しぶんぎ座流星群
メリーゴーラウンドの次は、コーヒーカップ、ゴーカート、観覧車など、順番に乗ります。九番目のジェットコースターを楽しんでから、二人は、近くのベンチに座って、少しばかり休憩することにしました。
いつの間にか、夜になっているのでした。
頭の上には、空気の澄んだ清々しい天空が広がっていて、数え切れないほどの星が煌いています。
お月さまは、真ん丸で大きい、いわゆる「スーパームーン」です。
「綺麗だわ……」
「そうだね」
オチャコは、ついウットリとなってしまいます。
これは無理もありません。なぜなら、このように美しい星空を、いつか光男さんと二人で、肩を並べて眺めてみたいものと思っていたのだから。
「あ、流れ星よ!」
「うん、しぶんぎ座流星群だね。願いごとをしようか?」
「名案だわ」
二人は声を合わせて、流れ星に向かって願いを掛けます。
「あたしたちを元の姿に戻して、デートしていた公園へ帰して下さい!」
「僕たちを元の姿に戻して、ハイドアンドシーク公園へ帰して下さい!」
突如、目の前に広がっている景色が歪んで、オチャコと光男さんの意識が遠のいてしまうのでした。
・ ・ ・
二人が、ふと気づくと、ハイドアンドシーク公園にある売店の近くのベンチに肩を並べて座っていました。
しかも、ニホンザルの姿だったオチャコは、十四歳の少女に戻っています。光男さんも、元の姿を取り戻しています。
このため、オチャコは、「もしかして夢を見ていたのかしら?」と思わざるを得ませんでした。
でも、その想像は違っています。なぜなら、オチャコの右手に、まだ火が点いているオイルランプ、左手にタブレットを持っているのだから。
それだけでなく、ショルダーバッグの中にも、ライター、コンパス、タブレットの説明書が、ちゃんと入っています。
「あたしたち、帰ってこられたのだわ!」
「そうだね、僕たちの願いごとが功を奏したんだよ」
「うん、ホントよかったわ」
「そうだね、よかった」
「流れ星さまたち、どうもありがとう!」
「しぶんぎ座流星群さん、ありがとうございました!」
今はお昼なので、星は一つすら見えないけれど、二人は、晴れた大空に向かって、感謝の言葉を捧げます。
あんな酷い目にあったのに、オチャコは少し嬉しく思っています。
なぜなら、光男さんとロマンチックな一時を過ごせたのだから、そう思うのも無理はありません。
この二人は、今朝よりもずっと親密になれて絆も深まったので、この先きっと、仲のよい恋人関係を、築き続けることができると思います。
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