┻━┻━┛(東)
リセット
「どうして?」
「だって矢印の先が爆弾だとダメでしょ。だからそこには、なにか矢印を描かないといけないの。でもどの方向にすればいいか、まだ分からないし、それで取りあえず、Aを描くのよ」
「なるほどね。でもここからは、どうするつもり?」
「南東の角にある四つのお部屋を見て」
|↓|□┃
╋―╋―┫
|A|□┃
┻━┻━┛(東)
「Aを一つ描いたけど、これは、←か→にしないといけないわ」
「そうだね」
↑にすると、逆戻りになって約束に違反します。南にはお部屋がありません。だから、←か→にしないといけないのです。
光男さんにしてみれば簡単なので、とっくに分かっていました。それでも、彼は優しい男子なので、そんなことは言わずに、大人しく聞き手になっています。